- 著者
-
加納 寛子
- 出版者
- 日本情報教育学会
- 雑誌
- 情報教育 (ISSN:24343463)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, pp.9-16, 2020 (Released:2020-05-01)
- 参考文献数
- 13
近年AIに関する技術は飛躍的に進展してきており,社会人を対象にAIに対するイメージの調査なども行われている.本稿は,小学生のAIやロボットに対する意識に焦点を当てて分析を行った.プログラミング経験の有無とプログラミングに対する意識についての分析結果より,「プログラミングは魅力がある」「プログラミングを学びたい」「プログラミングが好き」の3項目については,プログラミング経験がある者の方が,魅力や好感を持ち学ぶ意欲も高いことが示された.ビジュアルプログラミング言語など,小学生にも取り組みやすいプログラミングソフトやアプリが多数開発されてきており,経験をする前には,ハードルが高く感じられるが,経験することにより,魅力や好感・意欲の向上につながることが推察された. AIの発展に対する意識については,プログラミング経験の有無によらず,子ども達は,AIの発展に対し,期待し,興味・関心を持ち,おもしろい,役立つと考えていることがわかった.一方で,少なからず不安も抱いている者もいることが読み取れた.そこで,不安高群と低群に分類し,AIの発展に対する意識との関連を調べたところ,不安もあるけれど期待している,不安もあるけれど興味もある,という積極的な意識としての不安感であった. さらに,AIロボットに期待することと不安に感じることに関する記述傾向として,「楽しさ」「技術発展」「他者との関わり」「(生活や家庭など身の回りのところへの)普及」「必要悪」「支配と恐怖」に,分類された.このことから,負の側面を認識した上で,発展や楽しさなど明るい希望的側面に期待を寄せていることが推察された.