著者
出口 智広 吉安 京子 尾崎 清明 佐藤 文男 茂田 良光 米田 重玄 仲村 昇 富田 直樹 千田 万里子 広居 忠量
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.39-51, 2015 (Released:2015-04-28)
参考文献数
81

生態系サービスの持続的利用を考える上で,生物がどのようなサービスを人間に提供するかだけでなく,このサービスを提供する生物が環境変化によってどのような影響を受けているかの双方の理解が不可欠である.本研究では,東南アジアから繁殖のために日本に渡ってくる夏鳥の中から,気象庁生物季節観測(1953~2008年)および標識調査(1961~1971年,1982~2011年)で情報が多く得られているツバメ,カッコウ,オオヨシキリ,コムクドリを選び,成鳥および巣内雛の出現時期の長期変化,両時期と前冬および当春の気温との関係,および植物,昆虫の春期初認日との関係について調べた.その結果,ツバメ,オオヨシキリ,コムクドリの成鳥および巣内雛は,出現時期が早期化する傾向が見られたが,カッコウだけは出現時期が近年晩期化する傾向が見られた.ツバメ,オオヨシキリの成鳥および巣内雛の出現時期は,気温が高い年ほど早期化する傾向が見られたが,カッコウの出現時期は気温が高い年ほど晩期化する傾向が見られた.これらの長期変化の速度は,一部を除いて,欧米の先行研究の結果からの大きな逸脱は見られなかった.また,これら鳥類と植物および昆虫の出現時期とのずれは一定で推移しているとは言えなかったが,早期化あるいは晩期化する鳥類を隔てる要因や,フェノロジカルミスマッチをもたらす要因について明らかにすることはできなかった.今後フェノロジカルミスマッチに注目した研究を進める際には地域差を考慮した解析が必要である.
著者
出口 智広 広居 忠量 吉安 京子 尾崎 清明 佐藤 文男 茂田 良光 米田 重玄 仲村 昇 富田 直樹 千田 万里子
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.39-51, 2015

生態系サービスの持続的利用を考える上で,生物がどのようなサービスを人間に提供するかだけでなく,このサービスを提供する生物が環境変化によってどのような影響を受けているかの双方の理解が不可欠である.本研究では,東南アジアから繁殖のために日本に渡ってくる夏鳥の中から,気象庁生物季節観測(1953~2008年)および標識調査(1961~1971年,1982~2011年)で情報が多く得られているツバメ,カッコウ,オオヨシキリ,コムクドリを選び,成鳥および巣内雛の出現時期の長期変化,両時期と前冬および当春の気温との関係,および植物,昆虫の春期初認日との関係について調べた.その結果,ツバメ,オオヨシキリ,コムクドリの成鳥および巣内雛は,出現時期が早期化する傾向が見られたが,カッコウだけは出現時期が近年晩期化する傾向が見られた.ツバメ,オオヨシキリの成鳥および巣内雛の出現時期は,気温が高い年ほど早期化する傾向が見られたが,カッコウの出現時期は気温が高い年ほど晩期化する傾向が見られた.これらの長期変化の速度は,一部を除いて,欧米の先行研究の結果からの大きな逸脱は見られなかった.また,これら鳥類と植物および昆虫の出現時期とのずれは一定で推移しているとは言えなかったが,早期化あるいは晩期化する鳥類を隔てる要因や,フェノロジカルミスマッチをもたらす要因について明らかにすることはできなかった.今後フェノロジカルミスマッチに注目した研究を進める際には地域差を考慮した解析が必要である.
著者
小林 さやか 梶田 学 百瀬 邦和 米田 重玄 風間 辰夫
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.214-219, 2010-03-25 (Released:2012-03-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

A specimen of Rufous-chested Flycatcher Ficedula dumetoria was collected at Shidaihama, Seiro-machi, Kitakanbara-gun, Niigata Prefecture (38°01′ N, 139°17′E) on 15 June 2002. This is the first specimen of this species collected from Japan. However, it is unlikely that this individual had flown to Japan as a wild bird.
著者
米田 重玄 上木 泰男
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.96-111, 2002
被引用文献数
1

福井県丹生郡織田町笈松にある環境庁織田山1級鳥類観測ステーションでは,山地性の小鳥類の渡り状況を把握するために標識調査を1973年から,毎年10月中旬から11月上旬までの期間に継続的な調査を行なってきた。調査は,毎年ほぼ一定の枚数のカスミ網を場所を定めて設置し,状況に応じて最大の捕獲効果が得られるように,テープレコーダーで鳥を誘引し,捕獲される鳥の捕獲数•捕獲時期や種構成の年毎の変化を調査してきた。1973年から1996年までの24年間の秋の標識調査では,総放鳥数は合計75種71,416羽であった。もっとも多いのはカシラダカとアオジの2種で総放鳥数の約53%になった。上位10種は,上記の種の他,メジロ,シロハラ,メボソムシクイ,マミチャジナイ,ウグイス,シジュウカラ,ツグミ,アトリであり,合計放鳥数は総放鳥数の90%を占めた。75種のうち毎年放鳥記録があったのは,16種あった。年毎の標識放鳥種数は,21~54種で平均40.0種であった。各年の調査期間が異なるため,ほぼ毎年調査を行なった17日間について,1日の平均捕獲数を年毎に比較した。この期間の放鳥数の多かった上位25種について,種ごとに1日の平均捕獲数を年度別に増減を見て,1970年代から1980年までと,伐採によって環境の変わった後の1983年から1996年との間で比較した。その結果,種による個体数の増減は,(1)有意に減少傾向が見られる種(カシラダカ,メジロ,アトリ等9種),(2)有意に増加傾向が見られる種(アオジ,クロツグミ),(3)放鳥数に有意差がない種(メボソムシクイ,エナガ,ムギマキ等14種),(4)(3)の種のうち年変動が激しい種(ウソ,ルリビタキ,キビタキ等4種),に分けられた。増減の変化が特に大きかったカシラダカとアオジの放鳥数の変動は,他の調査地との比較によって,大規模伐採の影響が示唆された。1970年代と1990年代とを比較すると,1970年代に比べて1990年代では種数で9種減少し,放鳥数では約半分となった。特に,カシラダカ,アトリ,ツグミについては,1990年代には1970年代に比べて100分の1から10分の1の放鳥数であった。いっぽう,アオジ,シロハラについては1970年代よりも1990年代の方が多かった。1970年代に織田山1級観測ステーション周辺で行われた大規模な伐採が,環境を大きく変化させ,標識鳥の種構成や,個体数を変化させたと考えられるが,鳥種によって変化の仕方が様々であった。しかし,全体的に言って種の多様性が少なくなったと考えられた。
著者
黒田 長久 米田 重玄
出版者
山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.p177-333, 1983-12
被引用文献数
1