著者
田沼 逸夫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.396-400, 2007 (Released:2007-10-13)
参考文献数
10
被引用文献数
2

我々は電子粉流体®を用いたカラーディスプレイとフレキシブルディスプレイを開発中である.カラーディスプレイは着色した電子粉流体®を用いたものとカラーフィルターを用いたものがある.また,同時にフレキシブル化にも取り組んでおり,ポリエステルフィルム基板を中心に開発を進めている.本誌ではQR-LPD®の可能性に関して実用例を入れて紹介する.加えて,新開発のフレキシブルドライバICを用いたオールフレキシブルディスプレイに関しても紹介する.
著者
面谷 信
出版者
The Imaging Society of Japan
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.534-538, 2011

人間の感覚量であるところの 色 の認識過程をブラックボックス化することなく分析しその解明結果を工学的に利用するという目標に対し,若干のヒントとなりそうな話題をいくつか提供する.話題としては,視覚認識過程の要素分けから始め,反射物と発光物とは見分けられるか?発光型ディスプレイは本質的に疲れやすいか?色の恒常性とは?印刷物や反射型ディスプレイと発光型ディスプレイとではどちらが照明条件によって表示色が変化して見えがちか?金 · 銀色は本当に色か?その認識メカニズムは?金 · 銀色インク印刷の意義は?人間にとって色彩情報の位置づけは?という素朴な疑問等について順次採り上げ,筆者らの簡単な実験結果の紹介を織り交ぜながら見解を述べる.本報告は必ずしも素朴な思い込み通りにならない実例の紹介を通じて,色の面白さや落とし穴の一端を読者に伝えようとするものである.
著者
Mathew D. HALLS Daisuke YOSHIDOME Thomas J. MUSTARD Alexander GOLDBERG H. Shaun KWAK Jacob L. GAVARTIN
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.561-569, 2015-12-10 (Released:2015-12-13)
参考文献数
39

Organic optoelectronic materials are under widespread development to complement or displace existing materials. These materials are selected or designed according to their internal optoelectronic and condensed-phase properties with concern for efficient charge injection and transport, and desired chemical and thermophysical stability. The chemical design space for organic optoelectronic materials is enormous and there is urgent need for the development of computational approaches to help identify the most promising solutions for experimental development, and to advise the selection of materials for use in optimized applications. In this paper we present examples of atomic-scale simulation approaches available to analyze and evaluate potential organic material solutions for diverse applications, with an emphasis on organic light-emitting diode (OLED) materials.
著者
石村 俊彦
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.143-152, 2007 (Released:2007-04-13)

ディジタル一眼レフカメラには,コンパクトタイプのディジタルカメラには無い,多くの技術的特徴がある.これらの特徴により,一眼レフカメラは,より多くの撮影シチュエーションに対応可能となり,かつ,より良い写真,より高画質な写真を生み出すことができる.本稿は,これらの特徴について,機能と性能の両面から解説した.機能の差については,カメラを構成する諸要素ごとに,コンパクトタイプディジタルカメラと比較しつつ解説した.性能的な差異については,画質の差,表現力の差,操作性の差をとりあげ,同様に解説した.
著者
大良 智夫 面谷 信
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.498-502, 2011-12-10 (Released:2011-12-13)
参考文献数
4
被引用文献数
2

人が金色と認識している対象物は,物理的な測色結果によると黄色である.我々は,形状認識が金色認識の前提条件であるとの仮説を提示し,これを支持する実験結果を既に示している.本報告では,金色対象物表面における周囲環境の映り込みに着目した.我々は鏡面状の対象物表面への映り込みが対象物の形状認識を容易にし,結果的に金色認識に寄与すると想定し,これを検証するための実験を行なった.照明条件の調整により映り込みの無い状態と有る状態で金メッキスプーンを撮影し,撮影した画像中の対象物の形状と色を被験者に評価させた.金色認識の主観評価結果は,映り込みの無い画像では金色認識が困難になることを示した.同時に,形状認識の主観評価結果は,映り込みの無い画像では形状認識が難しくなることを示した.これらの結果から,対象物表面への周囲物映り込みは対象物の形状認識を容易にし,結果的に金色認識を容易にすると結論づけた.
著者
坂尻 浩一 増子 史織 金子 拓馬 増田 治加 藤村 忠正 渡辺 順次 戸木田 雅利
出版者
The Imaging Society of Japan
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.426-429, 2014

水分散性に優れるナノダイヤモンドと水溶性のポリビニルアルコールを用いナノコンポジット薄膜を作製した.これまでナノダイヤモンドは主に研磨材などの力学的な特長を発揮させた用途で使用されてきた.ここでは,ナノダイヤモンドの高い屈折率 (2.42) に着目し,透過率や光散乱などの光学特性を評価した.その結果,高透過率でありながら光を散乱させることが示された.透き通っているため背景を眺めることができると同時に,プロジェクターなどで画像を投影することができ,透明スクリーンとして機能することが見出された.今後は高層ビル,ショッピングウインドウ,水族館や動物園の窓材,車のヘッドアップディスプレイなどに,必要に応じて,広告や情報を表示するための材料として光学的な応用が期待される.
著者
尾鍋 史彦
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.265-270, 2010-08-10 (Released:2010-08-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

紙のメディアとしての優位性の本質は人間との親和性にある.発達心理学からみると紙の感覚・知覚への訴求力や紙に載せた文字の繋がりからなる意味の認知構造への深く安定的な格納能力は生得的なものであり,個人の知の形成においてはデジタル時代においても紙メディアは優位性を持ち続ける.メディアの人間との親和性を感情価として評価すると,紙メディアの感情価は高く認知過程を促進するが,現段階での電子的表示メディアの感情価は不十分であるために,認知過程を阻害することが考えられる.またアフォーダンス理論によると,メディアの人間との相互作用に関わる身体感覚や文化的環境も認知過程に影響するので,紙の書籍と電子書籍は単なる視覚による読みの差異以外の書籍としての形態や視覚以外の諸感覚も認知過程に関係するが,さらなる解明には認知科学が強力な手段となるだろう.