著者
坪口 昌恭
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.71-87, 2004-12-31

第一章では、アフリカ土着音楽において特徴的な要素であるポリリズムについて、CDやVTR等の音資料から採集・採譜し、その特徴を分析する。第二章では、アフリカ音楽に特有の音律について、音資料から聴取し十二平均律とのずれや傾向を調べる。それらにより、ジャズやブルースのルーツがアフリカ音楽にあるという通説の音楽的裏付けをおこなう。
著者
坂田 晃一
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.145-156, 2004-03-31

我々の生活の中には音楽が溢れている。音楽はひとにどのように受けとめられているのであろうか。そこには実に多くの要因が関与しているように思われる。今回、私がかつて作曲した「NHK連続テレビ小説『おしん』」のテーマ音楽を取り上げ、聴き手がそれをどのように受けとめるのかを半構成的インタビューによって調査した。半構成的インタビューという方法をとったのは、連想の内容に一切の制限を加えない「自由連想法」による分析を行うためである。本稿では一般的な法則を引き出すのではなく、作曲上の意図が視聴者にどのように伝わっているのかに主点を置いている。聴き手がテレビドラマのテーマ音楽をタイトル・バックの映像と共に聴くことにより、ドラマの内容についてどのようなイメージを持つのか、テーマ音楽の役割がどのように機能しているのか、個々の受けとめ方の違いを調査し、分析、統合した。聴き手として、本学の学生10名(いずれも芸術情報学部音楽表現学科)を選び、個別にタイトル・バックの映像と共にテーマ音楽を聴かせ、その後インタビューを行った。
著者
林 容子 Yoko HAYASHI 尚美学園大学芸術情報学部情報表現学科
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.57-79, 2004-12-24

2002年から2004年の夏にかけて、マンスフィールド財団、アジア財団、パシフィックフォーラムという3つの米国系財団の招聘で、日韓の諸問題を討議するリトリートに参加した。安全保障や外交の専門家に加え、NGO、文化、ジャーナリズムを専門とするそれぞれの国の代表が一同に招聘され、自由に討議した。それぞれの視点より、日韓関係を述べることになったとき、筆者のカウンタパートである韓国の美術史家より、「日本は、日帝期時代に多くの朝鮮墳墓を発掘し、朝鮮美術品を不当に日本に持ち帰り、返還していない。日本には、多くの逸品を含む30万点に上る朝鮮文化財があり、韓国の研究者は、自国の文化財なのに、わざわざ日本まで見に行かなければならないし、なかなか見ることができない。」と開口一番に指摘された。文化分野を代表していたものの、私の専門はアートマネージメントであり、朝鮮美術の専門家ではない。これまで、特に朝鮮美術はおろか、日韓関係についても特別の関心は持ってこなかった。彼女が指摘したのは、いわゆる略奪文化財の問題であるが、略奪文化財といえば、それまで私の脳裏に浮かぶのは、大英博物館保有の古代ギリシアの大理石彫刻(別名:エルギンマーブル)やナチスが略奪して、散逸した美術品の数々であり、「日本が朝鮮から美術品を略奪した」といわれても"晴天の霹靂"といわざるをえなかった。その場では、残念ながら日本代表として弁護することも、謝罪することもできず、とにかく自分なりに事実関係を確認し、次に報告すると約束するのが精一杯だった。これが本稿の切掛けとなった。帰国後、このことを日本の様々な知人に話すと様々な反応が帰ってきた。しかし、この件について無知だったのは、私だけでなく、朝鮮美術や東洋美術の専門家の友人を除いて、多くにとって、このことは初耳のようだった。事情を話すと、一般の人は「それなら返還したらいいじゃない。」と別に人事のような反応だった。一方、日本の東洋美術の専門家の友人たちに話すと、「この件は、すでに決着がついているのに、何故いまさらそんな過去のことを調査するのか。日韓の文化交流はとてもよくなっているのに、あなたがしようとしていることは、全くの時間の無駄であり、それよりも何故、もっと前向きなことにエネルギーを使わないのか。」と大変な勢いで抗議された。本問題に関して、両国の国民の間の意識レベルに大きなギャップが存在する。この問題に対する双方の一般国民の意識の低さおよび事実関係の認識の欠如が他の日韓の歴史問題同様に感情論の問題にしてしまい、根本的な問題解決を妨げていることも否めない。その一方で、日本と韓国の交流は、日韓ワールドカップの共催を経て両者の政府の方針もあり急速に高まっている。韓国側でも政府主導の友好的な外交政策がとられ、少なくとも日本では韓国に対する国民感情が少しずつながら好意的なものになっている。結果として85年以降日本人コレクターによる韓国への文化財の恣意的な寄贈も増えている。今、日本は、国交正常化以来の韓国文化ブームに沸いている。また、韓国でも、日本の朝鮮半島占領政策がもたらした経済効果を数字で分析する経済学者1が現れるなど、単なる感情論を越えて、日本の植民地政策を分析しようという動きが出てきている。調査を進めるうち、本問題は、日本の朝鮮植民地政策、日韓条約などの歴史問題に深く関わることはいうまでもないが、さらに、現在の国際法上での略奪美術品の扱いの問題や日本における美術品に関する税制や公開の制度の未整備など、国内外のアートマネージメント上の問題が大きく関わっていることがわかった。そこで本稿では、大きく第一に、在日朝鮮文化財の歴史的経緯、第二に、国際的および日本の国内事情の抱えるアートマネージメント関連の問題の考察、つまり、多くの在日朝鮮美術品の返還と公開に関わる問題を取り上げる。最後に、これらを踏まえた上でのこの問題に対する改善試案を提案する。Few in Japan's public know that approximately 29000 pieces of Korean artifacts are found housed in Japan's public museums. This accounts for only 10% of all Korean artifacts in Japan including those held in private hands. Many of them were supposed to be taken to Japan from Korea illegally during the colonial period. In Korea, the issue of illegally taken artifacts is a well-known to public. The gap in the awareness between Korea and Japan on the historical issue creates tensions between the two countries. The unsolved issue of restitution goes back to the flawed Korea Japan Treaty. While it is not feasible to solve this problem from legal perspective, voluntary donations of Korean artifacts by Japanese private collectors has gradually increased as the relationship between the two countries became improved since 1985. The research on current status of those Korean artifacts in Japan revealed another problem, which is many of them are still hidden and not even available for public view. The domestic problems surrounding art collection in Japan such as lack of tax incentive for public display and donation of artworks constitute the major factors behind Korean artifacts staying in hidden Japanese private collections. In order to promote the public access to the Korean artifacts in Japanese private collections, tax reform is needed. Also, public and private initiatives should be created to begin joint research and scholarly exchange dedicated to increasing public awareness on this subject, which will contribute to improve relations between Japan and Korea as well as to flowering of cultural sharing in the region.
著者
霧生 トシ子 Toshiko KIRYU 尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.33-44, 2004-09-30

チャーリー・パーカーをめぐって1940年代初頭には、ビバップの最盛期を迎えた。そこから多くのジャズの巨人達が生まれた。彼らがその後、いかなる状況のもとで、どのような方向へ展開していったか、彼らの発展の源となったものは何であったかを見てみよう。It was towards the beginning of 1940s that Bebop was at its peak with many leading figures appearing, such as Charlie Parker as a uncleous. The following is a glimpse on their motives and subsequent activities under the surrounding conditions in those days.
著者
河内 純 Jun KAWACHI 尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.49-62, 2004-12-31

フランツ・リストは現代にまで名が残っている作曲家はもとより、すでに忘れ去られた数多の作曲家の作品をピアノ用に編曲している。リストがさまざまなジャンルにわたる膨大な数の作品を編曲した目的は、ヨーロッパ中で活発に行っていた演奏会のプログラム・レパートリーとすることと原曲を広く紹介すること。及び、それらの原曲からさまざまな作曲技法を学び取り、それをオリジナルの作品に反映させることだったと考えられる。本稿ではシューベルト歌曲のピアノ編曲を取り上げ、リストが歌とピアノによる演奏効果をいかに1台のピアノに置き換えたのか考察した。その結果、リストが原曲を詳細に研究してシューベルトの音楽を深く理解していたことが導き出された。Franz Liszt has left numerous solo piano arrangements based on many other composers' non-piano works, not only well known ones but also presently remain unknown ones. Covering wide variety of original instrumentation, Liszt's intension of composing such works can be considered to be to discover various new repertoire for the programs of the concerts that he was actively performing all over European countries at that period of time, to introduce them to the public, and finally to learn different styles of compositional technique that could be utilized in his own works. In this paper, I have particularly investigated Liszt's works for solo piano arrangement of Schubert's songs in order to prove how he effectively turned the songs with piano accompaniment to solo piano pieces. As a result, I have reached the conclusion that Liszt had observed the original scores in detail and understood Schubert's music to the deepest level.
著者
千葉 精一
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.11-32, 2006-11-30

近年、音楽用CDの世界ではポップス・ロック系ジャンルを中心に音量感(ラウドネス:LOUDNESS)を上げるためのレベル競争が激しくなってきている。それらの中には音量感を上げるための処理に行き過ぎと思われるものも見受けられ、音量感は上がったものの音質劣化や楽器バランスの変化が起きているのではないかとの疑問を持つに至り、その状況を検証し適正なCD収録レベルは如何にあるべきかについて考察を試みた。また、DVD-Videoは発売当初、映画が市場の大半を占めていたが最近ではライブやプロモーション映像を収録したミュージックDVDも多くのタイトルがリリースされてきている。これらの中にCDとDVD-Videoがひとつのパッケージに同梱された商品形態があり、一部には収録音声レベルにかなり差のある商品も存在することが判明した。音声レベルにばらつきがあることはユーザーにとって「その都度ボリュームを調整せざるを得ない」という不便さを招き、また同一メディアでありながら音量にバラつきがあること自体も問題であり、実態の検証と原因、改善策などについて考察してみた。
著者
林 容子
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.57-79, 2004-12-24

2002年から2004年の夏にかけて、マンスフィールド財団、アジア財団、パシフィックフォーラムという3つの米国系財団の招聘で、日韓の諸問題を討議するリトリートに参加した。安全保障や外交の専門家に加え、NGO、文化、ジャーナリズムを専門とするそれぞれの国の代表が一同に招聘され、自由に討議した。それぞれの視点より、日韓関係を述べることになったとき、筆者のカウンタパートである韓国の美術史家より、「日本は、日帝期時代に多くの朝鮮墳墓を発掘し、朝鮮美術品を不当に日本に持ち帰り、返還していない。日本には、多くの逸品を含む30万点に上る朝鮮文化財があり、韓国の研究者は、自国の文化財なのに、わざわざ日本まで見に行かなければならないし、なかなか見ることができない。」と開口一番に指摘された。文化分野を代表していたものの、私の専門はアートマネージメントであり、朝鮮美術の専門家ではない。これまで、特に朝鮮美術はおろか、日韓関係についても特別の関心は持ってこなかった。彼女が指摘したのは、いわゆる略奪文化財の問題であるが、略奪文化財といえば、それまで私の脳裏に浮かぶのは、大英博物館保有の古代ギリシアの大理石彫刻(別名:エルギンマーブル)やナチスが略奪して、散逸した美術品の数々であり、「日本が朝鮮から美術品を略奪した」といわれても"晴天の霹靂"といわざるをえなかった。その場では、残念ながら日本代表として弁護することも、謝罪することもできず、とにかく自分なりに事実関係を確認し、次に報告すると約束するのが精一杯だった。これが本稿の切掛けとなった。帰国後、このことを日本の様々な知人に話すと様々な反応が帰ってきた。しかし、この件について無知だったのは、私だけでなく、朝鮮美術や東洋美術の専門家の友人を除いて、多くにとって、このことは初耳のようだった。事情を話すと、一般の人は「それなら返還したらいいじゃない。」と別に人事のような反応だった。一方、日本の東洋美術の専門家の友人たちに話すと、「この件は、すでに決着がついているのに、何故いまさらそんな過去のことを調査するのか。日韓の文化交流はとてもよくなっているのに、あなたがしようとしていることは、全くの時間の無駄であり、それよりも何故、もっと前向きなことにエネルギーを使わないのか。」と大変な勢いで抗議された。本問題に関して、両国の国民の間の意識レベルに大きなギャップが存在する。この問題に対する双方の一般国民の意識の低さおよび事実関係の認識の欠如が他の日韓の歴史問題同様に感情論の問題にしてしまい、根本的な問題解決を妨げていることも否めない。その一方で、日本と韓国の交流は、日韓ワールドカップの共催を経て両者の政府の方針もあり急速に高まっている。韓国側でも政府主導の友好的な外交政策がとられ、少なくとも日本では韓国に対する国民感情が少しずつながら好意的なものになっている。結果として85年以降日本人コレクターによる韓国への文化財の恣意的な寄贈も増えている。今、日本は、国交正常化以来の韓国文化ブームに沸いている。また、韓国でも、日本の朝鮮半島占領政策がもたらした経済効果を数字で分析する経済学者1が現れるなど、単なる感情論を越えて、日本の植民地政策を分析しようという動きが出てきている。調査を進めるうち、本問題は、日本の朝鮮植民地政策、日韓条約などの歴史問題に深く関わることはいうまでもないが、さらに、現在の国際法上での略奪美術品の扱いの問題や日本における美術品に関する税制や公開の制度の未整備など、国内外のアートマネージメント上の問題が大きく関わっていることがわかった。そこで本稿では、大きく第一に、在日朝鮮文化財の歴史的経緯、第二に、国際的および日本の国内事情の抱えるアートマネージメント関連の問題の考察、つまり、多くの在日朝鮮美術品の返還と公開に関わる問題を取り上げる。最後に、これらを踏まえた上でのこの問題に対する改善試案を提案する。
著者
鶴原 勇夫 Isao TSURUHARA 尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.89-120, 2004-12-31

ガブリエル・フォーレは19世紀から20世紀にかけて、フランスで活躍した作曲家である。ロマン主義の時代から現代に至る変化の激しい時代において、彼は、古い権威に頼ることなく、新しい流行に惑わされず、自己に忠実に独自の作風を築いた。彼の音楽の特色は、優美な旋律とユニークな和声進行にある。特に彼の和声進行と転調方法が、当時としてはあまりに斬新だったために、師匠であるサンサーンスが「とうとう彼は気が狂ってしまった」と叫んだくらいである。この研究はそうしたフォーレの作品の中から和声進行と転調の特色を発見することを目的としている。この研究で私が彼の音楽の独創性に少しでも近づくことが出来ていれば幸いである。Gabriel Faure was a French composer who was actively engaged in the musical world in France from the 19th century to the 20th century.In the violent period of changes --from the time of romanticism to the present -- Faure established devotedly his own idiom by excluding the old authority and new fashion of that time. The superb feature of his music is in a graceful melody and a unique progress in harmony. Because his harmony progress and modulation method were extremely unconventional at that time, Saint-Saens, who was Faure's master, shouted, "He at last went mad!" In this paper, I attempt to explore the special feature of Faure's harmony progress and modulation out of his works. I certainly hope that this research could prove to be access to the originality of Faure's music even a bit.
著者
坂田 晃一
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.63-70, 2004-12-31

日本のテレビ・ドラマのテーマ音楽は、近年、そのあり方の諸相に於いて変化を見せている。それらの変化の原因を探り、その結果としてのテーマ音楽の現状について検証する。更に、その現状が抱える問題点と弊害を明らかにし、そうした現状から脱却するための方策を提案する。
著者
鶴原 勇夫
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.89-120, 2004-12-31

ガブリエル・フォーレは19世紀から20世紀にかけて、フランスで活躍した作曲家である。ロマン主義の時代から現代に至る変化の激しい時代において、彼は、古い権威に頼ることなく、新しい流行に惑わされず、自己に忠実に独自の作風を築いた。彼の音楽の特色は、優美な旋律とユニークな和声進行にある。特に彼の和声進行と転調方法が、当時としてはあまりに斬新だったために、師匠であるサンサーンスが「とうとう彼は気が狂ってしまった」と叫んだくらいである。この研究はそうしたフォーレの作品の中から和声進行と転調の特色を発見することを目的としている。この研究で私が彼の音楽の独創性に少しでも近づくことが出来ていれば幸いである。
著者
霧生 トシ子
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.129-144, 2004-03-31

1930年-40年から発展した様式を持ち、インプロビゼーション(improvisation)を主体とした極めて高いレベルを持ったビ・バップはジャズを集約しているものと考える。ジャズの歴史の背景に沿って、その永遠性、現代性にていて社会的考察をしてみる。
著者
山崎 岩男
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.165-184, 2004-09-30

声楽発声に必要な人体諸器管の働きに関する知識と、さまざまな指導者により考案された声楽発声の方法、またそれを習得するためのトレーニング方法を比較検証し、演奏、指導の場での合理的な活用の形を模索し提言する。
著者
大村哲弥
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
no.2, pp.39-56, 2003-03-31
被引用文献数
1

ギリシャ以来の大問題である音楽現象は、名曲・名演奏の仕組みを解明するという究極の大問題へ向かって、今日の音楽心理学、音響心理学等に引き継がれて取り組まれてきた。特に音楽心理学では1956年のL.B.MeyerのEmotion and Meaning in Music の歴史的論文に端を発してアメリカを中心に著しい研究成果を挙げてきたが、それでも究極の問題には辿り着いていない。私がこれまで発表してきた論文は、リズム、和声に関わる楽譜から読みとれる内容に限定され、音楽現象で最も重要な聴き手の意識の持続が何によってなされるのかという見地から判断すると、荒っぽい内容といわざるを得ない。私は音楽を、ベルグソン哲学に根拠をおく「凝縮された進化体験」と位置づけている。"今"は過去(記憶)と相互浸透されることで意味を生じ、鳴らされている今の音(現在)も,聴いた音(過去)との関係で音楽性を獲得できるといえる。こうした考えは、古典の名曲とりわけバッハ作品の分析から導き出されたものである。名曲の仕組みと音楽現象の解明とを結びつけることがこの論文の目的である。全体は考察編と楽曲分析から成り立つが、当論文はその中の前半部分の考察編からの抜粋で、楽曲の作品分析を主体とする後半は省かれている。
著者
皆川 弘至
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.71-164, 2004-09-30

1790年から今日に至る凡そ200年余の間に、我が国を訪れた外国人音楽家の公演歴を包括した調査資料は無いに等しい。特に、明治時代以前(1868年以前)、明治時代(1868-1912)、大正時代(1912-1926)の記録は、本稿巻末の参考資料に示した通り、わずかに記録として残されている程度であり、現在は絶版で入手不可能でもある。そこで本稿では、外来クラシック演奏家公演に限定し、新聞記事、刊行物、当時の公演プログラム等を渉猟し、調査・整理・分析・統合を加え、(1)明治時代以前 (2)明治時代 (3)大正時代 (4)昭和時代I<第2次世界大戦前> (5)昭和時代II<戦後> (6)平成元年から現在、の6つに分類した。その主脈を時系列的に概観することにより浮き彫りとなる諸点の中から、特に世界的に著名なオーケストラ14団体の来日公演に絞り、入場料金の推移を、厚生労働省調査による「大卒者初任給額及び対前年増減率の推移」及び総務省調査による「消費者物価総合指数」、「持家の帰属家賃を除く消費者物価総合指数(全国)」と対比し、更にアート・マネージメントの視点から考察を加えた。
著者
大村 哲弥
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.45-90, 2006-03-31

ギリシャ以来の大問題である音楽現象は、名曲・名演奏の仕組みを解明するという究極の大問題へ向かって、今日の音楽心理学、音響心理学等に引き継がれて取り組まれてきた。特に音楽心理学では1956年のL.B.Meyerの歴史的論文Emotion and Meaning in Musicに端を発してアメリカを中心に著しい研究成果を挙げてきた。が、それでも究極の大問題にはたどり着いていない。名曲の仕組みと音楽現象の解明とを結びつけることが論文の目的である。全体は考察と楽曲分析から成り立つが、理論編前半を「その1」、分析編を「その2」として、既に発表している。この「その3」は、未完成だった理論編の後半部分に位置し、認知と情動から音楽を考察する。それは生成音楽論への挑戦でもある。
著者
金子 晋一 Shinichi KANEKO 尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.39-67, 2002-03-31

In this article an attempt is made to examine the features and essence of the following three types of music : Tonal music, Blues music, and Shamisen music. Basically, Eastern music and Western music are very different from each other. Western tonal music primarily has a harmonic pitch and the fundamental chords are always fixed, and evenly tempered. For example, the tonic chord I (A-Major key) is always determined by Concert pitch A 440 : the number of vibrations in the sound. 0n the other hand, the tone at the center of Eastern Shamisen music is free-floating, with freer uses of pitches. The first issue I focus on in this paper is the tonal music, especially of the late stage. I will discuss the fundamental chord and harmonic pitch of Wagner's Tristan und Isolde and Schoenberg's Verklaerte Nacht. I will also examine the Mode music of Olivier Messiuen and his floating pitches, as well as the Bluesy tonal music of George Gershwin, specifically Rhapsody in Blue and An American in Paris and their harmonic pitches. The second issue focused on is Blues Music : blue tonality (Bluesy harmonic pitch) exemplified in Dizzy Gillespie's Blue 'N' Boogie or the chord changes in Charlie Parker's works. Finally, I will discuss the uniqueness of Shamisen music and its tonal center such as Hon-Choshi, Ni-Agari and San-Sagari. My discussion and examination are meant to search for ideas aimed at creating new fresh music for the 21st century. I believe that an equal treatment of Western and Eastern music, and their distinctive notions of tone techniques, will play a key role in the creation of a new type of music.
著者
皆川 弘至 Hiroshi MINAGAWA 尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.71-164, 2004-09-30

1790年から今日に至る凡そ200年余の間に、我が国を訪れた外国人音楽家の公演歴を包括した調査資料は無いに等しい。特に、明治時代以前(1868年以前)、明治時代(1868-1912)、大正時代(1912-1926)の記録は、本稿巻末の参考資料に示した通り、わずかに記録として残されている程度であり、現在は絶版で入手不可能でもある。そこで本稿では、外来クラシック演奏家公演に限定し、新聞記事、刊行物、当時の公演プログラム等を渉猟し、調査・整理・分析・統合を加え、(1)明治時代以前 (2)明治時代 (3)大正時代 (4)昭和時代I<第2次世界大戦前> (5)昭和時代II<戦後> (6)平成元年から現在、の6つに分類した。その主脈を時系列的に概観することにより浮き彫りとなる諸点の中から、特に世界的に著名なオーケストラ14団体の来日公演に絞り、入場料金の推移を、厚生労働省調査による「大卒者初任給額及び対前年増減率の推移」及び総務省調査による「消費者物価総合指数」、「持家の帰属家賃を除く消費者物価総合指数(全国)」と対比し、更にアート・マネージメントの視点から考察を加えた。In the slightly more than 200 years from 1790 until the present day, research documents covering the history of performances of foreign musicians who have visited Japan are virtually non-existent. In particular, as shown in the reference material at the end of this document, records of the Pre-Meiji Era (before 1868), the Meiji Era (1868-1912), and the Taisho Era (1912-1926) barely remain, and furthermore are currently out of print and unobtainable.In light of the above, in this document, newspaper articles, printed publications, contemporary performance programs, etc. relating to the performances of visiting foreign musicians have been extensively read, organized, analyzed, and consolidated, and have in addition been classified into six categories: (1) Pre-Meiji Era; (2) Meiji Era; (3) Taisho Era; (4) Showa EraI (pre-World WarII); (5) Showa EraII (post-war); and (6) Heisei Era through the present.In addition, from among the points which come into focus as a result of taking a broad overview of the main currents therein, and in particular drawing from the performances in Japan of 14 eminent orchestras, an examination of admission prices is provided from the perspective of arts management, in correlation with "Transitions in Year-on-Year Differences in University Graduate Starting Salaries" from a survey by the Ministry of Health, Labor, and Welfare, and with "General Consumer Price Index" and "General Consumer Price Index Excluding Rent of Homeowners (for entire country)" from surveys by the Ministry of General Affairs.