- 著者
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佐藤 郁哉
川嶋 太津夫
遠藤 貴宏
- 出版者
- 同志社大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2015-04-01
2017年度は特に、2014年に英国で実施された研究評価事業であるReserach Excellence Framework(REF 2014)を踏まえた制度の改訂点とそれが大学機関の対応行動に与えた影響に焦点をあてて分析を進めた。あわせて、英国の研究評価制度を重要なモデルにしながらも独自の発展を遂げてきた豪州の評価制度である、Excellence in Research for Australia(ERA)を第3の検討対象事例として、聞き取りを資料調査による分析をおこなった。REF 2014に関する第三者委員会による検討の結果は、2016年7月にいわゆる「Stern Review」として公表され、その結果を踏まえた次回のREF(REF 2021)における評価制度の大枠は2017年11月に示されることになった。その骨子となる評価対象となる研究者の幅の拡大と1人あたりの業績点数の柔軟化は、いずれも大学側での策略的対応を抑制することを主な目的としていたが、聞き取りや資料調査の結果は、それらの改訂が別種の策略的対応を生み出す可能性を示唆している。豪州のERAについては、英国のREFとは対照的に公的補助金の選択的配分とはほぼ脱連結された評価制度が大学および研究者個人の対応行動ひいては研究の質に与える影響を中心にして検討を進めた。その結果明らかになってきたのは、豪州の場合には、補助金の獲得というよりは、むしろ評価結果が各種大学ランキングへの影響等を介して間接的に授業料収入(とりわけ留学生の授業料)に結びつくという点が大きな意味を持っていることが確認できた。以上の知見は、今後日本で本格的な研究評価がおこなわれる場合の制度設計にとって大きな意味を持つと思われるだけでなく、日英豪の大学の収益モデルについて再考を迫るものだと言える。