- 著者
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千葉 悦子
- 雑誌
- 文化学園大学紀要. 服装学・造形学研究
- 巻号頁・発行日
- vol.43, pp.11-20, 2012-01-31
ベルベットの特徴である添毛によって作られる毛並方向と裁断時の布目方向に着目し、黒、青、緑、赤、白の5 色のレーヨンベルベットに「格子の四隅をすくっていく方法」のラティススモッキングを用いた場合の装飾模様の形状観察と装飾効果の有効性について検討した。装飾模様の形状の観察結果から、逆毛方向に構成された装飾模様は、なで毛方向より濃く見えていた。布目方向がたて方向に裁断された試料に施された装飾模様の花弁の形状は、花弁が形成される方向と布の剛軟度の硬いたて方向が一致するため、装飾模様は立体的できれいな形状に保たれ、高い評価が得られた。同じ色の試料について毛並方向・布目方向の組み合わせが異なる設定の7 種について、順位法を用いて模様を評価した結果、青、緑、赤、白の4 色は共通して、逆毛方向・たて方向の試料に対して装飾効果の有効性が高いと評価された。しかし、低明度の黒は、逆毛方向バイアス方向の試料が高く評価された。逆毛方向・たて方向の試料について、色の違いによる装飾模様の印象と装飾効果について順位法を用いて評価した結果、赤は装飾模様の装飾効果の有効性で最も高い評価が得られた。