著者
木原 裕貴 大田 敏之 福原 里恵 藤原 信 岩永 甲午郎 中田 久美子 本田 茜 古田 靖彦 大津 一弘 亀井 尚美 花見 亮治
出版者
The Japanese Society for Pediatric Nephrology
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 = Japanese journal of pediatric nephrology (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.71-76, 2007-04-15
参考文献数
20
被引用文献数
3 3

症例は日齢3の男児。血性嘔吐,腹部膨満,腹腔内遊離ガスを主訴とし,著明な高アンモニア血症,高エンドトキシン血症を認めた。持続的血液濾過透析を施行し,アンモニア値は減少傾向となったが,低血圧は改善しなかった。エンドトキシン吸着療法を施行したところ,血圧の上昇とともに,全身状態は改善し,根治術へつなげることができた。開腹所見は胃破裂であった。体外循環に伴う問題はなく,安全に施行することができた。成人領域においては,本治療法は広く行われているが,新生児では普及するにいたっていない。本症例において有効であったエンドトキシン吸着療法について,その機序と今後の適応基準を考察した。
著者
唐澤 環 池住 洋平 鈴木 俊明 内山 聖
出版者
The Japanese Society for Pediatric Nephrology
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 = Japanese journal of pediatric nephrology (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.13-18, 2009-04-15

わが国では小児IgA腎症の治療指針が示され,比較的重症例に対してステロイド薬,免疫抑制薬を含むカクテル療法が行われ良好な成果が得られている。しかし,治療による副作用などマイナス面については十分に検討されていない。今回私たちは,ステロイド治療が成長に与える影響を後方視的に検討した。<br> 対象はステロイド治療を行った小児IgA腎症48例 (治療開始時平均11歳10ヵ月) で,2年間の治療前後で身長,体重および骨年齢を比較した。<br> 身長SDスコアは平均0.229から-0.116 (p<0.05) へと有意に低下した。一方,肥満度は平均-0.38から5.94 (p<0.05) へと有意な増加を認め,骨塩量SDスコアは平均-0.357から-0.853と有意差はないものの低下傾向を認めた。<br> 小児IgA腎症のステロイド治療により成長障害を高頻度に来す可能性があり,今後はこうした副作用を考慮した治療法の質的向上が必要と考えられた。