著者
柴崎 秀子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.158, pp.49-65, 2014 (Released:2017-02-17)
参考文献数
20

本稿では,まず,リーダビリティー研究が始まった背景とその定義について紹介し,次に,リーダビリティーを測定するツールの使い方と内容を説明した。さらに,リーダビリティー研究成果の国内外における応用例を挙げ,日本語教育においては日本語能力試験を土台にしたリーダビリティー研究の可能性があることを論じた。同時に,リーダビリティー研究はテキスト要因のみを対象とするものであり,守備範囲には限界があることも加えた。最後に,今後の可能性として,新たなリーダビリティー判定式の構築よりも,社会的応用に着目すべきであることを述べた。
著者
柴崎 秀子 時本 真吾 小野 雄一 井上 次夫
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.101-120, 2015-02-28 (Released:2015-04-16)
参考文献数
56

本研究では日本人高校生用の日英両語のリーディングスパンテスト(RST)を開発し,集団による短時間での実施が可能であるかどうか試行した.その結果,本研究で開発したRSTの信頼性係数は日本語(α=.864),英語(α=.875)ともに高く,得点分布に正規性が示され,RSTを集団で行うことが可能であることが示された.このテストを用いて,高校2年生を対象に日英語RST得点の相関を分析したところ,英語習熟度の高い群の相関係数は.677,低い群は.531であった.英語専攻の大学生を対象にした先行研究では日英語RST得点の相関係数は.84と報告されている.これらの結果は,第二言語の習熟が進んだ学習者は未熟な学習者よりも日英語RSTの相関係数が高いことを示し,その理由として,第二言語に熟達した読み手は第二言語読解を母語読解に近い形で行うことができるからではないかと推測される.
著者
柴崎 秀子 玉岡 賀津雄
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.449-458, 2010-02-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
15
被引用文献数
8

本研究では,小学1年から中学3年までの国語科教科書に収められたテキストの構成要素を分析し,学年による文章の難易尺度を検討した.学年を判定する式を構築するために,主要な国語科教科書の243テキストから,標準的な205のテキストを選んだ.そして,(1)1文の平均文字数,(2)1文の平均文節数,(3)1文の平均述語数,(4)テキスト全体の漢語の割合,(5)テキスト全体の平仮名の割合の5つを独立変数として,学年を従属変数とする重回帰分析(ステップワイズ)を行った.その結果,平仮名の割合と文の平均述語数の2つが有意な独立変数となり学年についての高い予測力を示した(R^2=0.791)ので,この2変数で学年判定式を構築した.
著者
柴崎 秀子 玉岡 賀津雄 高取 由紀 Hideko SHIBASAKI Katsuo TAMAOKA Yuki TAKATORI
出版者
国書刊行会
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
vol.21, pp.89-110, 2007-04

長岡技術科学大学広島大学ジョージア州立大学本研究の目的は,(1)英語を使って作られた和製英語の意味を英語母語話者が推測した場合,どのような語の推測が容易で,どのような語の推測が困難かを調査すること,及び,(2)日本語学習経験のある者が未知の和製英語の意味を推測した場合,日本語学習経験が生かされるかどうかを調査することの2点である。日本語学習者36名と非学習者36名に,30語の和製英語を刺激語として与え,各語の知識を問う二者択一問題と,各語の意味を選ぶ四者択一問題を行った。その結果,日本語学習者は和製英語の知識において非学習者と差がないにも関わらず,意味推測において優れていることが示された。また,(1)英語と形が良く似ている和製英語,(2)後項の語が複合語全体の意味的主要部となり,前項の語が後項の語を修飾している和製英語は意味推測が易しく,反対に,(1)英語の語順規則に則っていない和製英語,(2)英語の概念に共通する部分が少ない和製英語,(3)前項の語も後項の語も,それが構成する複合語の主要な意味とならない和製英語は,英語母語話者にとって意味推測が難しい傾向があることが示された。
著者
前川 喜久雄 山崎 誠 松本 裕治 傳 康晴 田野村 忠温 砂川 有里子 田中 牧郎 荻野 綱男 奥村 学 斎藤 博昭 柴崎 秀子 新納 浩幸 仁科 喜久子 宇津呂 武仁 関 洋平 小原 京子 木戸 冬子
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

当初の予定どおりに、5000万語規模の現代日本語書籍均衡コーパスを構築して2011年に公開した。同時に構築途上のコーパスを利用しながら、コーパス日本語学の確立にむけた研究を多方面で推進し、若手研究所の育成にも努めた。現在、約200名規模の研究コミュニティーが成立しており、本領域終了後も定期的にワークショップを開催するなど活発に活動を続けている。