著者
江夏 弘
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.5, no.11, pp.1369-1389, 1953 (Released:2017-10-02)

現在の場の理論における中心問題である発散の困難と素粒子の質量スペクトルに関連して吾々は前に混合場の立場から或る程度の考察を試みた。それによつて発散の困難と種々の素粒子の質量の間に或る関係があるらしいことが推論された。しかし混合場とかくりこみのようなきわめて現象論的な処法は方法の第一段階としては見通しをあたえてくれて便利であるが,何ら本質的な解決には到達しない。吾々がこヽで展開する理論は混合場という制限を一応離れて素粒子の質量を相対論的量子力学の必然的帰結として導き出そうという試みの一つである。結論として云えることは"Fermi粒子が凝集力の場と相互作用しているときに適当な近似の下で四次元時空におけるDirac方程式を解けば質量スペクトルが得られ,それが丁度南部の指摘した半整数の法則に似たものになる。"ということである。
著者
江夏 弘
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.122-128, 1951 (Released:2017-10-02)

この論文の目的は最近の実験により見出されている新粒子はどう解釈すればよいかという課題に対する一つの可能な答を示すことである。結果を先に云えば,「核子のπメソンによる自己エネルギーの発散を消去するための條件から,核子,πメソン, V_1粒子, V_2粒子, Kメソン程度の質量についての質量スペクトルが導かれる」ということである。
著者
児玉 忠恭 有本 信雄
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.C67-C70, 1996

独自に恒星の進化計算を行ない、種族合成コードを構築した。このコードを用いて楕円銀河の周りの球状星団系の色、光度の分布をシュミレートした。ハローの化学進化と球状星団の力学的崩壊過程も考慮した。その結果を典型的な楕円銀河(NGC3923,NGC4472)の球状星団系の観測データと比較し、これらの星団系の形成期に制限を与えた。結果は、星団の形成開始期は12-18Gyrs前で最初の2-3Gyrsの間にほとんどの星団が形成されたとすると、色、光度の分布を同時に再現できることが分かった。平均重元素量は[M/H]〜-0.7程度である。すなわち、銀河系の球状星団系と年齢はほぼ同じで、重元素量は約一桁高い。また、乙女座銀河団の球状星団光度関数(GCLF)のピークは銀河系の球状星団のものに比べ、ΔM_B〜0.5等暗いが、これは重元素量の違いだけで説明できることが分かった。
著者
堀田 暁介
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.115, no.2, pp.52-129, 2007-06-20 (Released:2017-10-02)

一般相対論の範囲ではブラックホールのホライズンの表面積は熱力学的なエントロピーと見なせるという、Bekenstein-Hawking公式が以前から知られていた。そこで本論文では一般相対論を更に拡張させて、超弦理論の4次元での有効理論として導かれる、任意個のベクトル多重項とハイパー多重項が結合し、なおかっ高階の微分項を含んだN=2の超重力理論において、ブラックホールエントロピーがBekenstein-Hawking公式からどのようにずれるかを細かく分析した。またその際に、ホライズンでのスカラー場の値は、無限遠方での値に関係なくブラックホールの持つ電荷と磁荷によって完全に決定されるという「アトラクター機構」のはたらきが現れる。この性質について摂動計算などを含め、定性的、定量的に議論した。