著者
朝日 公哉
雑誌
論叢:玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
no.2015, pp.1-17, 2016-03-31

戦後,新たな学校教育法に基づいて編集された教科書に「かえるの合唱」が掲載され,日本国内に広まった。この新しい教育方針による音楽の教科書において編集委員に抜擢された岡本敏明は特別な思いで「かえるの合唱」を紹介した。本稿では,「かえるの合唱」誕生の背景をひもとくことにより,岡本が教材として輪唱を扱うことに期待した教育的効果を明らかにするものである。岡本は牧師の家庭に生まれ,讃美歌に慣れ親しんで育った。また,全人教育を提唱した玉川学園創設者小原國芳との出会いや,ふんだんに歌を生活の中に取り込み,生き生きとした音楽教育を展開していた玉川学園での実践を通して,その教育観を固めていった。合唱教育の基盤となるのはハーモニー感(相対音感)の陶冶であり,多くの輪唱教材に習慣的に親しむべきであると岡本は主張した。
著者
森 良和
雑誌
論叢:玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
no.2013, pp.81-98, 2014-03-31

メルヒオール・ファン・サントフォールトは,1600年に豊後に到着したオランダ船リーフデ号の船員の一人である。彼はウィリアム・アダムズのように旗本扱いとはならなかったが,平戸のオランダ・イギリス両商館とも取引し,自由市民として独自に商売を営んだ。リーフデ号の船員のなかで最も長生きした彼は,およそ40年間を日本で過ごしたが,幕府の鎖国政策によってバタヴィアに追放され,その地で死去した。リーフデ号の船員はだれ一人母国に帰還せず,ほとんどは自らの意思で日本にとどまった。本稿では従来扱われることのなかったサントフォールトの生涯を明らかにし,当時世界に雄飛したオランダ人船員の生き方の一例を考察する。
著者
森 良和
雑誌
論叢:玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
no.2016, pp.117-134, 2017-03-31

ウィリアム・アダムズ(三浦按針)の日本人妻の人物像については従来ほとんど踏み込んだ研究はなされていない。史料がごく限られるからである。しかし,これまでは特に吟味されることなく,夫人の出自と名前が「馬込勘解由の娘おゆき」とされることが多かった。本稿では主に当時来日していた西洋人の記録を検証しながら,これらについて改めて考察し,自身の見解を示していく。
著者
朝日 公哉
雑誌
論叢:玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
no.2015, pp.1-17, 2016-03-31

戦後,新たな学校教育法に基づいて編集された教科書に「かえるの合唱」が掲載され,日本国内に広まった。この新しい教育方針による音楽の教科書において編集委員に抜擢された岡本敏明は特別な思いで「かえるの合唱」を紹介した。本稿では,「かえるの合唱」誕生の背景をひもとくことにより,岡本が教材として輪唱を扱うことに期待した教育的効果を明らかにするものである。岡本は牧師の家庭に生まれ,讃美歌に慣れ親しんで育った。また,全人教育を提唱した玉川学園創設者小原國芳との出会いや,ふんだんに歌を生活の中に取り込み,生き生きとした音楽教育を展開していた玉川学園での実践を通して,その教育観を固めていった。合唱教育の基盤となるのはハーモニー感(相対音感)の陶冶であり,多くの輪唱教材に習慣的に親しむべきであると岡本は主張した。
著者
寺本 潔
雑誌
論叢:玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.73-85, 2015-03-31

小学校における観光をテーマとした授業と教材開発が沖縄県の公立小学校を舞台に行なわれた。既成の社会科単元を組み替えて実験的に実施された。加えて,筆者自身による出前授業と自作したカード教材の有効性も確認できた。観光の授業は自県のよさを子どもが見直すだけでなく,観光客が楽しむプログラムを立案したり,身近に存在する世界遺産を観光客の目で捉え直したりできる機会になる。子どもたち自身が「観光のまなざし」を理解し,自らも確かな観光者として成長できるきっかけとなる。
著者
森 良和
雑誌
論叢:玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
no.17, pp.57-80, 2017-12-25

1600年,オランダ船リーフデ号で日本に来航したイギリス人ウィリアム・アダムズは,来航直後から徳川家康に寵遇された。来日数年後,アダムズは家康から西洋船の建造を命じられ,2隻の船を造った。本稿ではこれらの西洋船が造られた経緯とそれが持つ歴史的意味について,家康の外交政策とアダムズの描いた北西航路探検構想との関連で考察していく。特に日本とフィリピンのスペイン人,およびオランダ人,イギリス人などとの関わりを中心に所論を展開していく。