著者
東亞合成化学工業株式会社ポリマー事業部
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.271-272, 1989-05-20 (Released:2010-08-05)

各種毒性試験を実施し, ポリアクリル酸ナトリウムの安全性評価を行なった.ポリアクリル酸ナトリウムのマウスに対する急性経口LD50値は10,000mg/kg以上であり, きわめて低毒性の化合物と判断された. ラットの亜急性および慢性毒性試験においては, 高用量群で若干の体重増加抑制の結果も得られたが, 蓄積的毒性ならびに癌化, 前癌的変化などの特異的影響は見られなかった.以上から, ポリアクリル酸ナトリウムは, 食品添加物にも指定されているように, 非常に安全性の高い化合物といえる. また, 魚貝類に対しても通常の使用では問題もなく, 魚毒性はA類に該当している.なお, ポリアクリル酸ナトリウムを含有するアロンAは安全性の高い薬剤である上, 空中液剤散布における補助剤として噴霧粒子中の主剤のドリフト防止効果およびそれにより主剤の病害虫防除効果を向上させうることから, 農業資材としてきわめて有用であると考えられる.
著者
日本農薬株式会社登録薬事部
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.S261-S267, 1992
被引用文献数
1

フェンピロキシメート原体および5%フロアブル製剤の安全性評価を行なうために各種毒性試験を実施した.<br>その結果, 原体の急性経口毒性は劇物相当であるが, 製剤の毒性は弱く, 普通物に相当する. 原体および製剤の急性吸入毒性は相対的に強く, 製造時等での取扱いに十分に注意する必要がある. 原体および製剤の急性経皮毒性は弱い. 原体は眼に対して軽度の刺激性を示すが, その後回復がみられている. 皮膚刺激性は認められない. 製剤では, 防除場面で使用する1000倍希釈液での刺激性は認められていないものの, 原液では眼および皮膚のいずれにも軽度の刺激性を示す. 原体はモルモットでの Maximization 法で皮膚感作性を示したが, より実際的な評価法と考えられる Buehler 法では皮膚感作性は認められず, 製剤においては Maximization 法でも認められなかった. マウス, ラットおよびビーグル犬での亜急性毒性, 慢性毒性および発癌性試験において飼料摂取量の減少に伴う体重増加抑制, タンパクおよびグルコース濃度の低下および尿素濃度の上昇が認められた. ビーグル犬ではさらに下痢や嘔吐に加えて, 心拍数の減少がみられた. しかし, いずれの試験においてもフェンピロキシメート投与に起因する病理組織学的変化や腫瘍性病変の発現は認められず, 変異原性も陰性であった. 繁殖や次世代に対する悪影響および催奇形性は認められなかった.<br>フェンピロキシメートの鳥類に対する毒性は弱いが, 原体のコイおよびニジマスでの48時間TLm値がそれぞれ0.0061および0.00057ppm, ミジンコでの3時間TLm値が0.085ppmと, 魚類およびミジンコに対するフェンピロキシメートの毒性は強いため, 池や河川等の水系への流入には十分に注意する必要がある.<br>本剤は, 1991年にリンゴ, 柑橘, ブドウ, ナシ, モモ, オウトウ, チャ, スイカ, メロン, イチゴ, カーネーションおよびキクのハダニ類に対して登録を取得し, 1992年にはハダニ類以外のチャのチャノミドリヒメヨコバイに対しても登録を取得した. 登録保留基準値は, 果実 (ナツミカンの外果皮およびブドウを除く) 0.5ppm, ナツミカンの外果皮5ppm, ブドウ2ppm, チャ0.5ppmである.<br>フェンピロキシメートは定められた使用基準を遵守すれば農業資材の一つとして有用であると考える.
著者
Amrith S. Gunasekara Tresca Truong Kean S. Goh Frank Spurlock Ronald S. Tjeerdema
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.189-199, 2007 (Released:2007-08-27)
参考文献数
47
被引用文献数
184 268

Fipronil is a relatively new insecticide that controls a broad spectrum of insects at low field application rates. It is a “new generation” insecticide because its mode of action, interference with the normal function of γ-aminobutyric acid (GABA)-gated channels, differs from the classical insecticides, such as organophosphates and carbamates, to which some insects have developed resistance. Fipronil is extensively used throughout the world and numerous studies have evaluated its toxicity and environmental fate. However, a concise review summarizing and combining the recent scientific findings available in the scientific literature is lacking even though the pesticide has been found to be highly toxic to some aquatic organisms. Thus, this document evaluates, summarizes, and combines important toxicological and environmental fate information from recent scientific articles and other literature to produce a detailed review of fipronil.
著者
天野 昭子 矢野 秀治
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.249-253, 2005-08-20
参考文献数
8
被引用文献数
5

農産物の残留農薬調査における, 市販のイミダクロプリド測定キットの実用性について検討した.6名の作業者による, 同一農産物試料としてトマトを用いたイミダクロプリド添加回収実験では, いずれの作業者においても回収率および繰り返し再現精度は良好であった.また, 数種農産物(トマト, イチゴ, ナス, ピーマン, キュウリ, キャベツ, ダイコン, ニンジン, リンゴ, ナシおよびダイズ)を用いた添加回収試験では, いずれも回収率は良好であった(94.2〜132.0%).以上より, イミダクロプリド測定用キットは農産物の残留農薬のスクリーニングに有効な手段であると言える.
著者
藤田 雄大 古田 賢次郎 白橋 浩光 洪 淳星 塩月 孝博 桑野 栄一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.192-198, 2005-08-20
被引用文献数
1 5

エチル4-[2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)アルキルオキシ]ベンゾエート類を合成し, カイコ幼虫に対する早熟変態誘起活性を検討した.供試化合物中, エチル4-[4-メチル-2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)ペンチルオキシ]ベンゾエート(5)が, 3齢1日目幼虫に投与した場合, 最も高い活性を示した.化合物5の両鏡像体R体とS体では活性にほとんど差がなかった.化合物5の早熟変態誘起活性は幼若ホルモンアゴニストであるメソプレンによって完全に打ち消されたが, 20-ヒドロキシエクダイソンの摂食では影響なかった.化合物5を3齢幼虫に投与した場合, 通常, 最終齢の蛹化開始に必要な幼若ホルモンエステラーゼの活性が, 4齢期の血中に誘導された.
著者
藤田 雄大 古田 賢次郎 白橋 浩光 洪 淳星 塩月 孝博 桑野 栄一
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.192-198, 2005-08-20
参考文献数
14
被引用文献数
1 5

エチル4-[2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)アルキルオキシ]ベンゾエート類を合成し, カイコ幼虫に対する早熟変態誘起活性を検討した.供試化合物中, エチル4-[4-メチル-2-(6-メチル-3-ピリジルオキシ)ペンチルオキシ]ベンゾエート(5)が, 3齢1日目幼虫に投与した場合, 最も高い活性を示した.化合物5の両鏡像体R体とS体では活性にほとんど差がなかった.化合物5の早熟変態誘起活性は幼若ホルモンアゴニストであるメソプレンによって完全に打ち消されたが, 20-ヒドロキシエクダイソンの摂食では影響なかった.化合物5を3齢幼虫に投与した場合, 通常, 最終齢の蛹化開始に必要な幼若ホルモンエステラーゼの活性が, 4齢期の血中に誘導された.