著者
田中 理久 島田 良 石川 仁憲 小峯 力
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_1019-I_1024, 2020 (Released:2020-09-28)
参考文献数
9

全国約200箇所の海水浴場におけるレスキューは2,000~3,000件/年であり,毎年多くの溺水事故が発生していることから,ライフセーバーには重大な事故に繋がる前の迅速な救助が求められる.しかしながら,繁忙期は,数万人の利用者に対して数十人のライフセーバーで活動を行っていることから,すべての溺水に対して迅速な救助は難しい.一方,近年はAIを活用した技術開発が進んでおり,AIが溺水者を自動検知することができれば,監視体制の強化に繋がると考えられる.そこで,本研究では,溺水者を自動検知するAIの開発を試みた.AIモデルにはYOLOv3を用いた.教師データには室内,屋外,海水浴場の3箇所の計12,326枚の画像データを用いた.AIによる溺水者の検知精度を評価した結果,F値は0.7~0.9程度であり,AIによる溺水者検知の可能性を示すことができた.
著者
石川 仁憲 風間 隆宏 中川 儀英 青木 伸一 田中 秀治 小峯 力 中山 昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_826-I_831, 2016
被引用文献数
7

わが国の海水浴場では,毎年多くの溺水事故が発生している.海水浴場における意識なしの溺者を含む救助は毎シーズン1,000~3,000件,応急処置は10,000~25,000件であり,溺水の要因は主に離岸流,風等であった.また,海水浴場における具体的な傷病として,刺胞毒を有するクラゲやエイ等による被害が多いことが分かった.溺水や傷病を未然に防ぐためには,海水浴場の危険性を明らかにし,海岸利用者に周知することで事故防止を図るとともに,適切なリスク管理による海水浴場の運営が望まれる.そこで,わが国の海水浴場における溺水の要因や傷病の特徴,監視救助体制の課題などを考慮した海岸利用者の安全性に関するリスク評価手法を検討し,安全な海岸利用に影響を与える要因(ハザード)とそれによる溺水や傷病(ケガ等)が起こりうる可能性を考慮したHazards & Risksと,事故防止・監視救助体制などのBeach management & Patrol systemに関わる評価項目,評価指標,評価方法,さらに安全性の高い海水浴場の条件(総合評価)について提案した.