著者
藤澤 忠盛 清水 淳史
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.142, 2021 (Released:2022-02-23)

カンボジアの首都プノンペンでは、植民地時代からシハヌーク政権時代にかけて行われた街区の形成や開発プロジェクト、当時の建築が現在でも都市全体の性格を規定している。一方で、クメール・ルージュ政権の後、首都に人口が戻り始めた1980年代を堺に、それまであった民族ごとの棲み分けは解体された。そして、1993年に再び独立を果たすと、国際NGOや観光客が増えたことで海外との交流が盛んになり、徐々に地区ごとの特性が現れるようになった。2000年代以降、歴史的な建築物の用途変更が各地で行われているが、その目的や方法は多様であり、総合的な都市計画を欠いたまま都市が無秩序に拡張していくことで、価値のある建築物の解体や、スラムの形成が加速することが危惧される。本研究では、地区ごとの歴史性や現状を調査・分析することで、地域地区の形成や景観の保存という観点も考慮した都市計画が必要であることが明らかになった。
著者
福本 塁
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.122, 2021 (Released:2022-02-23)

筆者は防災トランプWEB版を開発し、感染症予防に配慮した防災教育実践の実施方式についてInstructional Designの視点から考察した。結果、「実践の楽しさ」「ルールの理解」「学びの獲得」の各項目は、対面・オンラインに関わらず肯定的な評価結果が得られた。また、ARCSモデルに基づいて感染症リスクのないオンライン実施方式においても、世代をこえて防災について楽しく話し合う場づくりは学習意欲が高まる効果が見込めることが示唆された。
著者
吉松 孝 池田 美奈子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.286, 2021 (Released:2022-02-23)

筆者は,これまでの研究で,米中シットコムの笑い(ラフ・トラックの挿入ポイント)と言語的特性について,どういった要因が,シットコムの笑いの挿入ポイントの差異に影響を与えているのかを述べた.しかし,米中シットコムの笑いや作風の差異の背景は,言語的特性のみではない.とりわけ,制作者や視聴者といった国民性としての思考習慣(考え方)の違いも重要な要因と考えられる.そこで,本研究では,思考習慣を複数の視点に分け,米中シットコムのテキストを,分析的思考,全体的思考,演繹性,機能性,低コンテクスト,高コンテクストがどこに見られるかという視点から分析した.その結果,米国シットコムには,演繹性,分析性が見られ,中国シットコムから,帰納性は1例しか見られなかった.一つの事柄から分析的に話を展開していくのは,シットコムの特性でもあり,分析しながら話を進めていくような傾向は米中シットコムどちらにも見られた.思考習慣に関する先行研究では,中国人は分析的でないとされてきたが,中国シットコムでは,シットコムの特性から,分析的と解釈されるようなテキストも用いられていることが分かった.
著者
坂本 舞 吉岡 聖美
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.306, 2021 (Released:2022-02-23)

音楽聴取の媒体が多様化し,手軽に音楽を聴くことができるようになっている一方で,音楽を長期間繰り返し聴いて楽しむことが少なくなっている。本研究では,音楽の聴き方に関するアンケート調査を実施し,音楽を聴いたときの気持ちがお気に入りになることに関係していると考えられる結果が得られた。そこで,音楽を聴いたときの気持ちを5種類のスタンプで記録することができるアプリ「Music Feelings Log」を提案する。曲を知った経緯や好きな理由などを書き込めるコメント機能も備えている。気持ちを記録して可視化することによって,音楽に対する愛着に繋がる可能性があると考える。
著者
渋谷 里奈
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.358, 2021 (Released:2022-02-23)

日本にいる女性は化粧をすることが習慣となっている。広告には、大きい目や、美白を謳った広告も多くあり、流行にそった化粧をするなど一つの美に追従する形になっている。ファッション業界の話になるが、アメリカ合衆国の企業と日本の企業を比べると、モデルの体型や人種も偏っていてる。美を目指すことは一つの幸せでもあるが今は美を目指すことが一つの社会問題にもなっている。一つの美によって苦しむのなら、自分にとっての美を探すことが解決策になると思う。本研究の目的は画一的な美的価値観を持つ日本人女性が多様な美的価値を気づく化粧品の提案を研究することが目的である。化粧品を実際に自分で作ったり、ワークショップを行う、心理影響の調査を行ってきたが、今自分がやりたいことを考えた結果、多様な人を考慮して自分らしい香水を作ることにした。今回は、香水の試作と評価を行い,香料が女性の心理にどのように影響するかを実験した。その結果、一つの香りでも違った印象を与え、美しさを考えるきっかけとなった。
著者
橋本 翔 柳澤 秀吉
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.262, 2021 (Released:2022-02-23)

新奇だが関連した意味を持つ単語はアイディアの発散を促進する.本研究では,入力した語の意味に関連しかつ新奇性のある語句を推薦する計算機システムを提案する.提案する計算機システムは,自由エネルギー原理に基づいたアルゴリズムを用いている.自由エネルギー原理とは生物の知覚・認識・行動プロセスを統一して説明すると期待されている理論である.システムは発想の起点となる語句と,発想の方向性を決定する語句の2つの語句を入力とし,与えられたコーパス下での推薦語句を出力する.システムは,起点となる語句からの新奇性をパラメータとしてコントロールすることができ,そのアイディア発散過程で求められる新奇性の大きさに応じて出力を変化させることができる.日本語Wikipediaをコーパスとした我々のシステムの出力語を,同日本語Wikipediaで学習させたWord2vecの出力語と比較し,本システムの有効性を議論する.
著者
齊藤 恭子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.224, 2021 (Released:2022-02-23)

この研究の目的は、デジタルマーケティングをとりまく各専門デザイナーに、プロジェクト進行のリスクを低減する方法を示し、組織間を超えたプロジェクトデザインを提案することを最終目的とする。本稿では、問題発生箇所の調査・考察を行った。
著者
三冨 敬太 佐藤 優介 阿部 菜々子 佐藤 尋宣 藤井 賢二 安藤 昭太 山田 悠平
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.276, 2021 (Released:2022-02-23)

インクルーシブデザインは重要度が増しているが、障害のある人とない人が共感を得ながらコミュニケーションを進めることは簡単ではない。現状のインクルーシブデザインのデザインプロセスでは、コミュニケーションの齟齬が発生する可能性を残している。そのため、本研究では、障害のある人とない人が共感を得て円滑なコミュニケーションを行うことができる介入を加えた、デザインプロセスを提示した。具体的には、インクルーシブデザインのデザインプロセスをベースに、共創型対話のアプローチを組み込んだ、Valuable Designプロセスを提示する。また、本デザインプロセスをもとにデザインしたコンセプトの提示を行いフィードバックを得た結果、本デザインプロセスを通じて、障害の有無を超えたメンバーで新規性の高い価値を顕在化できる可能性が示唆されたと考えられる。
著者
石上 耕大 田村 良一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第68回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.180, 2021 (Released:2022-02-23)

現状のネット通販において,服の生地の風合いが利用者に対して正しく伝えられていないと考えられる。本研究では,「ネット通販における生地の表現方法から感じる風合い」と,「実物の生地から感じる風合い」との差が小さくなるような表現方法を検討した。4種類の生地を対象として,4種類の表現方法に着目した比較実験を行った。実験結果の分析から,風合いの違いに基づき,平面的な画像,立体的な画像というように,表現方法を使い分けた方が良いことが示唆された。