著者
鳥本 悦宏 高後 裕
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.2005-2009, 2006-10-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5

鉄欠乏性貧血は最も頻度の高い貧血で, 我が国は欧米と比べてその頻度は高い. 日本人の鉄摂取量は年々減少傾向にあり, 30歳代から40歳代女性の4人に1人が貧血で3人に1人は鉄欠乏状態にある. 小球性貧血によって本症を疑い, 血清フェリチン値, 総鉄結合能により診断する. 血清鉄は本症に特異性が低い. 本症とピロリ菌の関与が注目されている. 治療の基本は経口鉄剤投与で, 非経口的鉄剤投与の場合過剰投与に気をつける.
著者
松村 潔 阿部 功
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.73-78, 2007 (Released:2009-12-01)
参考文献数
5

脳血管障害急性期には,著しい高血圧が持続する場合や血栓溶解療法を予定している場合を除いて,原則として積極的な降圧治療は行わない.一方,慢性期では,脳血流自動調節能の下限域が右側偏位するとともに脳血流の全般的な低下を伴っているので,臨床症状に注意しながら慎重な降圧治療が必要であるが,PROGRESS試験により降圧治療が脳卒中再発抑制に有用であることが示されている.降圧薬の種類により脳血管障害の再発抑制効果に差があるかどうか,脳卒中発症後の至適血圧値がどのレベルにあるかは今後の課題である.
著者
川並 透
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.7, pp.1323-1327, 2006-07-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

スギヒラタケの関与が疑われる脳症の神経画像は, 両側島皮質下白質がT2強調MR画像で高信号, CT画像で低吸収域を呈する特徴を示す. 同様の画像変化は大脳皮髄境界部に散在したり, 両側基底核に出現することがある. 神経病理学的報告は, 髄鞘崩壊とグリオーシスを特徴とする2例とマクロファージの出現を伴う壊死巣を認めた2例がある. 4例とも炎症性病変は否定的で, 橋-橋外髄鞘崩壊症に類似した病態が推定される.
著者
寺沢 秀一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.12, pp.2419-2423, 2006-12-10 (Released:2009-03-27)
被引用文献数
4 4

我が国において主流であるICU型救急医による三次救急主体の救急体制がいくつかの限界を見せ始めたことと, 卒後臨床研修必修化の開始があいまって, 北米において主流であるER型救急医による診療, 教育が注目され始めている. しかし, 現時点では我が国でER型救急体制を導入するには, ER型救急医の養成の問題と, 外傷チームや総合内科のない施設でER型救急医だけを配備しても, 入院主治医の決定で困難が発生するという問題がある.
著者
中村 文明 中島 義仁 竹内 豊生 冨田 崇仁 成瀬 賢伸 大野 修 岡村 正造 前多 松喜
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.1112-1114, 2006-06-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

症例は46歳男性. 10年前から再燃緩解型潰瘍性大腸炎で治療中であった. 胸部絞扼感にて近医を受診し, 心エコーにて左室壁の浮腫と壁運動の低下を認めた. 心筋炎の診断で, ステロイドパルス療法施行されたが, 心室頻拍となり当院へと紹介された. 経皮的心肺補助法 (PCPS), 大動脈内バルーンパンピング (IABP) 施行時の心筋生検にて, 巨細胞性心筋炎と診断された. シクロスポリンの投与を試みたが, 心筋の収縮力は改善せず死亡された.