著者
津村 徳道
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.732-735, 2016

<p>人類は,相手の容姿や匂いなどから,その相手の遺伝子情報を読み取り,自分と子孫の繁栄に関して遺伝的適応度の高い相手を選別する能力を,長い人類の淘汰の歴史の結果として獲得している.しかし,現在のソーシャル·ネットワーキング·サービス (SNS) などによるコミュニケーションは,人類の淘汰の歴史を経ておらず,人類はSNSから相手の遺伝子情報を読み取る能力を獲得していない.これが現在の少子化問題の一因となっている.一方,近年,スマホ機能の発展により,顔動画像から心拍·視線·表情等の有益な情報を得ることが可能となりつつある.そこで,本解説では,相手の遺伝子情報を的確に伝達可能なSNSを早期に実現すべく,スマホから得られる心拍·視線·表情等から本能的異性魅力を計測し,伝達する手法の初期的な試みを紹介する.</p>
著者
杉山 敏弘 藤沼 善隆 中山 政義 北嶋 良一 佐藤 敏哉 岡本 政巳
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.51-57, 2009

RICOH Pro C900は,プロダクション市場向けプリンターの新ブランド「RICOH Proシリーズ」の第一弾として,POD(プリントオンデマンド)ニーズに対応したデジタルフルカラープリンターである.主な特徴は,以下の通りである.<br>1) クラス最速のカラー/モノクロともに毎分90枚の高速出力(A4横送り,60~300g/m<sup>2</sup>)<br>2) 安定した高画質出力(リアル1200dpi,従来比3~5倍の長寿命感光体,用紙の高精度スキュー補正や位置(レジスト)合わせ)<br>3) 汎用性の高い高機能Fieryコントローラを標準搭載<br>4) 本体の大幅なダウンサイジング・軽量化を実現(本体サイズ1,250&times;1,100&times;1,440mm,700kg)
著者
田沼 逸夫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.396-400, 2007 (Released:2007-10-13)
参考文献数
10
被引用文献数
2

我々は電子粉流体®を用いたカラーディスプレイとフレキシブルディスプレイを開発中である.カラーディスプレイは着色した電子粉流体®を用いたものとカラーフィルターを用いたものがある.また,同時にフレキシブル化にも取り組んでおり,ポリエステルフィルム基板を中心に開発を進めている.本誌ではQR-LPD®の可能性に関して実用例を入れて紹介する.加えて,新開発のフレキシブルドライバICを用いたオールフレキシブルディスプレイに関しても紹介する.
著者
Mathew D. HALLS Daisuke YOSHIDOME Thomas J. MUSTARD Alexander GOLDBERG H. Shaun KWAK Jacob L. GAVARTIN
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.561-569, 2015-12-10 (Released:2015-12-13)
参考文献数
39

Organic optoelectronic materials are under widespread development to complement or displace existing materials. These materials are selected or designed according to their internal optoelectronic and condensed-phase properties with concern for efficient charge injection and transport, and desired chemical and thermophysical stability. The chemical design space for organic optoelectronic materials is enormous and there is urgent need for the development of computational approaches to help identify the most promising solutions for experimental development, and to advise the selection of materials for use in optimized applications. In this paper we present examples of atomic-scale simulation approaches available to analyze and evaluate potential organic material solutions for diverse applications, with an emphasis on organic light-emitting diode (OLED) materials.
著者
石村 俊彦
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.143-152, 2007 (Released:2007-04-13)

ディジタル一眼レフカメラには,コンパクトタイプのディジタルカメラには無い,多くの技術的特徴がある.これらの特徴により,一眼レフカメラは,より多くの撮影シチュエーションに対応可能となり,かつ,より良い写真,より高画質な写真を生み出すことができる.本稿は,これらの特徴について,機能と性能の両面から解説した.機能の差については,カメラを構成する諸要素ごとに,コンパクトタイプディジタルカメラと比較しつつ解説した.性能的な差異については,画質の差,表現力の差,操作性の差をとりあげ,同様に解説した.
著者
大良 智夫 面谷 信
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.498-502, 2011-12-10 (Released:2011-12-13)
参考文献数
4
被引用文献数
2

人が金色と認識している対象物は,物理的な測色結果によると黄色である.我々は,形状認識が金色認識の前提条件であるとの仮説を提示し,これを支持する実験結果を既に示している.本報告では,金色対象物表面における周囲環境の映り込みに着目した.我々は鏡面状の対象物表面への映り込みが対象物の形状認識を容易にし,結果的に金色認識に寄与すると想定し,これを検証するための実験を行なった.照明条件の調整により映り込みの無い状態と有る状態で金メッキスプーンを撮影し,撮影した画像中の対象物の形状と色を被験者に評価させた.金色認識の主観評価結果は,映り込みの無い画像では金色認識が困難になることを示した.同時に,形状認識の主観評価結果は,映り込みの無い画像では形状認識が難しくなることを示した.これらの結果から,対象物表面への周囲物映り込みは対象物の形状認識を容易にし,結果的に金色認識を容易にすると結論づけた.
著者
尾鍋 史彦
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.265-270, 2010-08-10 (Released:2010-08-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

紙のメディアとしての優位性の本質は人間との親和性にある.発達心理学からみると紙の感覚・知覚への訴求力や紙に載せた文字の繋がりからなる意味の認知構造への深く安定的な格納能力は生得的なものであり,個人の知の形成においてはデジタル時代においても紙メディアは優位性を持ち続ける.メディアの人間との親和性を感情価として評価すると,紙メディアの感情価は高く認知過程を促進するが,現段階での電子的表示メディアの感情価は不十分であるために,認知過程を阻害することが考えられる.またアフォーダンス理論によると,メディアの人間との相互作用に関わる身体感覚や文化的環境も認知過程に影響するので,紙の書籍と電子書籍は単なる視覚による読みの差異以外の書籍としての形態や視覚以外の諸感覚も認知過程に関係するが,さらなる解明には認知科学が強力な手段となるだろう.