著者
久武 綾子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.338-341, 1967

以上が本調査対象区の、昭和25~34年における統計結果の第3編であるが、要約すると、<BR>1) 夫は、前婚解消より1年までに約27%、3年までに約60%、再婚している。<BR>2) 妻は、前婚解消より1年までに約10%、3年までに35%、5年までに約55%再婚している。<BR>3) 再婚者の挙式時の年齢階級は、男は30~34才、25~29才の層に多く、両方合わせると40%以上をしめ、女は、25~29才に30%以上あり、30~34才が24%ぐらいで両方合わせると55%近くをしめる。<BR>4) 45才以上の再婚者を累計すると男は23%、女は5.5%で、男は再婚の年齢層の幅が広く、女は狭く集中しているのが特徴である。<BR>5) 挙式時の平均年齢は、夫は約37.2才、妻は30.5才で標準偏差は夫10.43、妻7.43で、夫は妻より年齢層の幅が広いことが、これによっても実証される。<BR>6) 挙式時と届出時の平均年齢の差は、西区の統計では初婚は約0.5才、再婚は約1.1才であった。<BR>7) 再婚者の夫と妻の年齢差は、3~6才夫が年上の場合が多く、挙式時の平均年齢の差は約6.2才で、初婚の3.3才に比べるとその差は著しい。
著者
久武 綾子
出版者
The Japanese Association of Sociology of Law
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1964, no.16, pp.81-106,147, 1964

以上の調査結果は、<br>(1) 調査区は、いずれも職業別人口構成を異にするが、総括的にみると、推計学的に検定した結果も統計上の有為差は、一部の統計結果を除き、殆んど認められなかったので、本調査の地域差は期待に反し、顕著な差ではないことがわかった。<br>(2) 婚姻届出日と第一子出生日との隔たりについての統計結果から、妊娠または出産を契機として入籍するという一慣行、すなわち、事実婚より法律婚への転機の一原因が実証された。このことは、戦前は勿論、戦後も意外に多いことがわかった。<br>(3) 婚姻の届出が第一子の出生後、出生届の期間内の一四日までになされる率は、いずれの時代でも相当数を占め、最近でもこのような例は稀でないことがわかった。<br>(4) 婚姻成立後、九~一〇月で子の出生をみる傾向は、最近になってようやくあらわれた。<br>(5) 古い時代はとくに、現在でも内縁期間中の懐胎が相当多く、これは挙式後婚姻の届出がすぐに行なわれなかったためである。<br>(6) 挙式日と出生日との隔たりについての統計結果は、時代の推移にかかわらず一〇月にピークがみられる。<br>(7) 社会生活上、挙式は重大な規範であり、厳守されているが、その反面、制度としての婚姻の届出は、おくれがちであることが実証された。<br>(8) 婚姻の届出は、挙式後一ケ月までになされる率が、調査区および調査期間とは関係なく一番多かった。<br>(9) 以上、これらの調査結果から、婚姻にみられる慣習規範と、二、三の慣行が統計的に裏づけられた。<br>(10) 本調査により、大都市における婚姻と届出に対する一般市民の実態が明らかになったが、今後は、調査地を農村に求めてこれと比較するとともに、進んでは、届出制度そのものに対する法社会学的背景を探究するための若干の調査と考察を試みたいと思う。
著者
久武 綾子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.281-286, 1961

1) 婚姻届出日より第一子出生日のへだたりの統計結果から、妻の妊娠又は出産を契機として入籍するという、事実婚より法律婚への転機の一原因が実証された。<BR>2) 1) の件数は戦前戦中は特に多く、戦後も25年位までは相当多い。<BR>3) 婚姻の届出が第一子出生後2週間以内でなされる件数は戦前戦中は特に多く14%位をしめ、戦後25年位までは13%であるがそれ以後は次第に減少する傾向がみられる。<BR>4) 2) の2週間以内というのは出生の届出の期限と一致し、これは内縁期間に出生した場合に非嫡出子として一旦、母の戸籍に入るのを未然に防ぐためと推察される。<BR>5) 婚姻成立後即ち、婚姻届出後9~10ヵ月で第一子の出生をみる傾向は最近になってようやくあらわれた。6) 古い時代には特に法制的には内縁期間中の懐胎が相当多い。これは挙式後婚姻の届出をすぐに行なわなかったためである。<BR>7) 挙式日と出生日のへだたりは時代の推移にかかわらず10ヵ月にピークがある。<BR>8) 子の出生日から逆算すると式以前の同棲期間中の懐胎件数は法制上の内縁期間中の懐胎にくらべると少ないことがわかった。<BR>9) 社会生活上、挙式そのものは重大な規範でありながら、その反面、制度としての婚姻の届出はおくれがちであることが判明した。<BR>10) 婚姻届出に関する社会的経済的背景としての職業は、俸給生活者はその届出が早く、その中、教員、公務員は届出は特に早い傾向がみられる。
著者
久武 綾子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.281-286, 1961-08-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
13

1) 婚姻届出日より第一子出生日のへだたりの統計結果から、妻の妊娠又は出産を契機として入籍するという、事実婚より法律婚への転機の一原因が実証された。2) 1) の件数は戦前戦中は特に多く、戦後も25年位までは相当多い。3) 婚姻の届出が第一子出生後2週間以内でなされる件数は戦前戦中は特に多く14%位をしめ、戦後25年位までは13%であるがそれ以後は次第に減少する傾向がみられる。4) 2) の2週間以内というのは出生の届出の期限と一致し、これは内縁期間に出生した場合に非嫡出子として一旦、母の戸籍に入るのを未然に防ぐためと推察される。5) 婚姻成立後即ち、婚姻届出後9~10ヵ月で第一子の出生をみる傾向は最近になってようやくあらわれた。6) 古い時代には特に法制的には内縁期間中の懐胎が相当多い。これは挙式後婚姻の届出をすぐに行なわなかったためである。7) 挙式日と出生日のへだたりは時代の推移にかかわらず10ヵ月にピークがある。8) 子の出生日から逆算すると式以前の同棲期間中の懐胎件数は法制上の内縁期間中の懐胎にくらべると少ないことがわかった。9) 社会生活上、挙式そのものは重大な規範でありながら、その反面、制度としての婚姻の届出はおくれがちであることが判明した。10) 婚姻届出に関する社会的経済的背景としての職業は、俸給生活者はその届出が早く、その中、教員、公務員は届出は特に早い傾向がみられる。
著者
久武 綾子
出版者
日本法社会学会/有斐閣
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1964, no.16, pp.81-106,147, 1964-04-10 (Released:2009-06-16)
参考文献数
7

以上の調査結果は、(1) 調査区は、いずれも職業別人口構成を異にするが、総括的にみると、推計学的に検定した結果も統計上の有為差は、一部の統計結果を除き、殆んど認められなかったので、本調査の地域差は期待に反し、顕著な差ではないことがわかった。(2) 婚姻届出日と第一子出生日との隔たりについての統計結果から、妊娠または出産を契機として入籍するという一慣行、すなわち、事実婚より法律婚への転機の一原因が実証された。このことは、戦前は勿論、戦後も意外に多いことがわかった。(3) 婚姻の届出が第一子の出生後、出生届の期間内の一四日までになされる率は、いずれの時代でも相当数を占め、最近でもこのような例は稀でないことがわかった。(4) 婚姻成立後、九~一〇月で子の出生をみる傾向は、最近になってようやくあらわれた。(5) 古い時代はとくに、現在でも内縁期間中の懐胎が相当多く、これは挙式後婚姻の届出がすぐに行なわれなかったためである。(6) 挙式日と出生日との隔たりについての統計結果は、時代の推移にかかわらず一〇月にピークがみられる。(7) 社会生活上、挙式は重大な規範であり、厳守されているが、その反面、制度としての婚姻の届出は、おくれがちであることが実証された。(8) 婚姻の届出は、挙式後一ケ月までになされる率が、調査区および調査期間とは関係なく一番多かった。(9) 以上、これらの調査結果から、婚姻にみられる慣習規範と、二、三の慣行が統計的に裏づけられた。(10) 本調査により、大都市における婚姻と届出に対する一般市民の実態が明らかになったが、今後は、調査地を農村に求めてこれと比較するとともに、進んでは、届出制度そのものに対する法社会学的背景を探究するための若干の調査と考察を試みたいと思う。
著者
久武 綾子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.188-191, 1966

1) 名古屋市を、住宅、商工業、商業、工業地域にわけ各々代表区を選び、婚姻届によって結婚式直前の夫と妻の職業を調査し、その中、夫と妻が同業のものをさがし、その同業の率を求めた結果、職業的な一つの通婚圏の実態が把握された。<BR>2) 職業中分類の教員は、調査の初年(昭和25年)頃より夫と妻の同業率が高く、他の職業と異なり、その後の年次的変化はみられず、その約25~30%は同業であった。<BR>3) 一般事務徒事者は、中分類における同業の率は、年と共に高くなり、最近では30~35%位、妻も一般事務徒事者である。<BR>4) 技能工のうち、小分類、中分類内の同業の多い職種は、女子でも就業可能な紡績、織物、陶磁器、飲食料品製造徒事者などで、最近ではこの件数もかなり増えている。<BR>5) サービス職業従事者の中では理容師問、料理人と給仕人との婚姻のような職場を同じくする者の間の同業が多い。<BR>6) 職業小分類、中分類内の同業者の婚姻には、いわゆる職場結婚と推察される標本も少なくなく、それにより結婚形態の一つの近代化が認められます。