- 著者
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安藤 潤
- 出版者
- 新潟国際情報大学国際学部
- 雑誌
- 新潟国際情報大学国際学部紀要 (ISSN:21895864)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, pp.15-38, 2016-04-28
本論文では1980 年以降の四半期データを用いて米国における防衛部門経済の外部効果を実証的に考察した.防衛経済学の先行研究で従来用いられてきたFeder-Ram モデルは多重共線性の発生を始めとしていくつかの推定上の課題を持つが,モデルを修正し,多重共線性を発生すると考えられる説明変数を標準化することでその課題を克服した.ポスト冷戦期では防衛部門経済から非防衛部門経済への,そして防衛部門経済から民間部門経済への有意な正の外部効果が存在し,それら弾性値はともに0.001(年率換算で0.004)であることが明らかにされたが,冷戦期では有意な外部効果は確認されなかった.また米国は両期間において防衛支出拡大による経済成長率押上げ効果を享受することが可能であったこと,ただしその経済成長率押上げ効果は冷戦期がポスト冷戦期を上回っていたことも明らかにされた.