著者
西崎 信男
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.145-151, 2008 (Released:2009-06-08)
参考文献数
20

経済発展に伴い、第3次産業がGDPで6割超を占める先進国の経済構造では、サービス業活性化が不可欠である。一大サービス産業である英国プロサッカーを見る。無形性等サービスの特質から、スタジアムはサービス提供システムで重要な役割を担う。有料TV発達等も加わり、サッカーは「スポーツからビジネスへ脱皮」した。そこでは自前のスタジアムが、差別的優位性を発揮している。クラブの売上高の中で、景気に左右されない入場料は経営の基盤である。入場者数を増大させるためには、ファンのクラブへの思い入れを毀損しないことである。そのためには、スタジアムを単なる「経営資源」ではなく、「地域共有資産」と位置づけることが重要である。
著者
西崎 信男
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.53-64, 2010

Corporate governance is essentially the way in which companies are managed. Among professional sport clubs, professional football clubs are typically registered as companies. Hence, the operation is determined by corporate governance. There was a steadily increasing volume of criticism and complaints regarding the governance of many companies. Also in sport industries worldwide, there occurs the conflict of interests between fans and clubs due to excessive commercialization. To tackle this problem, innovative "supporters′ trusts" have been successfully created in the British football and rugby leagues and union clubs by an organization called "Supporters Direct" , an independent but government backed body. Supporters come together collectively and set up these mutual organizations (called Industrial and Provident Societies-IPSs) and buy and hold the shares mutually in their clubs and where possible elect their representatives to the board as directors to express their concerns and opinions effectively. This has been effective at many clubs where they depend on supporters as well as the local community for their survival, and also at clubs in the English and Scottish Premier Leagues.<BR>    Here in Japan, we find the sponsors have started to withdraw their sponsorship for the professional as well as amateur clubs due to the tightening corporate governance in the business societies. The successive withdrawals have caused damages to the development of sports, while sports are expected to provide good pastime for the ageing society in the future.<BR>    In the circumstances it is now apparent that fans' participation in the management of professional sport clubs has become more important than ever. Here we discuss the structure of supporters' trust and its significance to fans′ involvement in the management of football clubs by comparing it with other types of ISA (Independent Supporters Association) , Mutuals, Share Purchase Cub and as such.
著者
西崎 信男
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.23-28, 2015

2012年英プレミアリーグのManchester United(MANU)がニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場,そして新株発行による資金調達を行った(IPO)。安定性に欠け収益性にも問題があるサッカークラブが,投資家保護が徹底し世界で最も厳しいNYSEになぜ上場できたのか? そこには新規創業を促進し,雇用を産み出すために,証券発行市場,流通市場の規制を緩和して(Jobs Act),成長企業に米国資本市場を再開放するとの米国政府の強い決意があった。米国側には規制緩和のシンボルとして,MANU側にはオーナーの資金繰り問題,広告塔としての上場があった。サッカークラブのファイナンスと米国ベンチャー企業施策を論じる。単なるプロスポーツクラブの上場ではない。その背景に世界各国の資本を巡る取引所経由の戦いがある。
著者
西崎 信男
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.138-141, 2009

スポーツの商業化の進展に伴い、ファンの利益とクラブの利益の相反が起こる。それを解決する仕組みとして英国(サッカーとラグビー)で「サポータートラスト」が政府の後押しで発達してきている。トラスト(信託)という名の相互会社を作り、クラブ株式購入、取締役派遣等クラブ経営に積極的に関与するスキームである。地域・ファンのサポートがクラブの存続に不可欠な大多数のチームで有望な仕組みと言える。企業スポーツ中心であった日本のスポーツも、この不況の影響もありスポンサーが撤退する動きが見られる。ファンクラブ、持株会、サポータートラスト、相互会社等、プロスポーツクラブの企業統治におけるファンの経営参加について論じる。
著者
西崎 信男
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集 日本経営診断学会第53回全国大会
巻号頁・発行日
pp.33-36, 2020-09-27 (Released:2021-03-11)
参考文献数
15

英国プロサッカーリーグの中でプレミアリーグ (EPL)は世界最高のリーグとして繁栄する一方、下位リーグ(EFL)クラブは生き残りを模索している。選手年俸、契約金が高騰する中で、下位リーグクラブは資金調達、観客動員数減少等への対策に邁進している。スタジアム増設等も含めて、今後は地域のサポートがなければクラブ運営はままならない。そこで近年クラブを支援するファンの団体であるサポータートラストが注目されている。政府も地域振興を推進するために法律を改正し、市民の自立運動(voluntary work)として税制面も含めて支援を行っている。サポータートラストは会員の利益のための組織から、所在する地域の利益に貢献する団体としての位置づけを明確化することが求められている。
著者
西崎 信男
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会全国大会予稿集 日本経営診断学会第42回全国大会
巻号頁・発行日
pp.138-141, 2009 (Released:2009-09-26)
参考文献数
12

スポーツの商業化の進展に伴い、ファンの利益とクラブの利益の相反が起こる。それを解決する仕組みとして英国(サッカーとラグビー)で「サポータートラスト」が政府の後押しで発達してきている。トラスト(信託)という名の相互会社を作り、クラブ株式購入、取締役派遣等クラブ経営に積極的に関与するスキームである。地域・ファンのサポートがクラブの存続に不可欠な大多数のチームで有望な仕組みと言える。企業スポーツ中心であった日本のスポーツも、この不況の影響もありスポンサーが撤退する動きが見られる。ファンクラブ、持株会、サポータートラスト、相互会社等、プロスポーツクラブの企業統治におけるファンの経営参加について論じる。
著者
西崎 信男
出版者
Japan Management Diagnosis Association
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.145-151, 2008

経済発展に伴い、第3次産業がGDPで6割超を占める先進国の経済構造では、サービス業活性化が不可欠である。一大サービス産業である英国プロサッカーを見る。無形性等サービスの特質から、スタジアムはサービス提供システムで重要な役割を担う。有料TV発達等も加わり、サッカーは「スポーツからビジネスへ脱皮」した。そこでは自前のスタジアムが、差別的優位性を発揮している。クラブの売上高の中で、景気に左右されない入場料は経営の基盤である。入場者数を増大させるためには、ファンのクラブへの思い入れを毀損しないことである。そのためには、スタジアムを単なる「経営資源」ではなく、「地域共有資産」と位置づけることが重要である。