著者
岩本 和久
出版者
稚内北星学園大学
雑誌
稚内北星学園大学紀要 (ISSN:2189244X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.39-48, 2016-03-31

視覚的なスポーツ表象は、古代エジプトやギリシアにまでさかのぼることができる。スポーツの歴史は美術と深く結びついていると言っても過言ではない。 ソ連においてスポーツ文化は華々しい発展を遂げたが、その美術においてもスポーツは積極的に取り上げられていた。では、ソ連解体後の現代ロシアにおいて、アーティストはスポーツ文化にいかにアプローチしているのであろうか? 本論文では2015年のヴェネツィア・ビエンナーレの関連展示として注目された2つの作品、すなわちグリーシャ・ブルスキン「考古学者のコレクション」とAES+F「Inverso Mundus」を分析しながら、そこでスポーツ文化が空虚な反復や死と結び付けられていること、同時にまた、スポーツ文化に潜在するエネルギーの存在も認められていることを、明らかにしている。このようなスポーツ理解はポストモダン的な批評精神の現われとも言えるが、一方で古代的なものとも言えるだろう。
著者
Shu Gao
出版者
稚内北星学園大学
雑誌
稚内北星学園大学紀要 (ISSN:2189244X)
巻号頁・発行日
no.17, pp.171-186, 2017-03-31

この研究は、「ICT 教育及び研究シーズを活用した観光施設の多言語化の検討(黒木・佐賀, 2016)と連携した研究として、稚内のインバウンド観光における"おもてなし"のあり方を検討する。この研究は中国語圏の観光客に対象とし(台湾、香港、中国本土、その他)、稚内への観光動機を明確にすることを目的として、アンケート調査を行う。また、筆者も共同研究者として参画した「インバウンドを意識した観光施設づくり(黒木ほか, 2015)」の補足充実のため、ノシャップ水族館ガイドブックの中国版(繁体字と簡体字)を作成する。アンケート調査にて、15 件の有効回答が得られた。その中、台湾は最も多く(46%)、香港は36%を占め、中国本土は18%であった。回答者の73%は20 代と40 代であり、稚内へ訪れる観光客はより若い年齢層であることが分かった。80%の回答者は稚内の自然風景を目的に訪れているため、以前の買い物とは異なる動機と分かった。交通手段については北海道までは飛行機が圧倒的に多く(90%)、特に新千歳空港を利用する回答が多かったが、帯広や旭川空港を利用する回答者も少なくはないため、今後、地方から稚内へのアクセス情報を整える必要性が重要であると考えられる。稚内での交通手段についてはレンタカーが最も多かった(60%)。その中、中国本土の免許証は日本では通用できないと思われていたが、過半数はレンタカーで移動するという回答から、今後における中国本土の観光客もレンタカーの利用需求が増えていくと考えられる。稚内の情報入手についてはインターネットから知ったという回答が最も多かったが(36%)、中国本土と台湾、香港とは異なると分かった。中国本土の観光客は、SNS やサイトの口コミなどといった旅行情報に関する専門性の低いメディアから稚内の情報を入手したという回答が多く、台湾や香港の観光客は旅行雑誌やガイドブックなどいった旅行専門雑誌などにより、またはHP(観光協会)というオフィシャルサイトから情報を入手する傾向が見られた。この結果から、地域外の観光客に対して妥当な専門メディアを用い、情報発信した方が効果的であると分かった。特に、中国本土にはSNS などやサイトの口コミによる宣伝、台湾や香港には旅行会社や旅行雑誌などによる宣伝を行うのが効果的と思われる。この研究を通じて、自然風景は稚内の最も人気の要因であり、それを踏まえ、今後は多様なツアーを開発し、地域にあった適切なメディアで宣伝を行うことにより、稚内のインバウンド観光の発展につながると考えられる。
著者
侘美 俊輔 若原 幸範
出版者
稚内北星学園大学
雑誌
稚内北星学園大学紀要 (ISSN:2189244X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.49-80, 2016-03-31

稚内市立稚内南中学校で誕生した「南中ソーラン」は、1993年に開催された第10回「民謡民舞大賞全国大会」においてグランプリ(内閣総理大臣賞)を獲得した。それ以降「南中ソーラン」は様々なメディアやイベントで取り上げられ、2015年にはミラノ万博で演舞された。今日、「南中ソーラン」は、稚内というローカルから出発し、世界へと発信されている郷土芸能の1つである。 本稿は「南中ソーラン」を「郷土芸能(文化活動)」の1つとして位置づけ、その今日的課題の解決に向けた基礎的な方向性を提示することを目的とする。本稿では、保健体育の「ダンス領域」に留まらず、学校と地域を包摂した「地域づくり」の視点を取り入れた重層的な分析と考察を試みる第1報である。
著者
侘美 俊輔 若原 幸範
出版者
稚内北星学園大学
雑誌
稚内北星学園大学紀要 (ISSN:2189244X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.49-80, 2016-03-31

稚内市立稚内南中学校で誕生した「南中ソーラン」は、1993年に開催された第10回「民謡民舞大賞全国大会」においてグランプリ(内閣総理大臣賞)を獲得した。それ以降「南中ソーラン」は様々なメディアやイベントで取り上げられ、2015年にはミラノ万博で演舞された。今日、「南中ソーラン」は、稚内というローカルから出発し、世界へと発信されている郷土芸能の1つである。 本稿は「南中ソーラン」を「郷土芸能(文化活動)」の1つとして位置づけ、その今日的課題の解決に向けた基礎的な方向性を提示することを目的とする。本稿では、保健体育の「ダンス領域」に留まらず、学校と地域を包摂した「地域づくり」の視点を取り入れた重層的な分析と考察を試みる第1報である。
著者
侘美 俊輔
出版者
稚内北星学園大学
雑誌
稚内北星学園大学紀要 (ISSN:2189244X)
巻号頁・発行日
no.20, pp.41-63, 2019-03-31

1972年に北海道大樹町で考案されたミニバレーは,北海道内各地で親しまれている「ニュースポーツ」の1つである.ミニバレーは,誕生から40年余りが経過し,現在は世界40か国以上に普及され,とりわけロシア全土で急速に愛好者が拡大している. そこで,本稿の目的はミニバレーの国際化,とりわけロシア・サハリン州における幼児や,障がい者への普及の過程を確認するとともに,今後のさらなる国際化の可能性について探ることとする.北海道大樹町発の「ニュースポーツ」が,海外では北海道や日本国内の普及展開とは異なる位相で拡大しつつある.現時点において,ミニバレー普及の国際化を時系列かつ即時的に整理することが,今後ニュースポーツとして普及・拡大するうえでの貴重な資料となることが予想される.
著者
岩本 和久
出版者
稚内北星学園大学
雑誌
稚内北星学園大学紀要 (ISSN:13477900)
巻号頁・発行日
no.8, pp.39-48, 2008-03

視覚的なスポーツ表象は、古代エジプトやギリシアにまでさかのぼることができる。スポーツの歴史は美術と深く結びついていると言っても過言ではない。 ソ連においてスポーツ文化は華々しい発展を遂げたが、その美術においてもスポーツは積極的に取り上げられていた。では、ソ連解体後の現代ロシアにおいて、アーティストはスポーツ文化にいかにアプローチしているのであろうか? 本論文では2015年のヴェネツィア・ビエンナーレの関連展示として注目された2つの作品、すなわちグリーシャ・ブルスキン「考古学者のコレクション」とAES+F「Inverso Mundus」を分析しながら、そこでスポーツ文化が空虚な反復や死と結び付けられていること、同時にまた、スポーツ文化に潜在するエネルギーの存在も認められていることを、明らかにしている。このようなスポーツ理解はポストモダン的な批評精神の現われとも言えるが、一方で古代的なものとも言えるだろう。
著者
小泉 真也 濱田 百代
出版者
稚内北星学園大学
雑誌
稚内北星学園大学紀要 (ISSN:2189244X)
巻号頁・発行日
no.17, pp.33-44, 2017-03-31

プログラミングの土台は情報科学であり、情報科学の土台は数学である。数学の視座に立つ者と情報学の視座に立つ者それぞれが、斯様な関係を理解しながら互いの「スマートさ」の差異を「なんとなく」実感している。筆者らの関心は、プログラミング教育の必修化が迫る中、その対象として数学が適するかにある。プログラミング・ソースが「数学の解説者」たりうるかを議論するにあたっては、それ以前の問題として「プログラミング」と「数学」の差異を具体的に追及することが必要となるであろう。本稿では、プログラミングや数学、そしてそれぞれの教育に関する事例を四散的に取り上げることによって、両者の違いや、数学科におけるプログラミング教育の可能性を考察した。