著者
塚本 康浩
出版者
特定非営利活動法人 機能紙研究会
雑誌
機能紙研究会誌 (ISSN:02885867)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.3-5, 2009 (Released:2013-01-07)
参考文献数
1

Birds have an immune system to protect chicks by concentrating blood-contained antibodies into yolks, making it possible to produce good-quality antibodies. As an ostrich egg is 25 to 30 times heavier than a hen egg, massive antibody refinement is possible. We have developed a technique to produce a large amount of antibodies for infectious diseases and cancer from ostrich yolks. Compared with the use of a rabbit, an amount of antibodies 800 times greater can be produced. Initially, we produced antibodies against various strains of influenza viruses including H5N1 and A/H1N1. They have been incorporated into face masks and air-conditioners on the market. Massive demand from medical institutions and local govemments is expected as part of their preparations to deal with a potential pandemic of a mutated strain of flu. We will also try to develop antibodies against other infectious diseases and cancer, produce examination kits and apply antibodies to curative drugs. With an antibody from one ostrich egg, 80,000 face masks and reagents for more than 20,000 people can be produced.
著者
塚本 康浩
出版者
京都府立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

マウスやウサギの蛋白質はヒトとの類似性が高いために、ヒト由来抗原に対する抗体が作製困難となる場合が多くある。また、哺乳類を用いた抗体作製はコストが高いために、抗体の工業的使用には不適とされている。本研究では哺乳類とかけ離れている大型鳥類“ダチョウ"に焦点を当て、哺乳類(マウスやウサギ)では作製することが出来ない有用抗体を、高精度でかつ低コスト・大量に作製する方法を見出し、これにより、ロット間差の少ない優れた医療用抗体(獣医畜産および医学領域における診断用・治療用)の供給へと実用化をはかることを目的とした。特に、癌治療用抗体、感染症・食中毒病原体検出用抗体の大量作製法の開発を試みた。本年度は、肺癌細胞に強発現する細胞接着分子SC1に対するダチョウ抗体を作製し、動物実験による癌治療効果を検証した。その結果、ダチョウ抗体の投与により肺癌細胞の転移が抑制されることを見出した。今後、治療薬としての有用性を詳細に検討する必要がある。特に、ダチョウ抗体分子を酵素により切断し低分子化することで個体投与における安全性をあげる必要性がある。さらに、ノロウイルスの組み替え蛋白をバキュロウイルスベクターを用いた実験系により作製し、それを抗原としてダチョウに免疫することで産卵されたダチョウ卵の卵黄よりノロウイルス特異抗体を大量に回収することに成功した。今後、ノロウイルス診断および予防用薬品としての応用化を図っていく予定である。
著者
塚本 康浩
出版者
京都府立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、ダチョウ抗体作製技術で抗HPV中和抗体の作製を試みた。HPVはヒトの子宮頸がんの発症に関与するパピローマウイルスである。HPVのウイルス様粒子(virus-like particle: VLP)を作製し産卵ダチョウに免疫することにより卵黄よりIgYを精製した。得られたIgYはVLPに特異的に高感度で反応することが判明した。また培養細胞での感染実験で中和活性を有することが判明した。子宮頸粘膜上皮細胞へ感染する際にウイルス表面にダチョウIgYが結合し細胞への吸着・感染を抑制出来ると考えられ、ローション等への適応によりHPV感染予防、結果として子宮頸がんの予防に貢献できると期待された。
著者
塚本 康浩
出版者
特定非営利活動法人 機能紙研究会
雑誌
機能紙研究会誌 (ISSN:02885867)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.3-5, 2009

Birds have an immune system to protect chicks by concentrating blood-contained antibodies into yolks, making it possible to produce good-quality antibodies. As an ostrich egg is 25 to 30 times heavier than a hen egg, massive antibody refinement is possible. We have developed a technique to produce a large amount of antibodies for infectious diseases and cancer from ostrich yolks. Compared with the use of a rabbit, an amount of antibodies 800 times greater can be produced. Initially, we produced antibodies against various strains of influenza viruses including H5N1 and A/H1N1. They have been incorporated into face masks and air-conditioners on the market. Massive demand from medical institutions and local govemments is expected as part of their preparations to deal with a potential pandemic of a mutated strain of flu. We will also try to develop antibodies against other infectious diseases and cancer, produce examination kits and apply antibodies to curative drugs. With an antibody from one ostrich egg, 80,000 face masks and reagents for more than 20,000 people can be produced.
著者
塚本 康浩
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

動物の発生・再生・腫瘍形成および記憶における細胞接着分子ギセリンの役割を個体レベルで追求した。ニワトリの皮膚移植再生モデルを確立し、移植片の定着にギセリンおよびそのリガンドが関与すること、さらにギセリンの投与が再生を促進することを見出した。さらに、ギセリンおよびそのリガンドが腫瘍(大腸癌およびリンパ腫)の転移を促進することを腫瘍移植実験において明らかにした。ギセリン欠損動物は、出生前に致死となることが判明した。
著者
宮本 忠 塚本 康浩 嶋田 照雅 大橋 文人 桑村 充 山手 丈至 小谷 猛夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日獣会誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.711-713, 1999

グレート・ピレニーズ, 雄, 6歳が1年間にわたる間欠的食欲不振, 体重減少, 多飲・多尿, 運動不耐, 間欠的軟便を主訴に来院した. 血液検査では貧血, 白血球増加症, 高窒素血症, 高K血症, 低Na血症がみられ, 内分泌検査から原発性副腎皮質機能低下症と診断された. ヒドロコルチゾン (1mg/kg/day) と通常維持量の4分の1量の酢酸フルドロコルチゾン (6μg/kg/day) の併用で良好に維持された. 172病日に左側前肢手根関節の滑膜肉腫と診断され, 外科手術と化学療法を受けたがその後も副腎皮質機能低下症は良好にコントロールされた.
著者
ハッサニン アミン 桑原 佐知 ヌルヒダヤット 塚本 康浩 小川 和重 平松 和也 佐々木 文彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.921-926, 2002
被引用文献数
3 57

エストロジェン様化合物の魚への影響を研究する目的で,2つの汚染河川(石津川と和田川)と対照地域に生息する成熟雄性コイのゴナドソマチックインデックス([精巣重量/体重]×100:GSI)と精巣の形態を1998年6月〜2001年3月までの期間調べた.石津川のノニルフェノール,ビスフェノールAと17β-エストラジオールの含有濃度は和田川の3〜4倍高かった.繁殖前期と繁殖期では,3地域のコイの体重に有意の差はなかった.石津川のコイの体重は繁殖後期でのみ和田川のものより小さかった(P<0.05).石津川に生息するコイのGSIと精巣重量は精巣周期の全期間で対照のものより小さく(P<0.05),和田川のコイと比較すると繁殖前期と後期でより小さかった(P<0.05).組織学的な異常は調べた全精巣で見られなかった.精巣の組織学的な所見から,石津川のコイの精子形成開始時期は他の地域のものに比べて遅延していた.これらの結果は,石津川の水中に含有するエストロジェン様化合物がコイの精巣の発達に有害な影響を与えているということを明らかに示している.