著者
越智 敏夫
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学国際学部紀要 (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.75-88, 2016-04-28

第一次世界大戦から第二次世界大戦にいたる時期、いわゆる「大戦間期」において日本の政治学は特異な発展を遂げたといえる。それは大正デモクラシーから始まり、天皇制ファシズムと超国家主義の勃興へといたる時期である。この現実政治と政治学的認識の同時的展開はどのように呼応していたのか。戦後政治学はこうした経験に対する「悔恨共同体」として始まったと丸山眞男は述べ、政治理論の有意性と科学性に関する論文によって戦後日本の民主化に深く関わった。その丸山の論考に対する高畠通敏の批判と継承の両面について検討する。その作業によって政治理論の現実政治に対する有効性の観念について考察し、戦後民主主義の理念的特性に関する議論を展開した。
著者
酒井 直樹
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学国際学部紀要 (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
pp.1-28, 2015-07-01

新潟国際情報大学開学20周年記念情報文化学部情報文化学科学術シンポジウム特集
著者
高橋 正樹
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学国際学部紀要 (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.1, no.創刊号, pp.117-133, 2016-04-28

西欧植民地主義勢力は周辺国の植民地化がコスト高だと判断した場合、その主権国家化を支援した。ただし、そのような国家形成は、植民地化された国と同様にその周辺国の国家と社会との亀裂を内在化させた。タイの国家形成史はまさにこのケースに当てはまる。タイは、19世紀中期から20世紀初頭まで、英仏がバンコク王朝の宗主権を侵食しつつビルマ、マレー、インドシナを植民地化し、他方でバンコク王朝はその結果、領域主権国家としての境界を画定していった。その結果、タイ国家はとくにイギリスの支援を受けながら主権国家としての国家機構を構築した。この過程で他の政治勢力に対して圧倒的な力をもつ国家エリートがバンコクを中心に構築される一方で、地方エリート勢力は解体され、また地方エリートと民衆の関係が解体していった。さらに、1930年代から40年代にかけて、新興の国家官僚層は、英仏植民地主義体制が不安定化すると、南進政策をとる日本に接近し、領域主権国家としての強化を試みた。
著者
唐 利国
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学国際学部紀要 (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
pp.43-47, 2015-07-01

1978 年に「改革開放」の政策に転じる以来、中国経済は高成長を続けてきていた同時に、貧富の差が拡大しつつ、格差社会が顕著となっている。その要因として、「都市と農村の格差」・「地域の格差」・「産業の格差」・「腐敗問題」の四つがある。2013 年、中国中央政府の政権交代以来、習近平主席も格差社会を是正するために、さまざまな政策を講じている。収入分配制度の改革と都市化の推進は、今の中国政府の重要な施策だ。そして、より根本的な政策として、今の中国政府は政治改革をさらに推進する必要がある。より健全な市場体制を構築する以外、格差を解決する方法がない。
著者
安藤 潤
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学国際学部紀要 (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-38, 2016-04-28

本論文では1980 年以降の四半期データを用いて米国における防衛部門経済の外部効果を実証的に考察した.防衛経済学の先行研究で従来用いられてきたFeder-Ram モデルは多重共線性の発生を始めとしていくつかの推定上の課題を持つが,モデルを修正し,多重共線性を発生すると考えられる説明変数を標準化することでその課題を克服した.ポスト冷戦期では防衛部門経済から非防衛部門経済への,そして防衛部門経済から民間部門経済への有意な正の外部効果が存在し,それら弾性値はともに0.001(年率換算で0.004)であることが明らかにされたが,冷戦期では有意な外部効果は確認されなかった.また米国は両期間において防衛支出拡大による経済成長率押上げ効果を享受することが可能であったこと,ただしその経済成長率押上げ効果は冷戦期がポスト冷戦期を上回っていたことも明らかにされた.