著者
中村 靜
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醸造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.175-197, 1929-10-15

本篇は故山の風物に抱かれつゝ安らかに眠る恩師宇佐美博士の英霊に捧ぐるものにして先生御他界後研究を中止すの止むなきに至りたるも幸当醸造学科教室主任教授齋藤賢道博士、応用化学科教室主任教授丸澤常哉博士両先生の御督励御指導により研究の続行を決意したるものにして著者は本稿を草するに当り涙又新なるものあり巻頭両先生の御芳情を感謝すると共に事こゝに至れるを宇佐美先生の霊前に告げ遙かに恩師の冥福を祈るものなり。
著者
原半 兵衛
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醸造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.263-264, 1936-03-15
著者
駒澤 利雄
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醸造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.9, no.8, pp.588-599, 1931-08-15

豪州産シバリー種本邦普通大麦より製造せる麦芽につき糖化及醗酵試験並に之より仕込みたる麦汁が酵母の生理的性質に及ぼす影響を見、之とゴールデンメロン種大麦より製造せる麦芽とを比較したるにエキス分生成量に於てシバリーはゴールデンメロンに劣り六角大麦は更にシバリーに劣ることを観察せし以外には殊に品種的差異としてシバリー種及普通大麦が麦酒製造上著しくゴールデンメロン種と異なるが如き所なく唯共試シバリー麦芽中醗酵やや不良のものありたれどこは品種的原因に基づくに非ずして寧ろ製麦操作上溶化(Auflosung)不良なるに歸すべく此点に注意して製麦すればシバリー種及六角普通麦よりもゴールデンメロン種と大差なき麦芽を得ることを確かめたり。但し麦酒の味、泡持又は所謂グルチン〓濁等に就ては本試験の關知せざる所とす。之に就ては別に研究施行中なり。(1931年7月日本麦酒鑛泉株式会社東京工場)終りに臨み當社松山技師長(茂助)の懇切なる御指導と大平技師(走快)及榊原友吉氏の御援助とを深謝す。
著者
住江 金之
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醸造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.475-483, 1931-07-15

従來澱粉質物を原料とする酒精工場では最初〓を製造する際乳酸醗酵を行はせる、又糖蜜を原料とする酒精工場では屡々醪に0.1%内外の硫酸を加へて居る。此等は何れも雑菌の侵犯を防ぐ主旨で有る事は云はずも明かな事である。此場合〓又は醪の酸度は強い程雑菌防止の目的には沿ふけれ共一方では強酸の爲酵母の繁殖並に醗酵が妨げられる事となる。それで若し酸に對し抵抗力の強い酵母の種類が有つたならば醪を強酸性にして醗酵させる事が出来るので頗る都合が宜しい。又従來の酒精工場では、醪の濃度をBallingの12度以下として居る(糖蜜を原料とする時は別であるが)若し更に濃厚な糖液中でも良く醗酵する様な酵母が有つたならば、同一設備の下に能率を上げる事が出来るので有る。上記の理由に依り耐酸性耐濃糖性酵母を心竊かに探して居たが偶然思ひついたのが著者の郷里あたりで家庭で造つて居る梅酒で有つた。此種の梅酒は普通の梅酒と大分趣の變つた製法であつて。乃ち青梅の身を削つて。一方に三盆白糖を置き。果肉に白糖粉を充分に塗抹し直ちに瓶に入れる。果肉から出た汁が瓶内に溜る。白糖は中々溶けきれないで瓶の底に堆高く積つて居る。少しも水などは加へない。それで醪の酸度と糖度は頗る高くなつて居る。斯して2-3日中に醗酵を始め1週間位で最も旺盛に醗酵し2週間位で、醗酵が終る。醗酵中の醪を採つて見ると多數の酵母が居る。上記の醪から酵母を分離してSaccharomyces屬のもの二株Mycotorula屬のもの二株を得た。Saccharomyces屬のものは何れも相當の醗酵力は有るけれ共、普通の糖度で然も酸を加へない場合には従來の酒精酵母並に臺湾研究所の396號に及ばない。併し濃糖濃酸の場合には是等よりも醗酵力が強い。又Mycotorula屬のものは醗酵力は左程強くないが耐酸性は異常に強いので將來此特性に基き何が利用の途が有るかも知れないと思ふ。兎に角此度分離した酵母は直接實用に供するには尚不充分で有るが將來多くの梅實に就て調査したならば多分は實用になる種類も探し當る事と思はれるし、更に又直接實用にならぬとしても梅實に斯様に耐酸性の酵母が居る事は学術上にも興味ある事と思ふので此處に報告する事とした。
著者
下田 吉人
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醸造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.299-310, 1932-04-15