著者
豊島 義博 野村 義明 安田 登
出版者
一般社団法人 日本接着歯学会
雑誌
接着歯学 (ISSN:09131655)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.134-142, 1995-08-31 (Released:2011-06-07)
参考文献数
10

1994年1月から1995年4月まで東京都内3ヵ所の診療施設で脱落を主訴として来院した患者の脱落歯の観察調査を行った。調査歯数342件について脱落物の分類を行い、そのうち289歯について統計的な分析を行った。調査歯の61.6%に2次齲蝕が生じていた。2次齲蝕を生じると思われた要因をそれぞれ2×2表にまとめカイ二乗検定をおこなった。その結果カリエスアクティビティ、セメント、処置医院、歯髄の有無、脱落物の種類に相関が認められた。このうちカリエスアクティビティは、脱落歯以外の齲蝕歯の有無をもって判定した。従来鋳造修復歯に生じる2次齲蝕は、修復物の不適合などが原因と言われていたが、本調査によりカリエスアクティビティとセメントが大きな病因であると考えられた。今後はセメントのもつどのような機能が齲蝕と相関するか、検討する必要がある。
著者
平澤 忠
出版者
一般社団法人 日本接着歯学会
雑誌
接着歯学 (ISSN:09131655)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.59-74, 1986-06-05 (Released:2011-06-07)
参考文献数
11
著者
緒方 美和子 原田 直子 山口 佐緒理 中島 正俊 田上 順次
出版者
一般社団法人 日本接着歯学会
雑誌
接着歯学 (ISSN:09131655)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.212-219, 1999-12-15 (Released:2011-06-07)
参考文献数
11
被引用文献数
1

#600研磨紙 (AP#600), ダイヤモンドポイント (DP), 目の粗さの異なる2種類のスチールバー (SB600, SB703) 仕上げの象牙質面に対するレジンの接着性を評価するため, ClearfilLiner Bond II, Clearfil Liner Bond IIΣ, Clearfil MEGABONDを用いて試料を作製しMicrotensile bond testを行った.その結果, いずれの接着システムにおいても, 接着強さはAP#600群において最大値を示し, SB600群, SB703群, DP群の順に低下した.特にLBIIΣ においては各群の接着強さの間に有意差を認めた (p<0.05).接着強さの低下の原因として, バーにより切削された群では基質象牙質面上のスメアー層の厚さや性質がAP#600群と異なるため, セルフエッチングプライマーによって脱灰, 除去しきれずに象牙質上に残存するスメアーが増加し, スメアー層下の象牙質の脱灰, 象牙質内へのボンディング材の浸透が不十分となったことが考えられた.
著者
宇野 滋 阿保 備子 山田 敏元
出版者
一般社団法人 日本接着歯学会
雑誌
接着歯学 (ISSN:09131655)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.83-88, 2015 (Released:2022-04-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1

保険適用になった小臼歯CAD/CAM 冠用6 種レジンブロックの特徴を比較検討するために,ブロックの構造を SEM 観察した. CAD/CAM 冠用レジンブロックとして,Cerasmart(ジーシー),Shofu BLOCK HC(松風),LAVA Ultimate (3M ESPE),VITA Enamic(VITA Zahnfabrik),KZR-CAD HR(山本貴金属)およびKatana Avencia(クラレノ リタケデンタル)を用いた.レジンブロックを厚さ約2 mm に切り出し,エポキシレジンに包埋後鏡面研磨した.研 磨面にアルゴンイオンエッチングを施し,白金蒸着した後,SEM 観察を行った. 各ブロックともフィラー形状や大きさが異なり,多種多様な構造を呈していた.特に,VITA Enamic はセラミッ クスに近い構造を示し,またKatana Avencia ではナノサイズの微粒子フィラーが密に圧縮されていた.配合される フィラーの成分・形状,そして重合体の構造の違いは,強度,硬さ,弾性あるいは耐摩耗性など機械的諸性質に影響 を与える.また,支台歯への接着性はフィラーの成分やレジンブロックの構造によって左右されると思われる.した がって,CAD/CAM 冠の臨床的パフォーマンスには差が生じるものと危惧される.