著者
古久保 さくら 丸山 里美 高松 里江 須藤 八千代 山口 薫 茶園 敏美
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

本研究の目的は、1947~1997年に大阪府内に存在した婦人保護施設「生野学園」の50年間の記録を分析することを通じて、貧困概念をジェンダーの視点から再検討することである。そのため、以下の3点に取り組んできた。i)女性の貧困の実態が、戦後を通じてどのように変化してきたのかを量的に把握する。ii)この実態に対し、社会福祉がどのように対応してきたのかを、歴史的に明らかにする。iii)女性の貧困が問題化される過程で、女性運動・ジェンダー論の中で巻き起こった議論をとらえなおし、売春防止法に代わる新たな女性福祉政策を構想する。上記の目的のもと、29年度は以下のように研究を進めた。「生野学園」の入所者の全ケース記録について、量的分析が可能なデータとして加工したものを資料として、入所時期、入所期間、コーホート、IQ、売春経験の有無などによって、特徴づけられる女性の貧困・困難とは何かについての検討を行い、その成果を『思い、紡いで-いくの学園20周年記念誌』において「婦人保護施設『生野学園』の歩み」にまとめた。この量的分析を通じて、ケース記録を読み込む中で、「生野学園」資料で描かれている「売春経験」をどのようにとらえるべきなのか、IQを測るという支援者側の行為をどのように考えるべきなのか、女性に対する暴力をどこまで推定できるか、などのさまざまな研究課題が浮かび上がってきた。と同時に、女性にとって性を売るということをどのように評価すべきなのか、女性たちの主体をどのように読み解くべきなのか、女性に対する福祉はいかにあるべきなのか、などの課題については、「生野学園」の資料とはなれて、各研究分担者は自分のフィールドから研究を深めることとなったが、その研究のすべてが論文という形でまとまるには至っていない。

言及状況

Twitter (2 users, 2 posts, 1 favorites)

@officematsunaga 古久保さくら 氏 科研費 婦人保護施設から見た戦後日本の女性の貧困――貧困概念の再定義に向けて https://t.co/nCjQpH9uiS 研究分担者 5名 計6名 配分額 12,350千円… https://t.co/l30FosqVCq

収集済み URL リスト