著者
東本 靖史 高田 寛 岸 邦宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.433-438, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
10

バス利用者の減少が年々、深刻化する中、2002年の改正道路運送法の施行に伴い、バス事業者としては経営上、公共性よりも採算性を重視せざる終えなく、全国的に赤字路線からの撤退が相次いだ。地域のバスサービスの低下は、地域住民の移動手段を奪うこととなり、地域生活に大きな影響を及ぼすことになるが、更には地域の利便性の低下は地価の下落を招くこととなり、社会経済的な損失は多大である。そこで本研究では、路線廃止や減便などのバスサービスの低下がもたらす地価下落への影響を分析するため、ヘドニックアプローチにより地価関数の変数にバスサービスを含めたモデルを構築する。特に、各地域のバスサービスについては、バス便数や系統数、バス停までの距離が複合的に影響するため、本研究では包絡分析法(Data Envelopment Analysis)を用いて、新たなバスサービス水準指標を設定した。
著者
佐藤 暁子 末永 一博 高田 寛之 川口 數美
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.97-104, 1988-03-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

関東東海地域の4種類の畑土壌で, 2ヵ年, 同一施肥量でコムギ7品種を栽培し, 土壌の種類とコムギの生育・収量との関係を検討した. 生育は, 灰色低地土で最も旺盛であり, 赤色土では初期の茎数増は旺盛であったが, 1月下旬頃から茎数増が停滞し, 葉色が淡くなり始めた. 厚層多腐植黒ボク土と淡色黒ボク土では生育初期から茎数の増加が少なく, 葉数の増加も遅れた. 冬~春先の幼穂・稈の伸長は, 赤色土で早く, 厚層多腐植黒ボク土と淡色黒ボク土では遅かった. 平均収量は, 灰色低地土で649 g/m2と高く, 他の3土壌では500 g/m2以下だった. 赤色土では, 有効茎歩合の低下からくる穂数の不足と一穂粒重の低下, 厚層多腐植黒ボク土と淡色黒ボク土では最高茎数の不足からくる穂数の不足が低収の主な原因だった. 土壌の違いによるコムギの生育及び収量成立経過の差異は, 肥沃度との関係から赤色土では生育途中からの窒素の不足, 厚層多腐植黒ボク土と淡色黒ボク土では, 生育初期からのリン酸の不足からきていると考えられた. また冬~春先の幼穂・稈の伸長程度には, 冬期の地温の土壌間差も影響を与えていると考えられた. 土壌の種類によって多収の得られる品種が異なった. 肥沃な灰色低地土では, 有効茎歩合が50%前後で穂数を確保し, 穂数が多くても倒伏が少なく千粒重・一穂粒重を大きく低下させないアサカゼコムギが収量が高かった. 黒ボク土では, 茎数の増加が旺盛で穂数を確保した農林64号が収量が高かった. また, 赤色土では有意な品種間差が認められなかった.
著者
伊木 れい佳 齋藤 恵美子 和田 伸子 高田 寛仁 四宮 真利子 嶋田 雅俊 田中 雅子 吉住 智奈美 阪井 宏彰 片岡 裕貴
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.93-98, 2021 (Released:2021-03-22)
参考文献数
17

【背景と目的】国内外を通し苦痛のスクリーニングの効果を検証した研究は少ない.今回兵庫県立尼崎総合医療センターにて化学療法導入時にスクリーニングを実施し,緩和ケア介入件数が増加するかを検討した.【方法】2018年2月から2019年1月に化学療法同意書を発行された患者を対象にスクリーニングを実施した.回帰不連続デザインを用いて導入前後の緩和ケアチーム介入件数の変化を評価した.スクリーニング回収率を算出し,回収に影響した因子についてロジスティック回帰分析にて評価した.【結果】チーム介入件数の変化の推定値は3.32件/月(95%CI: −3.19〜9.82)であった.回収率は月平均35.2(±7.94)%であり,回収有に関して診療科による差がみられた.【結論】当院で導入したスクリーニングでは緩和ケア介入件数の有意な増加は得られなかった.
著者
高田 寛子 大牟禮 治人 永山 邦宏 宮脇 正一
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

健康な男性患者に対して、咀嚼が消化管ホルモンの血中濃度や胃の活動(胃排出能、胃電図)、自律神経機能に与える影響を調べることとした。消化管ホルモンの項目はグルコース、インスリン、ガストリン、グレリン、CCK, GLP-1とした。5時間かけてデータの採取を経時的に行い、採決済シリンジは各ホルモンに応じて処理を行い、実験終了後にすべての資料はサンプルボックスに入れて保管し、データ解析を行った。4人の被験者に対して、咀嚼ありなしの条件で、これらの実験を行ったが血中ホルモン濃度に有意な差は認められなかった。今後、被験者を増やすと同時に咀嚼筋障害を持つ患者に対しても調べる予定である。
著者
竹内 孝治 加藤 伸一 芝田 信人 高田 寛治 田中 晶子 吉川 由佳子
出版者
京都薬科大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
1999

ポリフェノールの一つとして、ウイスキー中に多量に含有されているエラグ酸(EA)が前年度までの検討により胃粘膜保護作用および抗酸化作用を有することが示してきたが、さらに今年度は、新たに開発された大腸デリバリー化のための圧感応性カプセルに封入したEAを用い、デキストラン硫酸(DSS)によって誘発される潰瘍性大腸炎の発症に対するEAの効果を検討した。1.圧感応性大腸デリバリーカプセルPressure-controlled colon delivery capsule(PCDC)の使用により、投与されたEAは盲腸部に到達した後に徐々にカプセルから遊離溶出することが判明した。2.ラットにDSSを7日間連続投与することにより、体重減少、大腸の短縮化ならびに下血および下痢を伴う重篤な大腸炎が発生した。DSSによる大腸炎の発生は、PCDCに封入したEA(mcEA : 1-10mg/kg)を1日2回、7日間連続経口投与することによって、用量依存的かつ有意に(>3mg/kg)抑制された。また、mcEAの投与はDSS処置下に認められる大腸の短縮化、脂質過酸化を正常レベルにまで低下させると共に、好中球の浸潤に対しても抑制傾向を示した。なお、DSS誘起大腸炎に対するmcEA(3mg/kg)の保護作用はスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD : 30000units/kg×2)の直腸内投与で得られた効果と同程度であり、また同用量のEA原末と比べて有意に強いものであった。3.これらの結果は、EAがポリフェノールとして抗酸化作用により、臨床における潰瘍性大腸炎の治療に有効性を発揮する可能性が示唆された。
著者
高田 寛
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.551-581, 2017-03

世界の人口は,2050年には90億人を超えると予想されている。人類が今まで経験したことのない急激な人口の増加とともに,地球温暖化による異常気象が世界各地で頻繁に起きている。また,毎年約6万平方キロメートルの規模で地球の砂漠化が進み,土壌劣化現象が起きている。このため,2050年には,世界の総人口を養うためには,食料の生産を2000年に比べ1.5倍以上に引き上げる必要があると予想されている。このような将来の食料危機を打開するものとして,遺伝子組換え技術が注目を集めている。遺伝子組換え技術とは,植物に限らず,あらゆる生物の遺伝子を人為的に改変する技術であり,21世紀に入り急速に技術革新が行われた。特に,近時,予め狙った遺伝子を直接改変するゲノム編集技術が開発され,不確定要素が多く効率が悪かった従来の遺伝子組換え技術にも導入され,人類は,これら遺伝子改変技術により,植物だけでなく動物をも含む食料の増産及び安定供給を可能とする時代を迎えようとしている。しかし一方で,遺伝子組換え技術を使った作物(Genetically Modified Organisms/GMO)(遺伝子組換え食品も含む。以下「GMO」という。)が人体へ影響を及ぼす可能性があるのではないかという報告もなされ,GMOの安全性及び生物多様性についての懸念が表明されている。また,これらの報告を受け,消費者団体及び市民団体を中心にGMOの反対運動も行われている。各国のGMOに対する法規制は様々であり,特にフランスがGMOの栽培を禁止したように,EUでは規制を強化する傾向にある。しかし他方,米国はモンサント社をはじめとする種子ビジネスの巨大企業が,GMOを中心としたビジネスを世界各国で展開している。このような中,わが国の食料自給率は40%以下と先進国の中では最も低く,多くの農作物を海外から輸入している。特に,米国産の遺伝子組換えトウモロコシや大豆を大量に輸入・消費しているため,わが国にとってもGMOの安全性に関して無関係ではない。GMOの賛否については,ややもすると感情論に走りがちな議論も散見されるが,本稿では,GMOが抱える法的問題,特に食物に対するGMOの表示制度を整理し,トレーサビリティの必要性の有無について,EU及び米国の法制度も踏まえながら,わが国の採るべき法規制の検討を行いたい。
著者
高田 寛
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.267-275, 2009
被引用文献数
1 1

近時,Googleは,従来の検索エンジンによるサービスのほかに,Googleブック検索やGoogleストリートビューなどの新しいサービスを提供し,社会的にも大きな影響を与え始めている。しかし,これらの新サービスには法的に未解決の部分も多い。本稿では,近時のGoogleのサービスの最新動向とともに,過去の重要判例を交えながら,これら検索サービスに関連する法的問題を整理し,今後の潜在的な法律上の問題を考えてみたい。
著者
高田 寛治 伊藤 由佳子
出版者
京都薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

インスリンをペプチド薬の代表として取り上げ、その経皮吸収を可能とする新規のDDSであるマイクロニードルの製剤としての可能性について研究を行った。インスリン含有マイクロニードルを調製し、-80、20および40℃で1および3ヶ月間インキュベートしたが、いずれの条件下においても約99%の残存率を示した。ヘアレスラットの皮膚にEvans Blueで着色を施したインスリン・マイクロニードルを投与した後、組織学的観察を行ったが、皮膚への障害は認められなかった。また、in vivoにおける溶出性について検討を行ったところ、低水分環境下にあるにもかかわらず投与3時間後にはほぼ溶出が完了していた。吸収率を求める目的でエリスロポエチンEPO・マイクロニードルを調製し、マウス皮膚に投与を行い、その後24時間にわたり血漿中EPO濃度を測定し、薬物動態学的解析を行ったところ、約80%のバイオアベイラビリティBA(吸収率)が得られた。他の蛋白薬への適用の可能性を探索する目的でインターフェロンおよび成長ホルモンを含有するマイクロニードルを調製してラットを用いてin vivoにおける吸収実験を行った。その結果として得られたBA値は、インターフェロンで100%超、成長ホルモンで87%という値が得られた。さらに多糖類の代表である低分子ヘパリンについてもラットにて可能性試験を行ったところ、約80%のBAが得られた。以上の薬物動態試験に引き続いて、インスリン・マイクロニードルからのインスリンの薬効薬理実験をビーグル犬を用いて行った。1頭あたりインスリンの1.0および2.0単位をマイクロニードルとして投与した後、血糖降下率を8時間にわたり測定したところ、同量のインスリン皮下注射時と同等の血糖降下率が得られた。EPOについてもラットを用いて薬効薬理試験を行ったところ、1000および2300IU/kgの投与量時に有意な循環血液中赤血球数の上昇が認められた。以上より、マイクロニードルは新規の経皮吸収DDSとして極めて有望であるとの結論に達した。
著者
浦川 隼人 小林 和朝 高田 寛之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J94-B, no.5, pp.708-715, 2011-05-01

トークンバケットポリサー(TBP:Token Bucket Policer)を用いてQoS保証を行う背景にはNGN (Next Generation Network)の存在がある.NGNでは,SIP (Session Initation Protocol)を使ってRACF (Resource and Admission Control Function)によるリソース受付制御を実現している.この際にセッションごとに設定要求(帯域やバッファ)があり,これをもとに伝送路の経路やセッションの受入れを可否する.音声通信と異なり動画配信においてはセッションの設定値を定める方法論が確立されていない.そこで本論文では,動画配信のQoS保証を実現するTBPパラメータ推定のアルゴリズムを提案した.動画自体がもつ映像・音声データに転送付加情報を考慮することで転送トラヒックをシミュレーションし,そのトラヒックからTBPパラメータを推定した.推定結果と実測実験結果を比較すると,十分実用可能な推定ができていることが判明した.
著者
高田 寛
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.267-275, 2009 (Released:2009-08-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

近時,Googleは,従来の検索エンジンによるサービスのほかに,Googleブック検索やGoogleストリートビューなどの新しいサービスを提供し,社会的にも大きな影響を与え始めている。しかし,これらの新サービスには法的に未解決の部分も多い。本稿では,近時のGoogleのサービスの最新動向とともに,過去の重要判例を交えながら,これら検索サービスに関連する法的問題を整理し,今後の潜在的な法律上の問題を考えてみたい。