著者
石内 孔治
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.128-131, 2008

本報告の第1の目的は,計上利益のうち,現金に裏打ちされた利益と現金に裏打ちされていない利益とを峻別することである。第2の目的は現金取引を擬制するのではなく,正真正銘の現金取引(キャッシュ・フロー)に基づき,これを損益取引からもたらされた現金預金と交換取引からもたらされた現金預金とに峻別し,後者の交換取引をさらに負債取引からもたらされた現金預金と資本取引からもたらされた現金預金とに分類することである。第3の目的は、発生主義利益とキャッシュの乖離を診断するための理論と技法を提示することである(以下、利益とキャッシュの乖離性診断という)。
著者
西崎 信男
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.138-141, 2009

スポーツの商業化の進展に伴い、ファンの利益とクラブの利益の相反が起こる。それを解決する仕組みとして英国(サッカーとラグビー)で「サポータートラスト」が政府の後押しで発達してきている。トラスト(信託)という名の相互会社を作り、クラブ株式購入、取締役派遣等クラブ経営に積極的に関与するスキームである。地域・ファンのサポートがクラブの存続に不可欠な大多数のチームで有望な仕組みと言える。企業スポーツ中心であった日本のスポーツも、この不況の影響もありスポンサーが撤退する動きが見られる。ファンクラブ、持株会、サポータートラスト、相互会社等、プロスポーツクラブの企業統治におけるファンの経営参加について論じる。
著者
田川 元也 山本 勝 横山 淳一
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.10, pp.78-81, 2010

介護保険制度は,開始から10 年が経ち,日本の高齢者福祉を担う制度として定着してきているといえよう。しかし,民間企業やNPOなど多様な事業者によるサービス提供により成り立つとされた制度創設時の理念とは裏腹に,安定したサービスが継続して提供されているとは言いがたい状況にある。そこで,まず,サービス提供者の立場から現行制度の問題点の整理を行う。その上で,民間のサービス提供者が顧客ニーズを的確に把握し,利用者本位のサービスを提供しながら,なおかつ事業として採算性を保つために必要なマーケティング的視点についての提言を行う。
著者
石塚 隆男
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.62-65, 2009

本稿は、システムに代わる概念として「つながり」に注目し、社会的なつながりの創成とマネジメントを経営診断の観点から考察することを目的とする。まず、ポスト・システム・パラダイムとして、ネットワーク・パラダイムや脳パラダイムがあるが、次世代パラダイムとして「社会」と「つながり」がキーワードであることを示し、社会的つながりの特徴づけを行う。次に、つながりのビジネスモデルについてソーシャル・キャピタルやソーシャル・マネジメントの視点から検討を行い、新たなつながりの創成が社会的な意味や価値を生み出すかどうかが経営診断上、問われることになることを示した。
著者
長江 庸泰
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.178-181, 2009

日本大学人口研究所[Nihon University Population Research Institute (NUPRI)]の分析によれば、『日本の家族介護力(高齢人口に対する40~59歳の女性人口)は2005年以降、世界192ヵ国中最低水準となり、この傾向は2022年以降50年間続く』ことを指摘している。本論は、福祉技術を、高齢者・病人・幼児などの「身体的弱者向けの支援技術」として再考し、その上で、産学官連携により「生活機能補完産業」という新たな産業分野に発展させることにより、国民全員に基礎的な安心感を与えるという「イノベーションの観点」から、(1)「産学官連携の推進」と(2)「介護支援ロボット技術」開発を中核とした産学官連携による「新産業創出の戦略」の2点に課題解決を絞り込み、検証を行うものである。
著者
加藤 里美
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.74-76, 2009

本研究の目的は,岐阜県のA社における中国人研修生・技能実習生,彼らと共に働く日本人従業員,中国人従業員を対象に,改善活動に伴う会社や職場での意識,会社内のコミュニケーションの実態について明らかにしていくことである。外国人研修生・技能実習生を対象とした研究のほとんどが彼らへの聞き取り調査を中心としており,質問紙調査を用いた研究が極めて少ないこと,また協働する日本人従業員の意識に焦点を当てていないことから,本研究による結果は,中国人研修生・技能実習生を雇用する企業に何らかの示唆を与えることができる。
著者
石塚 隆男
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.10, pp.108-111, 2010

近年、イノベーションの重要性とともに価値の創造が盛んに喧伝されている。ひとつの業界でブレークスルーやイノベーションがそうそう興らないことも事実であり、ホームラン狙いだけでは企業はやっていけない。また、多くの文献に登場する"価値の創造"は漠然とした抽象的な概念であり、個別の事例はいくつか存在するが、普遍的な方法論にはなっていない。製品やサービスの価値にはいくつかの概念があるが、最近、意味的価値の重要性が指摘されている。そこで、本研究では成熟し、コモディティ化の進んだ市場において、企業が意味的価値を持続的に生み出す(=プロデュース)ための要因について検討し、経営診断に資することを目的とする。製品レビューサイトにおけるクチコミデータから意味的価値を抽出する方法を提案するとともに、イノベーションに関する多くの主要な文献をもとに、意味的価値をプロデュースする力に影響を与える諸要因のチェックリストを作成し、考察を行った。