- 著者
-
西村 正宏
牧平 清超
二川 浩樹
浜田 泰三
中居 伸行
熊谷 宏
- 出版者
- 広島大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1999
根面齲蝕の発生・進行に関与する微生物学的要因として、微生物の根面への付着、定着、酸あるいは酵素の産生による基質の分解が必要であり、我々は、カンジダアルビカンスは他のカンジダや齲蝕原性細菌と比較してコラーゲン及び変性コラーゲンへの付着能、定着能が著しく高いことを見出した。次にコラーゲンスポンジをカンジダアルビカンスと共培養すると、スポンジが完全に溶解することを見出した。このコラーゲン分解能をより定量的に検討するために、アゾコラーゲンやコラーゲン様配列をもつ合成ペプチド(FALGPA)による分解活性測定を行い、このコラゲナーゼ活性の性質について様々な検討を行った。その結果、1.アゾコラーゲンの分解能は嫌気的中性状態で血清アルブミン存在下の時に最も高かった。2.カンジダアルビカンス周囲のコラゲナーゼ活性の検討としてFALGPAの分解能を検討すると、同一ATP当たりではストレプトコッカスミュータンス、アクチノマイセスよりは弱く、ラクトバチラスよりは高かった。また血清アルブミンが存在するときに活性が高かった。3.FALGPAの分解活性はEDTAによって抑制されたが、セリンプロテアーゼインヒビター(APMSF)やアスパラギンプロテアーゼインヒビター(ペプスタチン)では抑制されなかった。また熱によって失活した。4.ゼラチンザイモグラフィーによる分子量検索の結果、培養上清中には約116kDa,150kDaの2本のバンドを検出し、このバンドはサンプルの熱処理によって消失したがEDTA処理では消失しなかった。以上の結果から、カンジダアルビカンスは細胞周囲と培養上清中に少なくとも2つ以上の異なるコラゲナーゼ様の酵素を産生し、この活性は他の細菌と比較して十分に強力なコラーゲン分解能を持つことが示された。したがって、カンジダアルビカンスは根面齲蝕におけるコラーゲン分解に十分に関わりうることが示された。