著者
グェン ハー 姜 聲敏 戸木田 雅利 渡辺 順次
出版者
一般社団法人 日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集 (ISSN:18803490)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.120, 2011

4,6- ジクロロセントラルアングルとアルキルチオテールを含むアキラル五員環屈曲分子の同族体を新たに合成した。液晶相は、偏光顕微鏡観察(POM)、示差走査熱量計(DSC)、広角X線回折(WAXD)電気光学(EO)測定 を行うことでキャラタリゼーションされた。、一軸性カラミティックSmAおよび二軸性SmAPA相の相挙動に由来する劇的な変化が観察された。スイッチング可能な二軸性SmAPAの発現は、末端アルキルチオと端末アルコキシに置換のしたためと考えられる。
著者
戸木田 雅利
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

主鎖型高分子をベースとしたスメクチック液晶エラストマーおよびネマチック液晶エラストマーを調製し、その昇降温に伴う伸縮挙動を調査した。スメクチック液晶エラストマーはスメクチック層構造が存在する限り層方線方向の主鎖の並進運動が規制されるため、エラストマーが等方液体へと転移する過程で急速に収縮する。示差走査熱量測定で決定した相転移温度以下まで昇温した後に降温すると伸張する。ネマチック液晶エラストマーは昇温に伴い、ネマチック液晶温度領域で連続的に収縮する。この実験結果は液晶状態にある高分子鎖の形態を議論したド・ジャン-ワーナー理論で説明できた。実験結果から得られる鎖の曲げの弾性定数は、中性子散乱から得られたネマチック液晶ポリエステルのデータから算出されるものとほぼ一致するものであった。主鎖型液晶高分子を架橋すると等方液体-液晶相転移エンタルピーが著しく低下することが問題となる。その問題を解決するために新規架橋剤を設計、合成して架橋に用いた。その結果、従来用いてきた芳香族系架橋剤よりも脂肪族架橋剤を用いたほうが液晶化度の低下は小さくなった。また、配向した後に架橋する方法として、本研究で用いている液晶性ポリエステルと類似の構造を有するポリエチレンテレフタレートの架橋に用いられていたベンゾフェノン化合物を主鎖中に導入し架橋を試みた。しかし、ベンゾフェノン骨格の反応性が低く、有効な架橋構造を得ることができなかった。
著者
坂尻 浩一 増子 史織 金子 拓馬 増田 治加 藤村 忠正 渡辺 順次 戸木田 雅利
出版者
The Imaging Society of Japan
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.426-429, 2014

水分散性に優れるナノダイヤモンドと水溶性のポリビニルアルコールを用いナノコンポジット薄膜を作製した.これまでナノダイヤモンドは主に研磨材などの力学的な特長を発揮させた用途で使用されてきた.ここでは,ナノダイヤモンドの高い屈折率 (2.42) に着目し,透過率や光散乱などの光学特性を評価した.その結果,高透過率でありながら光を散乱させることが示された.透き通っているため背景を眺めることができると同時に,プロジェクターなどで画像を投影することができ,透明スクリーンとして機能することが見出された.今後は高層ビル,ショッピングウインドウ,水族館や動物園の窓材,車のヘッドアップディスプレイなどに,必要に応じて,広告や情報を表示するための材料として光学的な応用が期待される.
著者
戸木田 雅利 松岡 辰郎 姜 聲敏
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

高分子液晶のダイナミクスの特徴を明らかにすることを目的に, 2つのメソゲンをアルキル鎖で連結した二量体液晶分子のネマチック液晶BCBO-m(mはアルキル鎖炭素数)の動的光散乱測定を行った.動的光散乱から,液晶ダイレクターの広がりと曲げのモードの周波数(K/η)を決定することに成功した.それらはmの偶奇に依存する偶奇振動を示した.mが偶数のほうが奇数よりも大きな値を示した.フレデリクス転移挙動から弾性定数を調べたところ,同様な偶奇効果が弾性定数にもみられ,周波数の偶奇効果は弾性定数に支配されるものと結論した.