著者
仲谷 文雄
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
電子写真学会誌 (ISSN:0387916X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.132-137, 1993 (Released:2007-05-31)
参考文献数
4
被引用文献数
2
著者
上野 啓司
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.46-52, 2014-02-10 (Released:2014-02-13)
参考文献数
21

グラファイトの構成単位層であるグラフェンは,非常に高い電荷移動度や熱伝導性といった優れた性質を持ち,さまざまな分野での材料応用が期待されている.今後グラフェンの応用を広く進めていく上では,高品質かつ大面積なグラフェン薄膜を,簡便な手法により形成することが重要である.本稿ではまず,グラファイトを化学的に酸化/単層剥離することで可溶化し,得られた酸化グラフェン溶液からグラフェン薄膜を塗布法により形成する手法を解説する.続いて,酸化グラフェン塗布膜の還元によって得られるグラフェン薄膜の特性について述べ,最後にグラフェン透明導電膜や酸化グラフェン薄膜を有機薄膜太陽電池,有機/無機ヘテロ接合型太陽電池,及び有機薄膜電界効果トランジスタに応用した筆者の研究成果を紹介する.
著者
岩本 頌平 兒玉 学 原田 祥宏 加藤 弘一 門永 雅史 伏信 一慶 平井 秀一郎
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.98-104, 2022-04-10 (Released:2022-04-10)
参考文献数
10

インクジェットプリンティングにおけるインクの浸透は画質ならびに乾燥効率に関与することから,浸透挙動の把握は重要である.本研究では,コート層の構造 (コート層の有無と層数と厚さ) による液滴の浸透挙動の解明を目的として,コート層のない紙1種とコート層のある紙3種に対して,X線CT (computed tomography) による非破壊浸透域計測,SEM (scanning electron microscope) 断面観察による紙構造計測,浸透の準2次元数値解析を実施した.臭化カリウムを溶質とする水性インクを用いることで,液滴の浸透域のX線CT測定を可能とし,得られた液滴浸透域と断面SEMにより計測された紙構造を比較した.その結果,コート層の有無,コート層の層数・空隙径・厚さが浸透に影響することが明らかとなり,特にコート層が2層構造をなす場合,表側コート層にのみ液滴が浸透することが明らかとなった.また数値解析の結果,この表側コート層への浸透は,表側コート層の細孔径が裏側コート層の細孔径よりも小さいことが原因であることが示された.
著者
柴田 博仁
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.204-211, 2020-04-10 (Released:2020-04-10)
参考文献数
40

本稿は読み書きでの紙と電子メディアの比較研究からわかったことを概観し,読み書きを支援するデジタル環境の構築に向けた示唆を示すものである.これまでの研究から,電子機器での読みが紙での読みに及ばない点は,「見やすさ」よりも「扱いやすさ」に起因するところが大きいことがわかってきた.また,キーボード入力は認知負荷が高く,電子的な描画ツールはデザイン問題の解決よりも描画結果の整形に走りがちであることが指摘されている.電子メディアのこうした問題点を克服するため,(1)見やすさよりも扱いやすさを追究すべきこと,(2)読み書き中の行為を認知負荷低くできるようにすること,(3)誤った思考モードを導かないようにすること,を設計示唆としてまとめる.
著者
梁取 弘美
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
電子写真学会誌 (ISSN:0387916X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.403-406, 1989 (Released:2008-03-18)
参考文献数
3
著者
日本画像学会 編集委員会
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.305-313, 2012

日本独自の写真電送技術である丹羽保次郎氏 (日本電気) の特許に着目した.本特許は,送信画像信号形成方式の基本技術であり,その方式が搭載された装置は,我が国初の写真電送装置として,1928年の昭和天皇即位式ニュース写真の電送に用いられた.
著者
福井 慶一 森口 航平
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.11-17, 2019-02-10 (Released:2019-02-13)
参考文献数
14

定着プロセスの消費電力の低減と高画質化の両面を実現するためには,トナー材料の改良による低温定着の実現に加えて,定着ユニットの温度制御や圧力制御が重要になる.本稿では,その中でも,定着ユニットの温度制御に注目し,制御システム設計で必要な豊富な機能 (プラントモデリング,制御設計,感度解析など) を備えたMATLAB/Simulinkを使用したモデルベース開発による定着ユニットの温度制御システム設計例を説明する.まず,定着ユニットの基本構造の概要を示す.その後に,定着ユニットのニップ部の温度制御システムを設計するために,定着ユニットの熱伝導を表すプラントモデルの設計,ニップ部の温度制御性能の確保とIHヒーターの入力電力の抑制を実現する最適制御の設計,さらに部品のパラメーターのばらつきを考慮したモンテカルロシミュレーションによるニップ部の定着温度の解析について示す.
著者
前田 秀一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.289-295, 2004

電子メディアの出現によって,世の中の情報の絶対量が増えるとともに,代表的なアナログメディアである紙の役割が変ってきた.従来,紙は情報の記録と表示という二つの機能を担ってきたが,記録機能については電子メディアに代替されつつある.一方で,電子メディアでは実現不可能な,紙の高い表示機能が評価されるようになってきた.その優れた視認性の理由から,紙はデジタル情報と人を繋ぐインターフェースとして必要不可欠な存在となっている.今後の紙メディアと電子メディアの関係は,オフィス文書のように共存共栄するもの,新聞のように補完関係が成立するもの,書籍の電子化にみられるように紙が電子メディアに代替されるものなどに分類できる.従って,紙メディアの使用量に多少の減少が見込まれるとしても,バリアフリー,メンテナンスフリーといったユーザーフレンドリーな特長を有する紙がこれからも生き続けることは間違いない.
著者
石川 安則 上平 員丈 谷中 一寿
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.384-392, 2009
被引用文献数
1

照明光に透かし情報を含ませて絵画や印刷物など実物体の被写体に照射することにより,被写体の画像情報とともに透かし情報を埋め込む方式を提案する.本方式によれば,電子透かしを埋め込むことが困難であった美術館の古典画などの非電子画像に対し,何ら物理的な改変を加えることなく,撮影された画像には不可視の電子透かし情報が埋め込まれる.離散コサイン変換(DCT)を用いて,8×8画素毎に最高周波数成分の極性に従って1ビットの情報を埋め込んだ照明光を被写体に照射し,透かし情報を抽出する検証実験を行った.照明光の輝度および照明光への透かし情報の埋め込み強度を変化させ,検出率の評価と,透かし埋込みによる画像品質劣化の評価,およびJPEG非可逆圧縮に対する耐性評価を行った.この結果,品質劣化が認めにくい程度の埋め込み強度においてほぼ100%に近い検出率が得られ,これより本方式の有効性を示すことができた.
著者
田沼 逸夫
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.396-400, 2007

我々は電子粉流体<sup>&reg;</sup>を用いたカラーディスプレイとフレキシブルディスプレイを開発中である.カラーディスプレイは着色した電子粉流体<sup>&reg;</sup>を用いたものとカラーフィルターを用いたものがある.また,同時にフレキシブル化にも取り組んでおり,ポリエステルフィルム基板を中心に開発を進めている.本誌ではQR-LPD<sup>&reg;</sup>の可能性に関して実用例を入れて紹介する.<br>加えて,新開発のフレキシブルドライバICを用いたオールフレキシブルディスプレイに関しても紹介する.
著者
入江 満 沖野 芳弘 久保 高啓
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.224-229, 2003 (Released:2006-07-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2

本研究は,電子画像記録の記録媒体として普及している高密度書換え形光ディスクの信頼性寿命を評価し,環境信頼性に対する標準測定手法を確立することを目的としている.本論文は,相変化光ディスクを用い,高温高湿加速試験(80°C,85%RH)を施した後,一般室内環境下で保管試験を実施し,信頼性寿命の推定及び寿命に影響を与える要因について検討したものである.寿命評価には,指標として光ディスク再生信号のバイトエラー率(BER: Byte Error Rate)を用い,光ディスクの任意領域のBER評価が可能な専用測定系を構築した.実験結果より,相変化光ディスクの信頼性寿命は,推定50∼100年という長期間であることを確認すると共に,信頼性寿命には,相変化膜の初期化状態やデータ記録時の記録速度が影響を与えることを明らかにした.
著者
村松 正吾
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.290-300, 2014-08-10 (Released:2014-08-13)
参考文献数
49

本稿では,画像のスパース表現のための冗長変換について概説する.スパース表現とは,与えられた信号を少ない数のベクトル,数列,或いは関数の線形結合により表現することを意味する.この表現は,信号モデリングに利用され,信号推定や復元,特徴抽出など多くの応用で有効性が確認されている.より良いスパース表現を得るためには,適切な信号変換の選択が必要不可欠である.本稿ではまず,スパース表現に有効な信号変換の性質として冗長性を取り上げる.次に,スパース表現の問題設定とその解法について解説する.さらに,冗長変換を利用した画像復元の応用例を示す.また,画像処理に適した変換の性質を整理し,冗長変換の設計法として辞書学習法を紹介する.最後に,関連する研究動向をまとめる.
著者
天沢 逸里
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.212-218, 2020-04-10 (Released:2020-04-10)
参考文献数
23

電子書籍リーダーは1台に数千もの書籍を所蔵でき,液晶ディスプレイよりも格段に消費電力が少ないことから,読書における環境負荷を削減するポテンシャルを持つ.本1冊あたりで比較すると,紙の本よりも電子書籍の方が環境面で優位であるという報告がある.しかし,電子書籍を読む多くの人が紙の本も同時に読んでおり,電子書籍を読むようになって読書量が増加する可能性もあることから,電子書籍リーダーが必ずしも環境にやさしいとは限らない.本解説では,読書の環境影響において電子書籍端末がもたらす波及効果に焦点をあて,端末の普及にともなう読書習慣の変化を議論する.既往研究,アンケート調査,社会実験の結果を交えて,電子書籍リーダーが環境負荷を減らす条件について述べる.
著者
島田 浩一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.387-394, 2020-08-10 (Released:2020-08-10)
参考文献数
15

富士フイルムでは,長年にわたり“ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル技術”を導入した感熱·感圧記録材料を開発~販売している.ポリウレタンウレアによるマイクロカプセル壁は界面重合法により形成されるが,マイクロカプセル壁のガラス転移点や力学特性の制御が容易であることから,様々な感熱·感圧記録材料の高機能化に貢献してきた.現在,感熱記録材料として,医療用ドライサーマルイメージャー「DRYPIX Lite」用記録フィルム「DI-HT」などを販売しており,マイクロカプセル技術によって長期保存性と高い透明性による高画質化を実現している.また感圧記録材料としては,マイクロカプセル技術により幅広い圧力領域での圧力分布/圧力バランス測定を可能にした“圧力測定フイルム;Prescale (プレスケール)”の販売も行っている.本稿では,上記“ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル”を形成する技術を解説するとともに,現在販売されている記録材料に導入した技術を紹介する.
著者
小檜山 賢二 西田 拓央 井尻 敬
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.59-67, 2023-02-10 (Released:2023-02-10)
参考文献数
16

本稿では微小な昆虫標本の2次元および3次元アーカイブを目的とした画像処理技術の動向と写真計測により標本を3次元モデル化した実例について解説する.まずデジタル写真処理技術を俯瞰し,続いて昆虫標本のデジタルアーカイブにおいて特に重要となる「深度合成」と「フォトグラメトリ」に関して,その歴史・技術内容・現状・展望を述べる.最後に,ホウセキゾウムシ標本を写真撮影により3次元モデル化した実例について紹介する.ここでは,微小物体を正確にモデリングするため,深度合成とフォトグラメトリを統合した手法 (マイクロフォトグラメトリ) を利用した.本稿で紹介した各技術による作品をインターネット上に公開したので参照してほしい.
著者
田嶋 信介 Dan BLONDAL
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.68-73, 2007 (Released:2007-02-13)
参考文献数
5

超高解像度CTP方式でのイメージングが進展するのに伴い,マイクロドットの安定した出力が可能となり,FMスクリーンでの印刷が世界的に普及し始めました.本稿では,各種のFM, AM, ハイブリッドスクリーニング方式の特徴,長所と短所,印刷に対するメリットなどを考察します.
著者
佐藤 亮太 増原 陽人
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.528-536, 2021-10-10 (Released:2021-10-10)
参考文献数
25

ペロブスカイト量子ドットは,高い発光量子収率や狭線発光等の優れた光学特性のほか,構成元素のハロゲン種を変えるだけで,視認できる99.9%の色が再現可能な半導体ナノ結晶であり,次世代ディスプレイへの応用が期待されている.現在では,赤・緑・青色の三原色に焦点を当てた研究が展開され,カドミウム/セレン系,インジウム/リン系等の競合する量子ドットの光学特性を上回るペロブスカイト量子ドットが開発されてきた.その一方で,現行のペロブスカイト量子ドットは,その作製条件が煩雑であり,工業展開に即した大量合成手法が未確立である.本稿では,当方の研究グループが保有するペロブスカイト量子ドットの作製法やその高性能化に関する技術シーズについて概説する.
著者
日下田 茂
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.81-91, 2012-02-10 (Released:2012-02-13)
参考文献数
21

最近,日常生活では青焼きのコピーを見る機会がなくなってしまった.青焼きはジアゾコピーの俗称であるが,ジアゾ複写プロセスでコピーされた画像の主流が青色画像であったため,このように呼ばれていた.ジアゾ感光紙と複写機は1955年から1975年にかけてわが国において広く普及した複写プロセスである.その画像形成プロセスは,感光紙に塗布されたジアゾニウム塩の2つの特性から成り立っている.特性の1つ目は,ジアゾニウム塩は光照射によって分解されて,無色の化合物になる.特性の2つ目は,分解されなかったジアゾニウム塩はカップラーと反応して有色のアゾ染料を生成する.このジアゾニウム塩の特性を利用して,露光工程と現像工程を経由することにより,ポジ-ポジの複写画像が得られる.ジアゾ複写プロセスはコピー単価が安くしかも操作が簡単という長所により,様々な産業分野において設計図面等の大量の複写用途に利用されてきた.本稿では,ジアゾ作像技術の1つであるジアゾ複写プロセスの変遷について紹介する.
著者
城戸 衛
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.206-216, 2009-06-10 (Released:2009-06-13)
参考文献数
9
被引用文献数
1

ここ数年,複写機や多機能型プリンタの用紙搬送技術は目覚ましい進歩を遂げ,特に用紙搬送の信頼性につながる紙詰まり(ジャム)や斜め走行(スキュー)はシミュレーションも使いながら大きく改善されてきた.しかし,信頼性改善や低コスト化だけでなく,高画質カラー印刷への適用,用紙搬送に伴う騒音低減,機外への漏れ音と機内温昇間の改善など,将来に向けたいくつかの重要な問題が残っている.最終的に本解説では,用紙搬送の基本原則の解説に止まらず,システム全体の最適設計のためには用紙搬送に伴う機内温昇や機外漏れ音といった二次障害の解決が必要である点を述べている.加えて,用紙搬送における数値解析を活用したいくつかの研究事例を解説する.