著者
木村 昭郎 田中 英夫 早川 式彦
巻号頁・発行日
1999 (Released:1999-04-01)

原爆被爆者の高令化に伴い、骨髄異形成症候群(MDS)の増加がみられているが、当血液内科において過去15年間に診断されたMDSの病型診断を確定し、個人線量は当研究所の開発したABS93Dを用いてCox比例ハザードモデルにより統計学的解析を行った。その結果、個人被爆線量が得られたMDS例は26例であり、被曝線量反応関係を明らかにした。すなわち1 Sv被爆の0 Sv被爆に対する相対リスクは2.4であり、被曝線量反応関係に影響する因子として、被爆時年令を明らかにした。被爆者MDSの遺伝子レベルでの異常を明らかにするため、分化型急性骨髄性白血病の原因遺伝子として同定され、二次性白血病にも関与している可能性が指摘されている転写因子AML1遺伝子に注目し検索をすすめた。AML1遺伝子内のラントドメインの変異をPCR-SSCP及び塩基配列決定により検索したところ、非被爆者MDSでは74症例中2例(2.7%)に変異が認められ、これまでの報告と同程度の頻度であった。しかし、原爆被爆者で低線量被曝を受けたと推測されるMDSにおいては、13症例中6例(46%)と高頻度に点突然変異が認められた(ミスセンス3例、ノンセンス1例、サイレンス2例)。これらの点突然変異体について二量体形成能、DNA結合能、転写活性能についての解析を実施した。これらの結果より放射線関連MDS/AMLにおいてAML1の点突然変異が関与していることが明らかになった。次にMDSの病態には遺伝的不安定性が関与していると考えられるが、患者の単核球について、4種類のDNA修復酵素の遺伝子(ERCC 1,ERCC 3,ERCC 5,XPC)発現を検討したところ、低下〜消失した症例を高頻度に認め、MDSの病態に関与することが示唆された。

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非被爆者MDSでは74症例中2例(2.7%)に変異が認められ、これまでの報告と同程度の頻度であった。しかし、原爆被爆者で低線量被曝を受けたと推測されるMDSにおいては、13症例中6例(46%)と高頻度に点突然変異が認められ  https://t.co/Vw7Yi9BQ3A
KAKEN — 原爆被爆者の骨髄異形成症候群(MDS)に関する疫学的、分子生物学的研究 https://t.co/PxrDogzIEm
次にMDSの病態には遺伝的不安定性が関与している…患者の単核球について、4種類のDNA修復酵素の遺伝子(ERCC 1,ERCC 3,…)発現を検討したところ、低下〜消失した症例を高頻度に認め、MDSの病態に関与することが示唆された。 https://t.co/PxrDogzIEm
KAKEN — 原爆被爆者の骨髄異形成症候群(MDS)に関する疫学的、分子生物学的研究 AML1遺伝子内のラントドメインの変異をPCR-SSCP及び塩基配列決定により検索したところ、… https://t.co/PxrDogzIEm
原爆起因の血液性癌MDS。QT 原爆被爆者で低線量被曝を受けたと推測ケース、13症例中6例(46%)と高頻度に点突然変異。4種類のDNA修復酵素の遺伝子(ERCC 1,ERCC 3,ERCC 5,XPC)発現で低下消失症例を高頻度に認。http://t.co/2wi3N4303P
長崎の被爆者、身近な人でMDSになる人が2人。もちろんサンプル数は少ないが、一般的な病気ではないし、身近なだけに因果関係があるとしか思えない。 http://t.co/2wi3N4303P http://t.co/x578qBaogQ
原爆との戦い。他者は想像すらできない、判らない。しかし、戦わなければならない。 原爆被爆者の骨髄異形成症候群(MDS)に関する疫学的、分子生物学的研究 http://t.co/kHSckkTCbQ
原爆被爆者の骨髄異形成症候群(MDS)に関する疫学的、分子生物学的研究 http://t.co/6Bvh9dh26x
朝、#NHK がやってた被曝からの遺伝子変異でMDSになるっての、臨床数少ない(26件)。リスク因子に「放射線曝露」があるだけで相関がみられたっていうには数が少ないと思うが、他の要因をマスクして検出数精査したほうがいい。要旨>http://t.co/mTCD5WISmM

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