著者
柴崎 秀子 玉岡 賀津雄 高取 由紀 Hideko SHIBASAKI Katsuo TAMAOKA Yuki TAKATORI
出版者
国書刊行会
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
vol.21, pp.89-110, 2007-04

長岡技術科学大学広島大学ジョージア州立大学本研究の目的は,(1)英語を使って作られた和製英語の意味を英語母語話者が推測した場合,どのような語の推測が容易で,どのような語の推測が困難かを調査すること,及び,(2)日本語学習経験のある者が未知の和製英語の意味を推測した場合,日本語学習経験が生かされるかどうかを調査することの2点である。日本語学習者36名と非学習者36名に,30語の和製英語を刺激語として与え,各語の知識を問う二者択一問題と,各語の意味を選ぶ四者択一問題を行った。その結果,日本語学習者は和製英語の知識において非学習者と差がないにも関わらず,意味推測において優れていることが示された。また,(1)英語と形が良く似ている和製英語,(2)後項の語が複合語全体の意味的主要部となり,前項の語が後項の語を修飾している和製英語は意味推測が易しく,反対に,(1)英語の語順規則に則っていない和製英語,(2)英語の概念に共通する部分が少ない和製英語,(3)前項の語も後項の語も,それが構成する複合語の主要な意味とならない和製英語は,英語母語話者にとって意味推測が難しい傾向があることが示された。
著者
岡崎 敏雄 Toshio OKAZAKI
出版者
国立国語研究所
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
no.4, pp.74-98, 1998-10

筑波大学外国人年少者に対する日本語教育への本格的取り組みは近年開始されたばかりである。現場の教師は手探りでこれに当たり,その中で言語教育観が形成されつつある。本研究は,形成されつつある教師の言語教育観に焦点を当て,日本語教育が必要な金国の外国人年少者の在籍する公立小・中学校の日本語教育に関わる全教師に対して質問紙による言語教育観の調査を行った。クラスター分析,分散分析の結果,全体として(日本語教育と共に)母語保持を重視する言語教育観が教師によって高く支持され,カナダのイマージョン・プログラムに典型的に見られる継続的二言語併用型の言語教育観が形成されつつあることが示された。しかしながら他方,日本の諸条件を反映して,同時に「少数散在型」「受容型」「滞在エンジョイ型」「短期滞在者への注目型」「現行制度枠内型」という性格を備えたものであることが示され,教育制度の異なるカナダのイマージョン・プログラムでの継続的二言語併行型言語教育との相違も明らかにされた。
著者
岡崎 敏雄
出版者
国書刊行会
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
no.4, pp.74-98, 1998-10