著者
関根 仁市
出版者
聖カタリナ大学短期大学部
雑誌
聖カタリナ女子短期大学研究紀要 (ISSN:02869748)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.73-87, 2001-03-10

日本語における鳥名はすべてカタカナ表記され, 意味を失いつつある。鳥類の標準和名は多くの場合, その種の属す科名, あるいは, 科名に代表されるような基本的名称に1語ないし2語の修飾語が附加されて成立している。基本名となる鳥名が消失した修飾語のみの種名もある。修飾語としては, 羽毛の色や形, 特徴的な模様のほか, 発見者名, 国名および地方名, 大きさを表す形容詞, 他の鳥名, 自然界の事物, 動植物名, 人を表す語, 習性・行動を表す語などが用いられており, それぞれの種を特徴づけている。また, 同族でありながら近縁種との類似を見ない特異な名称もあり複雑である。今回は, 日本産鳥類中, 非スズメ目についての和名を検討した。
著者
長岡 達也
出版者
聖カタリナ大学短期大学部
雑誌
聖カタリナ女子短期大学研究紀要 (ISSN:02869748)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.201-213, 1997-03-10

阪神大震災が起きて約1ヵ月余り過ぎた頃, 朝日新聞社の朝日俳壇が「阪神大震災を詠む」と題して, 俳句特集を同紙の朝刊(平成7年2月26日)に掲載した。今回は, これを対象として最短詩型の俳句が, この阪神大震災の被害の状況と人間の生きざまを, どのように捉(とら)え, どのように表現しているかを考察してみることにした。そこで, I.「阪神大震災の俳句の特徴」として, 1.「俳句の傾向と内容等について」では, 俳句の傾向としては, 現実を直視した在りのままの姿や実感を表現したものが多かった。また, その素材・内容は多岐にわたり, 阪神大震災の全容をほぼ活写していた。2.「俳句に使用された語句について」では, 地震, 被災, 避難, 瓦礫, 遺体, 生きる糧などがあり, また, 断層, FAX(FACS), ガス管, 高架, ボランティア, トイレなど普通俳句であまり使われないことばがあった。3.「俳句の最後の言葉の品詞について」では, 動詞が一番多く, 次は名詞, 3番目は助詞であり, 助動詞と形容詞は少なかった。4.「俳句における無季語と字余りについて」では, 両方とも全60句中8句ずつであった。このうち無季語の俳句については, 事前に予想していたよりはるかに少なかった。5.「俳句における切字の『や』と読点の使用について」では, 切字の「や」は全60句中4句であった。また, 俳句の中に読点があるのは, 全60句中1句のみであった。この俳句での読点の使用は, その句の焦点をぼかしてしまう恐れがあり, 特に注意が必要である。以上, 5項目を特集俳句全60句について分析・考察した。なお, 俳句の特性から理解を深めるため, II.「阪神大震災の俳句の鑑賞・批評」として, 特集俳句60句から特に10句を選んで鑑賞・批評した。
著者
藤井 澄子
出版者
聖カタリナ大学短期大学部
雑誌
聖カタリナ女子短期大学研究紀要 (ISSN:02869748)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-17, 2002-03-10

特別養護老人ホームにおける集団セッションでの選曲のあり方について, 筆者は各曲を5種類のジャンルに分類してそれぞれに『A』『B』『C』の好感度をつけた。この好感度は選曲の頻度などによって変化していくが, 年数を重ねるとともに『A』ランクが増え, 痴呆のセラピストにも学習効果が認められた。さらにAホームにおいては, 唱歌・童謡よりも流行歌に広がりが観られ, 選曲に双方を織り交ぜることで, 高齢者の心にある音楽を引き出すことができて, 生き生きとした活動を行えた。特に, 映画音楽の主題歌は, 青春時代の記憶を喚起させ, 情動を動かせる歌として有益性が認められ, 音楽療法の選択曲としての価値が期待される。
著者
熊上 聡子 宮崎 広子
出版者
聖カタリナ大学短期大学部
雑誌
聖カタリナ女子短期大学研究紀要 (ISSN:02869748)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.97-111, 2000-03-10

愛媛県内のH小学校生徒206名およびK小学校203名を対象として生活・食生活習慣の実態把握を目的としたアンケート調査を実施し, 以下の結果が得られた。 1)ふだんの起床時間は, 両校ともに7時までに起床する小学生は約9割を占め, 女子の方が早起きの傾向を示した。 2)ふだんの就寝時間は, 10時から10時30分までに就寝する小学生が最も多く, H小学校総数30.6%, K小学校総数31.5%であった。 3)朝食を欠食する小学生は, 両校ともに男子が女子を上回った。 4)朝食を6時30分から7時までに食べ始める小学生の割合が高く, H小学校総数49.5%, K小学校総数59.1%とH小学校を9.6ポイント上回った。 5)「朝食を両親と食べる」と回答した小学生は, H小学校総数18.9%, K小学校総数24.1%に対し, 両校それぞれ62.2%, 76.8%と約過半数の小学生は「夕食を家族全員または両親と食べる」と回答し, 朝食を大きく上回った。 6)学校給食以外で牛乳・乳製品を「毎日食べる」生徒は, 両校ともに全体の約3割にすぎなかった。 7)間食として最も摂取割合の高かったのは, アイスクリーム類で, 次いで上位を占めたのはスナック菓子であった。 8)「よく運動している」と回答した小学生は, H小学校総数40.3%, K小学校総数38.4%と約4割を占め, 両校ともに男子が女子を上回った。 9)休日の過ごし方では, 両校いずれも「友達と遊ぶ」が1位を占めたが, 女子では「ゆっくり休養する」が上位にあげられ, 過ごし方の内容に男女差がみられた。 10)夕食づくりを「手伝わない」と回答したH小学校男子52.4%と女子14.9%との間に, K小学校男子46.2%と女子18.2%との間にそれぞれ有意な差が認められた(P<0.01)。 11)「ダイエットをしたことがある」と回答したH小学校男子7.6%と女子22.8%との間に, K小学校男子9.7%と女子23.6%との間にそれぞれ有意な差が認められた(P<0.01)。
著者
遠藤 章二
出版者
聖カタリナ大学短期大学部
雑誌
聖カタリナ女子短期大学研究紀要 (ISSN:02869748)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.69-76, 2002-03-10

本学に在学する女子短大2年生を対象に日中の体温変動を3日間単位として2回にわたり測定した。測定した結果を, 1日の最高体温と最低体温との差から3つのグループ, 「激しい・中程度・緩やか」群に分類し, その日内変動の特性を検討した。「激しい」群は, 日中の体温差が平均で1℃を超した。多分, 覚醒レベルが高く, 学習意欲も旺盛なグループであろうと考える。一方, 日中の体温変動の平均が0.43度と少なかった「緩やか」群の者は, 1日中覚醒レベルが上がることなく, 学習意欲も高まることなく漫然と過ごしたのではなかろうかと考える。 今後, 朝食の摂取, 運動などの体温上昇などの要因を加味した調査を検討している。
著者
松井 寿美子
出版者
聖カタリナ大学短期大学部
雑誌
聖カタリナ女子短期大学研究紀要 (ISSN:02869748)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.37-54, 2000-03-10

幼児の共同制作は個人の作品や絵を集合させて一つの作品にする持ち寄り型と, みんなで意見を出し合って協力して描いたり作ったりする計画型の二つのタイプに分けることができる。特に後者はイメージの共有・役割の理解・行動の調整制御・個々の技術や技法の習熟などが前提となる。それぞれが持ち寄る形態を利用しながら計画型の共同制作をする機会を待つのが通常の方法である。共同制作はごっこ遊びや劇遊び, 作品展などでよく見られる活動である。しかし, 絵画作品の指導はあまり試みられていない。本論では, 個性と協調性が無理なく共存する共同の絵画制作の成立に必要な配慮について5つの実践を通して考察した。 1.題材設定においては次の3つの要因を含むことが望ましい。(1)一人ではできない画面の大きさ。(2)その大きさが必要条件となる内容。(3)多くのアイデアや発想が必要となる内容。 2.共同の絵画制作ではグループ構成が大きく活動に影響する。個人の技能や能力, 集団活動への参加態度, 秩序を錯乱させる可能性のある子どもの配置, リーダー的な役割に対する適性などを考え併せてグループ編成を行う必要がある。 3.子どもをゆさぶり, 刺激するような大掛かりな環境構成をしても, 保育者が子どもを十分に把握していなければ意味をなさない。環境構成には保育者のさりげない心配りが必要である。