著者
比嘉 照夫 仲村 康和 Higa Teruo Nakamura Yasukazu 琉球大学農学部
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.7-11, 1979-07

NAA,糖,リン酸混合物質の葉面散布が,興津早生温州の果実の糖,酸に及ぼす影響について,1975年7月18日から9月5日までの間調査を行なった. 1.NAA散布は,果実の糖,酸を減少させる傾向にあり,実用上の効果は期待できなかった. 2.リン酸混合物質は,糖の増加には影響が認められず,酸を著しく減少させる効果が認められた.その結果,甘味比がかなり高くなり,早期出荷の品質安定に効果的に作用した.また,混入したグラニュウ糖による影響は認められなかった. 3.グラニュウ糖の散布は酸の減少を早める傾向にあるが,リン酸混合物質との関連において,それらの原因を明らかにすることはできなかった.
著者
山城 三郎 Yamashiro Saburo 琉球大学農学部農業工学科
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.1-12, 1968-12

1)本調査はサトウキビの根の分布を明らかにし,沖縄の畑地かんがい事業に資料を供する目的で1968年2月27日から3月2日まで伊江島西部土地改良事業予定地区で,1968年4月25日から4月27日まで宮古平良市の農業センターで1966年の夏植えサトウキビ(N:Co,310)について行なった.2)調査方法は従来の土を掘って根の存在を確認し,測定する方法で風乾重量と長さについて測定した.3)地表面からの深さに対する風乾重量および長さの累計曲線はほとんど一致する.4)累計風乾重量が約90%の所では深さに対する重量の増加量が急激に小さくなっておりこの点より上部の土層を有効根群域と考えてよい.5)サトウキビの根は有効根群域を4等分して考えた場合上部土層より,第3層,第4層に多く分布しており耕深と関係がある.
著者
比屋根 真一 川満 芳信 村山 盛一 Hiyane Shinichi Kawamitsu Yoshinobu Murayama Seiichi 琉球大学農学部
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.2-8, 1998-08

サトウキビ4種を用いて,光合成速度の長時間連続測定から光合成支配要因を調べた.2000μmol m^<-2>s^<-1>の強光条件下では,測定後半に光合成速度の低下が認められた.特に,高い光合成速度を示したTainanおよびNiF4は,低いBadila,Yomitanzanと比較して急激な低下であった.しかし,1000μmol m^<-2>s^<-1>の条件下では,BadilaおよびYomitanzanは緩やかな山なりの曲線を描いたのに対し,Tainanは直線的に,NiF4においては時間の経過と共に緩やかに上昇した.気孔伝導度の日変化は光合成速度と同様のパターンを示した.光強度2000μmol m^<-2>s^<-1>の条件における葉内CO_2濃度は,測定開始から8~10時間経過後上昇した.CO_2濃度900ppm条件下において光合成速度を長時間連続測定し,気孔の影響を省き光合成速度の制限を明らかにした.その結果,900ppm区の光合成速度は350ppm区に比べ若干高めで推移したものの,両区とも測定開始後約5時間目以降に低下した.従って,光合成速度に対する気孔の制限程度は低いと考えられた.日変化を基礎にCO_2収支量の"光―光合成曲線"を作成したところ,1000μmol m^<-2>S^<-1>に飽和点を持つ飽和型曲線を示し,瞬時の測定の"光―光合成曲線"とは著しく異なる結果となった.以上から,光強度2000μmol m^<-2>s^<-1>の条件における光合成速度の低下は,気孔閉鎖に伴う葉内への炭酸ガス供給量の低下に起因したものではなく,葉の内部要因の活性低下が主な原因と推察された.
著者
大城 安弘 Oshiro Yasuhiro 琉球農業試験場
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.9-18, 1970-05

本稿はカンシャシンクイハマキ Tetramoera schistaceana Snellen の羽化と産卵におよぼす照明と暗の影響を調査し,その結果をまとめたものである. 1)自然状態における羽化時刻は2~3月で17~21時の4時間で全体の52%が羽化し,7~17時までの日昼でも33%が羽化している.7~8月では17~21時間に68%,日昼で24%が羽化している. 2)25℃で1~2月の日長下では17~21時間に72%が羽化し,日昼は5%しか羽化してない.前蛹期処理24時間照明区の場合,17~21時間に21%,日昼は42%が羽化した.暗区は17~21時間に31%が,日昼は52%が羽化している.羽化前処理照明区は17~21時間に13%が,日昼は47%が羽化し,暗区は17~21時間に25%が,日昼は49%が羽化している. 3)受精卵率で,野外が平均82%,25℃無処理区が83%,暗区が70%,照明区は9%となっている.受精個体数は野外19頭中18頭,無処理区17頭中16頭,暗区18頭中13頭,照明区19頭中2頭となっており,照明によって受精個体数,受精卵率の低下することがわかった. 4)産卵前期は野外が2.8日,25℃無処理区が1.2日,暗区が1.6日,照明区が5.1日となっている. 5)産卵期間は野外が8.8日,他の三者は7.4―7.6日で差はなかった. 6)産卵数は25℃無処理が平均208個,野外199個,暗区190個で,照明区は81個となっており,照明によって産卵数の減少することがわかった. 7)羽化後産卵最盛日までの日数は,25℃無処理の4.6日ともっとも短かく,暗区の5.5日,野外の5.9日,照明区の8.8日となり,めす成虫寿命は無処理区8.8日,暗区9日,野外11.6日,照明区12.3日となっている. 8)以上のことから24時間明るくしたり,暗くしたりすることは,羽化時刻を乱すことを示している.それは処理時期が早くなればなるほどより強くなっている.また24時間照明することによって,交尾,受精卵率,産卵数,産卵前期などが強力に抑制される.24時間暗区も,受精卵率,受精個体数,産卵数など抑制されるが,照明区ほどでない.これらのことから,受精卵を多く得るには一定時間毎の明暗が,また交尾,産卵には暗が必要であると考えられる.