著者
牟田 和恵 丸山 里美 岡野 八代
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は、第三者からの精子提供によって女性カップルのもとに生まれた子について、インタビュー調査の設計を行うとともに、7ケースの事例調査を実施した。またフランスにおいては、関連法についても調査した。事例調査は、3ケースは日本、3ケースはフランス、1ケースはニュージーランド(調査自体はイギリスで実施)のものである。フランスは2013年に同性婚が法制化され、同性カップルの養子縁組も可能になったが、同性カップルの生殖補助医療の利用は認められておらず、現政権のもとで議論がなされている最中である。ニュージーランドは、調査対象者が子をもうけた時点では同性婚は法制化されていなかったが(2013年に法制化)、生殖補助医療の利用は可能であった。各国の法制度のあり方と、それと関連はするが相対的に独立した当該家族に対する社会の許容度は、情報開示と子のアイデンティティのあり方に強く影響するが、それだけではなく、子の発達段階、家族の居住形態、精子提供者をどのように得たかなどによってもかなり異なっていることが明らかになった。同性婚はもとより、同性カップルの生殖補助医療が認められておらず、当該家族に対する社会の許容度もきわめて低い日本では、同性カップルが子をもうけるということ自体が、金銭的にも社会資源の面でも特権的な階層にしか可能ではない。それにもかかわらず子をもうけたカップルが直面した・している困難と、その際に取った戦略、そして同様の問題が他国においてどのように生じているかに関する事例を収集することによって、当該家族のもとで育つ子の法的権利・福祉のあり方を検討していくための基礎的な整理を行った。
著者
丸山 里美
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.898-914, 2006-03-31
被引用文献数
2

近年, 野宿者の存在が社会問題化している.これまでの野宿者研究では, 野宿者の生活に見られる自立的で主体的な側面を描き出すことによって, 野宿者は更生すべきだとするまなざしに対抗しようとしてきた.そのときには一枚岩の男性労働者を想定しながら, 野宿者の勤勉性を主張するというやり方がしばしばとられてきた.しかしこうした主張は, 勤勉な男性野宿者以外の存在を排除するものとなっている.<BR>本稿は, ある公園と施設において行った調査に基づいて, 女性野宿者の生活世界に焦点をあてるものである.野宿者の中で女性の割合は2.9%にすぎず, 従来の研究では女性はほとんど存在しないものとされてきた.しかし彼女たちの実践から見えてくるのは, 男性野宿者の場合とは異なる, ジェンダー化された女性野宿者の世界である.さらに彼女たちに特徴的に見られたのは, 周囲との関係性に拠りながら, 状況に応じて野宿を続けたり, 野宿から脱出することを繰り返す姿だった.<BR>こうした断片的な生のあり方は, 女性に顕著にあらわれているが, 女性野宿者に本来的に固有なものでも, 女性野宿者だけに見られるものでもない.これまでの研究では一貫した意志のもとに合理的な選択を行う主体像を想定し, 行為遂行的な実践は見落とされてしまっていたが, それは, このような女性野宿者たちの実践に接近することに先立って, 野宿者に抵抗や主体的な姿を見ようとする欲望が存在していたためだろう.
著者
古久保 さくら 丸山 里美 高松 里江 須藤 八千代 山口 薫 茶園 敏美 小川 裕子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、1947~1997年に大阪府内に存在した婦人保護施設「生野学園」の50年間の記録・資料を主資料として研究を進めることにより、戦後日本の女性の貧困・困窮の実態について明らかにした。婦人保護施設は売春防止法により規定された施設であるが、その施設開設初期段階から家族のなかに居場所を失った多様な困難を抱える女性たちを受け入れ支援する場として存在したことが明らかになった。また、同時に「売春」と言われてきた行為について、性暴力・恋愛との連続性、言い換えれば客体化された被害者としての側面と主体化された行為者としての側面から概念を再検討する必要性も見えてきた。
著者
丸山 里美
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2010-11-24

新制・課程博士