著者
中村 登流
出版者
山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.155-173, 1962-12
著者
藤巻 裕蔵
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.73-79, 2002-10-25 (Released:2008-11-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1 3

北海道のエゾライチョウBonasa bonasiaの食性について,237例のそ嚢内容物にもとづいて調べた。得られたそ嚢数は,狩猟期の1994/95年と1995/96年の10月~1月の216例,非狩猟期の1996年2~9月の21例である。そ嚢内容物の湿重量を計測した後,各食物項目に区分して乾燥し,各食物項目ごとに乾重量を計測した。各食物項目について月ごとに出現頻度と乾重量で示した。調べたそ嚢内容物237例のうち,35例(15%)は空であった。そ嚢内容物の湿重量は0~49.4g,平均(±標準偏差,以下同様)5.3±6.7g(n=237),乾重量は0~22.5g,平均1.88±3.02gであった。例数の多かった10月~1月についてみると,湿重量,乾重量とも10,11月より12,1月で有意に大きかった。出現頻度の高かった食物は,6,7月には草本類の葉,種子,節足動物,8,9月には葉,種子,果実,節足動物,10月には落葉広葉樹の冬芽,ヤマブドウとサルナシの果実,11,12月には冬芽,葉,果実,1,2月には冬芽であった。これらのうち,同定できたのは,冬芽では,ヤナギ類,カンバ類,ハンノキ類,ホオノキ,サクラ類,ナナカマド類,イヌエンジュ,ニシキギ類カエデ類,ツツジ類,トネリコ類であった。葉では,イチイ,トドマツ,カタバミ類,シロツメクサであった。種子では,ウルシ,トウヒ類,トドマツ,カンバ類,ハンノキ類,キイチゴ類,シソ類,カタバミ類,スゲ類,スミレ類であった。果実では,7,8月にはニワトコ,10月以降にはヤマブドウ,サルナシ,マタタビ,フッキソウ,ツルウメモドキ,ナナカマドであった。動物では,カタツムリ類,クモ類,カゲロウ類,カワゲラ類ハサミムシ類,バッタ類,カメムシ類,アワフキムシ類,鱗翅類,甲虫類,アリ類であった。乾重量でみた主要な食物は,6,7月には種子,8~9月には葉,種子,果実,10~12月には冬芽,葉,種子,果実,1~2月には冬芽と果実であった。北海道における食性をヨーロッパと比べると,どちらも植物食である点では基本的に同じであるが,北海道では樹種の多さを反映して多くの落葉広葉樹の冬芽を利用し,ヤマブドウやサルナシといった蔓植物の果実を秋から地表が雪で覆われる厳冬期までよく食べていた。
著者
黒田 長久 米田 重玄
出版者
山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.p177-333, 1983-12
被引用文献数
1