著者
宮本 忠 塚本 康浩 嶋田 照雅 大橋 文人 桑村 充 山手 丈至 小谷 猛夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日獣会誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.711-713, 1999

グレート・ピレニーズ, 雄, 6歳が1年間にわたる間欠的食欲不振, 体重減少, 多飲・多尿, 運動不耐, 間欠的軟便を主訴に来院した. 血液検査では貧血, 白血球増加症, 高窒素血症, 高K血症, 低Na血症がみられ, 内分泌検査から原発性副腎皮質機能低下症と診断された. ヒドロコルチゾン (1mg/kg/day) と通常維持量の4分の1量の酢酸フルドロコルチゾン (6μg/kg/day) の併用で良好に維持された. 172病日に左側前肢手根関節の滑膜肉腫と診断され, 外科手術と化学療法を受けたがその後も副腎皮質機能低下症は良好にコントロールされた.
著者
野口 俊助 森 崇 星野 有希 村上 麻美 酒井 洋樹 丸尾 幸嗣
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日獣会誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.634-636, 2010

12歳,雄の雑種犬と10歳,雄のグレートピレニーズが片側性の下顎部腫瘤を主訴に来院した. CT検査を行ったところ,肺および肝臓に転移を疑わせる所見が得られた. 細胞診あるいは組織診断により,上皮由来の悪性腫瘍であると診断された. 一方の症例では免疫組織化学染色においてCOX-2の発現がみられた.これらの症例を放射線治療と選択的COX-2阻害剤で治療したところ,良好な反応を認め,長期コントロールが可能であった. 今後,唾液腺癌の治療法として,放射線治療あるいは選択的COX-2阻害剤を選択肢の中に含め,検討する必要があると考える.
著者
岡本 康孝 広瀬 昶 長谷川 篤彦
出版者
日本獸医師会
雑誌
日獣会誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.499-504, 1979

僧帽弁閉鎖不全が疑われた, 7才6ヵ月の雄のグレートデンについて, 心電図, 心音図, 胸部X線などの諸検査に加えてUCG検査を行なった.<BR>その結果, 以下のよう'な所見が得られた.<BR>1) 拡張期では, 僧帽弁弁尖の増厚した, 急峻, 尖鋭で振幅の増大した開放動態エコー像.<BR>2) 収縮期では, 厚みを増して層状を呈する僧帽弁前・後尖像と, その両弁尖間の隙間像.<BR>3) 正常な開閉動態を示す, 大動脈弁, 三尖弁, および肺動脈弁エコー像.<BR>4) 左右両心室の肥大と拡張, および心室中隔の肥大の二次的病態エコー像.<BR>なお, 剖検によりこれらUCG所見をうらづける肉眼的所見が認められた.