- 著者
-
黄瀬 浩一
- 出版者
- 一般社団法人 日本画像学会
- 雑誌
- 日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.3, pp.304-313, 2016-06-10 (Released:2016-06-13)
- 参考文献数
- 33
我々は毎日,文字·文書を読むことに長時間を割いている.これは,読むことが,我々にとって情報入力の最も重要な手段だからである.Reading-Life Logとは,読まれる文字·文書と読む行為をセットにして解析し,そこから我々の生活を豊かにする情報を取り出そうとする研究の総称である.文書を対象とした場合,アイトラッカで得られた視線などのデータを解析することで,どれだけ読んだのか (万語計,読む行動の検出),からどれほど理解しているのか (理解度や熟達度の推定) まで,さまざまな情報処理が可能となる.シーン中の文字についても,人が何をどう読んだのかによってその人の行動を推定できる.また,指先に取り付けたカメラで文字を認識することによって,人の作業をサポートできる.これらの情報処理の基礎となるのは,画像として取り込まれる外界を認識·検索する技術である.大規模な認識·検索対象を効率的に扱うため,我々は近似最近傍探索と呼ばれる技術を導入している.本稿では,これらの基盤技術ならびにそれを応用したReading-Life Logの成果について報告する.