- 著者
-
井田 弘明
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.97, no.2, pp.438-447, 2008 (Released:2012-08-02)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
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自己炎症疾患(autoinflammatory disease)は,自己炎症症候群(autoinflammatory syndrome)とも呼ばれる新しい疾患概念である.繰り返す全身性の炎症を来す疾患で,多くは発熱がみられ,関節·皮膚·腸·眼などの部位の炎症を伴う.症状としては,感染症や膠原病に類似しているが,病原微生物は同定されず,また,自己抗体や抗原特異的T細胞も検出されない.近年,Toll-like受容体や細胞内のNLRファミリー蛋白の分子機構の解明が進み,また,これらの分子が,一部の遺伝性周期熱症候群の疾患遺伝子でもあったことから,自己炎症疾患の概念が提唱され,現在注目されている.欧米の疾患と思われていた遺伝性周期熱症候群は,本邦でも存在が確認され,不明熱の鑑別疾患に挙げる必要性がでてきている.本稿では,自己炎症疾患の概念,分類を紹介するとともに,各疾患の臨床像と病因を簡単に解説した.