著者
酒井 真理
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.167-173, 2002 (Released:2006-07-01)
参考文献数
14
被引用文献数
6
著者
川端 康弘 川端 美穂 笠井 有利子
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.522-528, 2011-12-10 (Released:2011-12-13)
参考文献数
32
被引用文献数
2

シーンの再認,シーンのgist (本質的情報),物体やシーンの変化発見や変化見落としといった高次視覚で扱われる現象の認知モデルにおいては,伝統的に無彩色の輝度情報の役割が強調され,色情報の貢献はあまり考慮されてこなかった.しかし最近,行動学的研究,ニューロイメージング研究,心理学的研究といった認知科学の諸分野で,対象物の表面色やシーン全体の配色が,認知に影響を及ぼすことが示されている.この論文では,どのような条件下で色が高次視覚の働きに影響するかを扱った研究を紹介して,この働きを媒介するであろう神経基盤についても言及する.また色の知覚や再認において見られる個人差は,高次視覚の可塑性の高さに起因するのかもしれない.色と認知の関係性は,高次視覚のモデルの中でもう少し焦点をあてて扱うべきだろう.
著者
細萱 敦
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.513-522, 2019-10-10 (Released:2019-10-10)
参考文献数
7

現代日本のビジュアルエンターテイメントの中心に位置しているマンガ.国際的にも大きな影響力を及ぼしているが,ここに至るまでに,わが国には絵と文字の組み合わせによる“物語コンテンツ”追究の長い歴史があった.平安時代に宮中で作られた絵巻物に始まり,江戸時代の木版印刷の発達によって浮世絵とともに大衆文化として花開く絵草紙 (本).葛飾北斎による“漫画”の語の使用の開始を経て,明治時代の文明開化以降,昭和戦前にかけと定着していったマンガ文化について変遷を概観する.内的外的にどんな要素が,マンガをマンガたらしめていったのか?
著者
脇本 健夫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.162-169, 2005 (Released:2006-07-01)
参考文献数
29

有機ELは電子写真で開発された材料を応用して発展してきた.その有機ELの開発の歴史,有機EL素子構造,有機ELに使用される材料,有機ELパネル,応用製品について解説した.
著者
南 信次
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
電子写真学会誌 (ISSN:0387916X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.121-126, 1984

The structure, property, and principle of photovoltaic cells using phthalocyanine thin films are described. They are classified into two groups, namely, dry and wet cells. Vacuum evaporation, particle dispersion in a polymer binder, and electrodeposition have been used as the fabrication methods of pigment films. Several topics related to recent improvements of the performance of phthalocyanine photovoltaic cells are presented. Problems preventing further developments in the field are also discussed.
著者
杉原 康平 伊藤 洋平 前田 秀一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.406-410, 2013-10-10 (Released:2013-10-13)
参考文献数
16

着色剤として硫化物水溶液を用いて,銀薄膜を発色させる新規で簡易的な方法を発見した.特定の硫化物の存在下にて,発色の条件 (濃度,温度など) をコントロールすることで,黄色,赤色,青色,等にさせることができる.この銀薄膜の色変化のメカニズムの解明は,とても科学的見地から意義があると考える.このメカニズムを探求するために銀薄膜や銀ナノ粒子のモルフォロジー,粒径と化学組成について,走査型電子顕微鏡 (SEM),透過型電子顕微鏡 (TEM),X線光電子分光法 (XPS) などで分析を行った.以上の分析結果より,銀薄膜の色変化は銀ナノ粒子の粒径変化による表面プラズモン共鳴が原因ではなく,Ag及びAg2Sの膜間の薄膜干渉が原因であると考える.
著者
関谷 光信
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.445-451, 2008-10-10 (Released:2008-10-13)
参考文献数
12

有機ELディスプレイは自発光で高画質,超薄型・軽量で低消費電力化の可能性を持つディスプレイとして期待されている.これまで車載用ディスプレイや携帯機器用ディスプレイとして使われてきたが,当社では2007年11月に11型の有機ELテレビ(XEL-1)を発売し,有機ELディスプレイのテレビ用途としての先鞭をつけた.本稿では当社が開発している有機ELディスプレイ技術と,その優れた画質性能を紹介するとともに,今後の有機ELディスプレイの大型化に向け開発している技術に関しても紹介する.
著者
井駒 秀人
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.368-373, 2002 (Released:2006-07-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
井下 智加 平林 純 加藤 成樹 木村 純子
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.225-230, 2018-04-10 (Released:2018-04-13)
参考文献数
8

質感は,光沢感,立体感,凹凸感,透明感など,人が材質に対して感じる視覚的,触覚的な感覚を指す.貴重な文化財を眺める時であれば,そうした質感情報を通じて,強い印象や豊かな満足を人は得る.近年,印刷やCG技術が大きく向上し,質感表現を活用したビジネスが創出され始めている.我々は,従来の色のみを扱う画像の世界から,質感情報を応用した領域へ技術開発やビジネス展開を進めようとしている.本稿では,文化財保存·高品質複製を踏まえた質感再現技術を紹介するとともに,質感の定量測定を容易に行うことができる「質感測定器·表面反射アナライザー」について紹介する.
著者
内田 圭亮 小野 裕明 奥 武憲
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.282-286, 2017-06-10 (Released:2017-06-13)
参考文献数
3

昨今様々なIOTの進展により,企業は自社製品をどのように顧客が活用しているかというビッグデータを取得できるようになったが,未だビジネス上の成果に繋げている企業は未だ多くはない.当社では@Remoteという顧客のMFP等の画像機器をリモート管理する仕組を有しており,保守関連情報がビッグデータとして蓄積されている.このビッグデータを分析することにより顧客理解を進め,新たな価値提供とビジネス上の成果創出を行っている.本稿ではMFPビジネス上の成果を創出している2つのアナリティクス·プロジェクト,自社の顧客維持のために適切な営業情報を適切なタイミングでセールスアカウントに提供するマーケティング·アナリティクス,MFPの故障予兆を捉えて故障前に予防保守情報をカスタマーエンジニアに提供するプレディクティブメンテナンス·アナリティクスについて紹介する.双方共に,最終的なビジネス成果は顧客と直接相対する担当者が創出するものであり,このためデータ分析結果の現場での活用方法に徹底的に拘った.
著者
山本 一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.415-421, 2011-10-10 (Released:2011-10-13)
参考文献数
1

特許出願は,企業等における研究開発の結果としてなされ,原則として公開されるものであるから,こうした特許情報を分析することにより,各技術分野におけるプレイヤーとその活動状況,得意分野などを知ることができる.研究開発段階や知財戦略などへの特許情報の活用を図るため,特許庁では例年,特許出願技術動向調査と称して特許出願を基にした技術動向の調査を実施しており,平成22年度のテーマとして「電子写真装置の定着技術」を選択した.本稿では特許出願技術動向調査の概要及びその調査結果を紹介する.
著者
小林 敏勝
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.556-562, 2011-12-10 (Released:2011-12-13)
参考文献数
16

金や銀などのナノ粒子の懸濁液や含有皮膜は赤や黄色に着色する.これは粒子に存在する表面プラズモンが特定の波長の光と共鳴振動し,その波長の光を吸収する結果,吸収された光に該当する色の補色が観測されるためである.本稿では表面プラズモンによる光吸収の機構と吸収する波長に与える要因を平易に解説する.次に,色材として有用な金や銀ナノ粒子の調製について,筆者らが開発した方法を紹介する.この方法を用いれば金コア銀シェルのような複合ナノ粒子も調製可能である.最後にコーティング分野へ金ナノ粒子を応用した例を題材に,コーティング用色材としてのプラズモン発色の特徴を紹介する.
著者
植木 伸明 手塚 弘明 太田 明
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.149-155, 2005 (Released:2006-07-01)
参考文献数
5
被引用文献数
3

富士ゼロックスが開発した複写機・複合機向けVCSELアレイについて,その特長,特性,製造プロセスから搭載製品まで,一連の過程を述べた. 複写機・複合機の高速・高画質化の鍵を握る主要部品として世界に先駆けて採用し,2003年8月より国内向け機種に,2004年9月からは海外向け機種にも搭載し,中・高速機への展開を図っている. 日本発の半導体発光素子であるVCSELを,その特長である2次元アレイ化が容易な点を利用して民生機器に応用,商品化したことの意義は大きく,今後様々な応用への検討が加速されるだろう.
著者
三原 鉄也
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.538-544, 2019-10-10 (Released:2019-10-10)
参考文献数
45

90年代以降,情報処理分野でもマンガを対象にした研究が進められている.特に昨今は人工知能技術の進展によって,マンガの意味内容を扱う,より高度なマンガ画像の処理の実現が期待されている.マンガの内容を扱うに際してはそれらをマンガのコンテンツ画像のメタデータとして記述し利用する方法が有用である.本稿では筆者らが取り組んでいるマンガの内容や構造を利用するためのメタデータに関する研究について解説する.画像とそのアノテーションをWeb上で共有するための国際的なメタデータ標準International Image Interoperability Framework (IIIF) を利用したマンガ画像とメタデータの統合的提供システムを取り上げる.
著者
郷田 直一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.197-206, 2018-04-10 (Released:2018-04-13)
参考文献数
38

我々は様々な物体を見て,金属·石材·木材などその素材を容易に見分け,さらにそれらの手触りや状態といった多様な「質感」を感じとる.近年,脳神経科学の分野においても,質感認知の仕組みについての関心が高まり,現実世界に見られるような複雑な視覚入力から素材や質感に関わる情報―物体表面の複雑な反射特性や微細な三次元構造 (テクスチャー) に関する特徴―を脳がどのように取り出しているのか,また脳はその情報をもとにどのようにして素材のカテゴリーや質感を認知するのか,などを明らかにすることを目指した研究が進められている.また,質感の特徴の一つといえる多感覚的な性質にも注目が集まり,その神経基盤を探る試みも行われている.本解説では,視覚質感認知に関わる脳の階層的·並列的ネットワーク,その各階層における情報表現と変換,および多感覚性を中心に,質感認知に関するこれまでの脳神経科学的知見について紹介する.
著者
美才治 隆 安田 恵三 荒井 智昭 鈴木 健太郎 赤谷 桂一 長谷川 匡
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.207-215, 2007

本稿にて「製品における環境配慮技術の実際」に関する,<br>・定着システムの省エネ技術<br>・コメットサークルをコンセプトとした循環型社会に向けての再利用,再使用技術の解説を,リコーでの実例を用いて述べる.その概要は以下の通りである.<br>1) 「IEA-DSM Program」対応から開発されたQSU技術は,キャパシタ技術との融合によるHYBRID QSU技術を経て,IH加熱を導入したカラーQSU技術へ発展している.<br>2) コメットサークルは,循環型社会を実現する姿を現したもので,品質工学,可視化,品質予測による循環技術開発により「複写機製品」,「製品梱包」,「サプライ製品」にて具現化されている.
著者
黄瀬 浩一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.304-313, 2016-06-10 (Released:2016-06-13)
参考文献数
33

我々は毎日,文字·文書を読むことに長時間を割いている.これは,読むことが,我々にとって情報入力の最も重要な手段だからである.Reading-Life Logとは,読まれる文字·文書と読む行為をセットにして解析し,そこから我々の生活を豊かにする情報を取り出そうとする研究の総称である.文書を対象とした場合,アイトラッカで得られた視線などのデータを解析することで,どれだけ読んだのか (万語計,読む行動の検出),からどれほど理解しているのか (理解度や熟達度の推定) まで,さまざまな情報処理が可能となる.シーン中の文字についても,人が何をどう読んだのかによってその人の行動を推定できる.また,指先に取り付けたカメラで文字を認識することによって,人の作業をサポートできる.これらの情報処理の基礎となるのは,画像として取り込まれる外界を認識·検索する技術である.大規模な認識·検索対象を効率的に扱うため,我々は近似最近傍探索と呼ばれる技術を導入している.本稿では,これらの基盤技術ならびにそれを応用したReading-Life Logの成果について報告する.
著者
篠崎 真 田島 洋 前田 秀一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.217-228, 2000
被引用文献数
2

溶融型熱転写方式カラープリンターにて三種の用紙に同一条件で印刷しその画質を評価した.<br> 画像境界部の評価ではTEPおよびNEPを評価し,合成紙,多孔性塗膜塗工紙,上質紙の順に画質が優れているという結果が得られた.多孔性塗膜塗工紙はTEPでは合成紙に近い値を,NEPでは上質紙に近い値を示した.<br> 階調再現性においては,合成紙は階調再現性が忠実であり,上質紙はややアンダー気味,多孔性塗膜塗工紙はややオーバー気味,という傾向が見られた.多孔性塗膜塗工紙は30%程度以下の網点面積率においては合成紙とほぼ同等の性能を示し,また網点面積率の高い領域では本実験の印字モードでは過剰に転移するという結果が得られた.<br> モトル評価および粒状性評価では,上質紙に比べて合成紙と多孔性塗膜塗工紙は優れているという結果を得た.<br> 上述の印刷品位は表面粗さでほとんど説明できると思われるものの,なかで多孔性塗膜塗工紙は特異な傾向を示している.多孔性塗膜塗工紙は表面の多孔性塗膜によって吸液性,断熱性,クッション性が付与され,それらが上記の特徴を与えたものと考えられる.