著者
村松 常司 村松 園江 秋田 武 〔他〕
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
no.44, pp.p75-86, 1995-02
被引用文献数
1

青年期女性を対象にして,日常生活行動様式やBreslowの7つの健康習慣(ライフスタイル)と喫煙習慣との関連を調査し,さらに,性格特性がそれらにどう関連しているかを追究することを目的とし,無記名質問紙法により,平成4年9月~11月に調査を行い,以下に示す成績を得た。(1)対象の喫煙者率は7.5%であり,両親の喫煙とは関連は認められなかった。(2)喫煙者は自動車運転を楽しむ,コーヒーや酒を飲む,化粧をする,流行として女性の生き方を取り入れる,周囲の目を気にしないなどの外向的な行動パターンをとっていることが認められた。(3)喫煙者は毎日朝食をとらない,睡眠時間が短い,栄養のバランスに気をつけないなど,健康に対する価値づけが低いということが認められた。(4)喫煙者は喫煙に対して肯定的な認識を持ち,非喫煙者は喫煙に対して否定的であった。喫煙者,非喫煙者間で最も喫煙に対する認識に差がみられたのは,情緒的意識(精神が集中できる,落ち着くなど)であった。(5)喫煙者のエゴグラムではFC(自由奔放さ)が高く,A(客観的判断力),AC(順応性)が低かった。つまり,天真爛漫で活発だが協調性に欠ける。それに比較して,非喫煙者のエゴグラムではA,ACが高く,FCが低かった。すなわち非喫煙者は社会適応度が高いことが認められた。以上のことから,青年期女性の喫煙習慣とライフスタイル,性格特性にはそれぞれ関連があることが示唆された。
著者
村松 常司 村松 園江 伊藤 章
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
no.36, pp.p123-131, 1987-02

Six healthy male students who have a habitual inhalation of tobacco smoke were subjected in the present study. The skin temperature, systolic and diastolic blood pressure levels and heart rate were measured to grasp acute effects of smoking after exercise and eating in 1980. The results obtained from the experiments are as follows: (1) The finger skin temperature decreased by smoking cigarettes 'Seven Star'. This decrease was observed from the first cigarette. (2) Systolic and diastolic blood pressure levels and heart rate increased after smoking and exercise, respectively. (3) The increase of heart rate was observed further by smoking after exercise than only by exercise. On the other hand, systolic and diastolic blood pressure levels did not increase just after exercise, but the recovery time to control period level was prolonged as compared with merely exercise. (4) After eating, the decreases of finger skin temperature and diastolic blood pressure level were observed, while the increases were observed among systolic blood pressure level and heart rate, respectively. (5) By the smoking after eating, the decreases of finger skin temperature and diastolic blood pressure level were observed further, while the increases were observed among the systolic blood pressure level and heart rate. The recovery time to control period level among every index, was prolonged.指先の皮膚温,収縮期および拡張期血圧,心拍数を指標にして,運動後,摂食後の喫煙による急性影響を把握することを目的として,喫煙習慣を持つ健康な大学生6名を対象にして, 1980年9月~10月に実験を行い,以下のような成績を得た。(1)セブンスターを喫煙することによって指先の皮膚温は低下し,1本目から低下が観察された。(2)喫煙後ならびに運動後の収縮期および拡張期血圧,心拍数は増加した。(3)運動後の喫煙によって,心拍数は運動直後よりもさらに増加した。収縮期および拡張期血圧は運動後の喫煙によっては上昇はみられなかったが,運動だけの時より安静時レベルヘの回復が遅れた。(4)摂食後の指先の皮膚温および拡張期血圧は低下し,収縮期血圧および心拍数は増加した。(5)摂食後の喫煙によって指先の皮膚温および拡張期血圧は,摂食後よりさらに低下し,収縮期血圧ならびに心拍数はさらに増加し,安静時レベルヘの回復が遅れた。
著者
村松 常司 高岡 泰子 金子 修己 村松 成司 村松 園江 秋田 武 堀安 高綾
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
no.43, pp.p95-108, 1994-02

成人病を予防するために子供の頃からの適正なライフスタイルの形成が必要である。そこで,愛知県N市における小・中学生の日常生活習慣を明らかにし,問題点を把握するため,平成2年10月にN市内の全小・中学生から小学生1,248名,中学生1,079名を無作為に抽出し,JKYB調査票を用いて調査を行い,以下に示す結果を得た。1)小学生の喫煙すると体のどこに悪いかの回答で,肺,心臓と回答した者はそれぞれ94.7%, 45.0%であり,心臓と回答した者は少なかった。中学生のタバコの有害成分の正答率は男子50.8%,女子56.3%であり,いずれも学年を経るにつれて正答率は増加した。2)将来喫煙を望む者は小学生では男子10.9%,女子1.0%,中学生では男子19.0%,女子3.2%であり,ともに男子の方が多い。喫煙経験者と喫煙非経験者で将来の喫煙願望を比較すると,小学生では15.2%, 4.5%,中学生では29.0%, 5.6%であり,ともに喫煙経験者の方が将来の喫煙を望む者が多かった。3)喫煙経験率は小学生男子20.7%,女子9.0%,中学生男子33.5%,女子17.5%であり,小・中学生ともに男子の方が高かった。4)飲酒経験率は小学生男子73.7%,女子61.8%,中学生男子8,女子85.5%であり,小・中学生ともに男子の方が高かった。5)塩分,糖分,脂肪を含む食品の判別については小・中学生ともに高い正答率であった。コレステロールを含む食品判別については小学生22.1%,中学生55.0%であり,ともに正答率は低かった。食品と疾病との関連についての正答率は小・中学生ともに低かった。また,小・中学生ともに塩分と高血圧の関連(小学生43.3%,中学生76.3%)よりも,コレステロールと心臓病の関連(小学生23.9%,中学生47.7%)の方が正答率は低かった。 6)中学生の健康的な食生活をしているとした者は男女とも多かった(男子89.8%, 女子96.0%)。 7)朝食を毎日食べるとした者は小学生75.2%(男子74.0%,女子76.3%),中学生74.0% (男子75.0%,女子72.9%)であった。8)中学生の肥満の弊害についての正答率は男女とも低く,約30%であった。 9)小学生で有酸素運動としてサイクリングを選んだ者は70.7%であった。また,中学生で有酸素運動として間違っているものとして,バーベル挙げを選んだ者は61.3%であった。有酸素運動の効果については中学生の64.0%が正答の心臓や肺が鍛えられるを選んだ。10)運動の効果として中学生の正答率は男子58.6%,女子65.8%であった。11)今回の調査から小・中学生の日常生活習慣には種々の問題点が浮び上がってきた。例えば,小・中学生ともに約4分の1の者が朝食を「時々食べる十ほとんど食べない」としている。その原因には夜更かしなどして朝起きられないという子供の生活習慣の問題なのか,家庭の問題なのかが考えられる。また,食品と疾病との関連については小・中学生とも正答率が低い。朝食をはじめ多くの日常生活習慣は互いに関連していることが予想され,今後追跡調査を行うとともに,家庭の協力特に母親の協力のもとに児童生徒たちの実態に即した適切な指導を行うことが必要である。