著者
永井 恵一 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第41回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.345, 2006 (Released:2007-01-05)

本研究では、東京都内のキリスト教会を対象に、教会の立地の変遷と移転の要因から、教会が都市空間においてどのような位置付けにあるのかを考察することを目的とする。その結果、(1)東京都内における教会立地の変遷は、築地居留地を起点に、徐々に西進、郊外化が進んでいる。(2)教会の移転理由として大きく5種類が抽出され、戦後には、区画整理等や財政・立地の問題等、内部的問題による移転が多く見られた。特に区画整理による移転は、戦後に教会の移転が減少する中で、大きな割合をしめるようになっている。(3)教会史から移転に関する議論を抽出することにより、初期においては、教会の財政や伝道の進展の問題の原因を、教会の立地の悪さに起因するものと見なし、会員の獲得のために移転を議論する傾向がみられた。また、震災後の議論では区画整理が多く見られるとともに、教会の周辺の「環境の変化」が議論されており、移転の要因のひとつとなっていることが明らかになった。
著者
原田 敬美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第41回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.31, 2006 (Released:2007-01-05)

本研究の目的は、東京都港区内のJR品川駅と田町駅の東西自由通路を対象に、協議会方式による官民協働事業の整備手法について、特徴、問題点、課題を明らかにし、今後官民協働の手法の可能性を検討することである。品川駅自由通路は駅東口の複合都市開発と新幹線品川駅開業に対応するため1998年完成、幅20m長さ250m、工事費160億円である。田町駅自由通路は西口再開発事業計画に公共施設として位置づけ、周辺の再開発や大型開発へ対応するために2003年完成、幅16m長さ80m工事費25億円である。駅周辺の大企業や商店会に協議会参加を呼びかけ、開発者負担、受益者負担の原則で、協議会が建設費を負担し、区は一般財源の支出無しで公共施設整備をした。一方区は開発事業者にボーナス容積のインセンティブを与えた。協議会方式は様々な主体が参加することでコミュニケーションが進み、問題解決が図れ、単独主体で整備するより効率的に事業が進んだ。協議会方式による官民協働の事業の整備手法は今後様々な公共施設整備に活用の可能性がある。
著者
清水 肇 小野 尋子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 第41回学術研究論文発表会 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
pp.36, 2006 (Released:2007-01-05)

那覇市首里金城地区においては、歴史的環境を有する地区としての景観整備が1980年頃から取り組まれてきた。その過程において、中央部を貫く石畳道を保全し、地区外に通過用道路を建設し、さらにアプローチ道路を整備することが行われてきた。その過程で生活環境を整備しつつ細街路の歴史的形態を保全・整備する方法について模索が行われてきたが。2005年に細街路の両側の石垣を含めて道路用地として石垣や石積の保全修復をはかり、道路自体は歩行者専用道路として整備して有効幅員を2?2.7mとする都市計画決定が行われた。これによって沿道敷地は幅員4m以上の道路に接することとなる。これは環境、利用、設置の三側面を実質的に評価して細街路の目標を定めることによって可能となった細街路整備の方法である。