著者
玉置 好徳
出版者
梅花女子大学文化表現学部
雑誌
梅花女子大学文化表現学部紀要 = Baika Women's University Faculty of Cultural and Expression Studies Bulletin (ISSN:24320420)
巻号頁・発行日
no.14, pp.52-57, 2018-03-22

本研究では、地域福祉における情報の重要性を明らかにするために、「地域福祉の4 つの志向軸」に取り上げられた各論と、後発の地域福祉情報論の関連について系統的に分析した。その結果、地域福祉論における情報の位置づけは、行政などによるサービス情報システムや住民向けの情報提供サービスなどと、住民などによる主体的な情報活用に大別されることが明らかになった。また、福祉情報化の進展によって、かえって情報格差が広がり、とりわけ福祉サービスの利用者などに情報弱者が多く含まれているという問題がある。その根底には、生活保護などの福祉サービスに付随する劣等処遇的福祉観があり、ときにそれをメディアがさらに拡散させている。したがって、福祉情報を的確に分析して活用できる能力を有する福祉情報活用主体を形成するために、福祉教育とメディア・リテラシーを統合して福祉メディア・リテラシーの方法論を確立することが今後の課題となる。
著者
吉田 美穗子
出版者
梅花女子大学文化表現学部
雑誌
梅花女子大学文化表現学部紀要 = Baika Women's University Faculty of Cultural and Expression Studies Bulletin (ISSN:24320420)
巻号頁・発行日
no.17, pp.112-122, 2021-03-20

図形を回転するとその軌跡は円となるが、等しい倍率で拡大もしくは縮小しながら回転するとその軌跡は螺旋となる。正方形の黄金比を用いた回転を基本として様々な分数の正多角形の外心を中心としてその外角の角度分を、黄金比率の割合で拡大しながら回転させてその軌跡の円弧を繋げていった結果、黄金角である約137.5°に近い外角を持ち、分母・分子が1つ飛びのフィボナッチ数で現わされる正8/3角形、正13/5角形が最もバランスの良い効果的な現れ方をすることをこれまでに確かめた。また、その時の対数螺旋はr = e0.20051θ の式で表され、螺旋の接線と中心からの線とがなす角度は約78.7°であった。本稿ではr = e0.20051θ の式で表される対数螺旋を例に、部分的に、あるいは全体の構図として設計されたであろう作品を挙げ、制作者が絵画を見る者に自分の意図を確実に伝えるために仕組んだ表現手法の一つであることを実証しようとするものである。対数螺旋の効果を予測した、建築・インテリアでのデザインへの応用・転用が望まれる。
著者
好田 由佳 矢澤 郁美 香山 喜彦
出版者
梅花女子大学文化表現学部
雑誌
梅花女子大学文化表現学部紀要 = Baika Women's University Faculty of Cultural and Expression Studies Bulletin (ISSN:24320420)
巻号頁・発行日
no.16, pp.102-108, 2020-03-20

本研究では,フラクタル構造を持つセル・オートマトン(以下,CAという)により生成されたパターンを活用してテキスタイルデザインを作成し,その布を用いたドレス制作によりファッションショーを展開して,フラクタルCAパターンの美的価値と応用の可能性を明らかにした.フラクタルCAパターンは「フラクタル構造を持つセル・オートマトン」に関する研究の成果の一つであるソフトウェア“フラクタルパターンジェネレータ”で生成した.色の選定は「星空」をイメージし,青系統をベースカラー,ピンクとイエローをアクセントカラーとして用い,16値のフラクタルCA(レベル8:512×512 ドット)で9種類の異なるパターンを選定した.それらをテキスタイルに印刷し,アクティブラーニングとして学生が衣装制作に取り組んだ.ドレスのデザインにもフラクタルの特徴である自己相似性を取り入れ,ポスター制作やファッションショーの背景映像にも生成したフラクタルCA パターンを活用した.結果として,様々な分野に応用が期待されるフラクタル理論をファッションデザイン分野にも活用できることが実証できた.
著者
西川 良子
出版者
梅花女子大学文化表現学部
雑誌
梅花女子大学文化表現学部紀要 = Baika Women's University Faculty of Cultural and Expression Studies Bulletin (ISSN:24320420)
巻号頁・発行日
no.15, pp.81-96, 2019-03-21

2005年に神戸市で発足した「神戸ウエディング会議」は神戸市やその周辺地域のウエディングに関わる施設や事業関係者が中心となり、神戸の街の魅力を最大限に活かすべく活動している任意団体であり、神戸をウエディングの街として、認知度アップに努めている。全国的にウエディング産業活性のために取り組む団体は数多く存在するが、その中でも「神戸ウエディング会議」はその活動歴の長さや、会員数、活動事例の多さが顕著で、注目を集める存在となっている。本論では、まず明治以降のわが国におけるウエディング産業の変遷を紐解いて、近年の傾向を探る。神戸に都市型リゾートウエディングという場所イメージが定着したことにより、神戸はたちまちウエディングの激戦区となったが、近代のわが国の結婚式の変遷が少なからず関係していることが解明できた。続いて、神戸ウエディング会議の活動を辿り、結婚式から派生するマーケットや今後の神戸におけるウエディング産業の展望について考察した。