著者
岡本 哲和
出版者
関西大学
雑誌
情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-36, 2005-07-15
被引用文献数
1

本稿の目的は,2003年11月7日に実施された衆議院選挙のデータを利用して,候補者がどのような内容のウェブサイトを開設しているのか,またその内容に影響を及ぼす要因は何かという問題を,数量分析を用いて明らかにすることである.相互作用性,情報提供,プレゼンテーション,アクセスの容易性の4つの基準に従って各ウェブサイトの充実度を測る指標を作成し,それを従属変数として順序プロビットによる分析を行った.その結果として,立候補タイプや候補者の社会的属性とともに,所属政党および候補者の地位がサイトの充実度に影響を及ぼしていたことが明らかになった.このような分析結果は,他の先進諸国と同様に我が国においても「通常化」の現象が進行しつつあることを示唆している.
著者
武岡 春奈 田中 里枝 林 武文
出版者
関西大学総合情報学部
雑誌
情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.21-37, 2011-01-21

色立体視は,背景と2 色以上の領域で構成される平面パタンにおいて,特定の色が進出あるいは後退して知覚される現象である.そのメカニズムは,眼球光学系の軸外色収差に基づく両眼立体視とされているが,それだけでは十分に説明出来ない現象も報告されている.本研究では,軸外色収差による両眼視差量を実験により求め,背景色による奥行きの逆転現象と奥行き量の変化について調べた.また,精密模型眼を用いて光線追跡による数値シミュレーションを行い,実験結果を定量的に説明できることを示した.さらに,自然視の色立体視で顕著な個人差の原因について,シミュレーション結果に基づく考察を加えた. Chromostereopsis is a visual perception where a specifi c color is perceived closer to or farther from the observer than the other colors in a plane pattern that consists of at least two colors with a background color. The mechanism responsible for this phenomenon is considered to be binocular stereopsis by chromatic aberration of the eyeball optical subsystem; however, previous quantitative evaluations have been unsatisfactory. In this paper, we experimentally and numerically study a reversal phenomenon of the depth by background color and a change in the magnitude of this depth. Furthermore, we discuss individual differences in the depth perception in the chromostereopsis on the basis of numerical simulation results.
著者
岩田 年浩 須賀 竜哉 田村 亜由美 吉岡 展祥
出版者
関西大学
雑誌
情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-11, 2006-07-12
被引用文献数
2

個人での資産運用のこれからの形ともいえる株式投資において,株価の動きを予測することの重要性はますます高まっていくだろう.そこで本研究では,安定性という観点から新たな分析方法を打ち出した.すなわち,より規則性の高いものはより予測しやすく,利益の確保においてより確実性が高いということから,直後の株価予測ではなくむしろ利ざやを得るためのよりリスクの少ない,または確実な銘柄選びということを考えたのである.そしてその分析を誰しもが手軽に行えるよう独自のソフトを開発し,その有益性を実証した.
著者
バルティコウスキー ボリス 亀井 克之
出版者
関西大学
雑誌
情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.63-75, 2008-02

本稿は,2007年6月16日から7月31日までの期間,外国人招へい研究者として,関西大学総合情報学部に滞在したボリス・バルティコウスキー氏が7月4日に行った総合情報学部講演会「マーケティング・ローカライゼーションの展開-地域性に基づくカスタマイゼーションの重要性-」の記録である.講演のテーマは,マーケティングの分野におけるグローバリゼーションとローカライゼーションの有効性をめぐる議論である.具体的な考察対象として,企業のWEBサイトを題材とした調査から,進出先の地域的な文化に適応させることが消費者の信頼や態度にどのような影響を及ぼしているかについて,次の諸点が明らかとなった.(1)ローカリゼーション(地域文化適応)戦略は,状況によって,異なる効果をもたらす.(2)ブランド力は,ローカリゼーション(地域文化適応)の効果をしのぐ傾向にある.(3)WEBサイトを通じたさまざまなサービス提供は,WEBサイトのローカリゼーション(地域文化適応)から大きな影響を受ける.