著者
長橋 純男
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

首都圏の如き中枢機能都市圏においては集中の度合が益々増大傾向にある。地震災害の様相は時代による社会変化の影響を強く受け、人口減少や少子高齢化による人口構成の変化、都市構成の変化等により、都市は時代がもたらす新たな地震災害を生む可能性がある。したがって、都市の地震脆弱性評価や被害想定に当たっては、現在の都市の実態を対象とした被害想定ばかりでなく、未来都市の動向を予測した被害想定が肝要である。そこで本研究は、以下の手順によって、25年後の日本の未来都市の動態を推定し、都市の地震災害脆弱性評価が現代社会と未来社会とではどの様に変容するものであるのかを定量的に予測する手法の開発を試みたものである。(1)人的危険及び建築物被害等の直接被害、帰宅困難やライフライン被害による生活支障等の間接被害を対象として、都市の地震脆弱性に関わる諸要因を過去の被害地震の実態から抽出した。(2)主成分分析により、上記各要因の地震被害に対する影響度を定量的に評価する。(3)各要因を用いた地震脆弱性評価手法を作成し、その妥当性を実被害事例によって証した。(4)これら各要因について、現代から25年後への変容動態を、各種統計項目のデータの性質や動態傾向を考慮した線形回帰・重回帰分析等の手法を用いて定量的に推定した。(5)日本の3大都市圏を対象に、25年後の未来都市の地震脆弱性を評価するとともに、その地域特性について考察した。(6)中枢機能都市としての東京湾岸域における具体的な地震危険度評価として、京葉臨海中部地区の石油タンクを対象に、イベントツリー解析による被害予測の試みを提案した。(7)地震脆弱性評価の前提である地震ハザードマップの作成に関連して、地震動の位相特性を考慮した強震動予測手法に関する一連の研究を更に発展させ、併せて、その研究成果を免震構造の応答性状に関する一連の研究に活用する。
著者
宮崎 収兄
出版者
千葉工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

インターネット上で各組織のデータベースを公開し、散在するデータベースに対する統一的な問合せ処理が可能になれば、ネットワーク利用の可能性は飛躍的に高まると考えられる。このような広域データベース検索システムの実現のためには情報の形式や内容のミスマッチの克服や問い合わせたい内容によって問合せ先サイトをどのように選ぶかが重要である。インターネット環境では不特定多数のデータベースへの統合的アクセスが課題である。構文の違い、名前の違いなどはある程度変換によって吸収可能である。しかし、あるサイトには存在するが、別のサイトには存在しない属性などを扱うためには何らかの形で不完全情報を扱う機構が必要である。。本研究では広域に散在するデータベースの集まりを仮想的な1つのデータベースと考え、各データベースはその一部の不完全な情報を保持すると考える。このようなデータベースを扱うため不完全データベースの概念を導入し、変換できない不一致があっても処理することを可能とする方法を提案した。不完全データベースは従来のデータベースを拡張したもので、既存のデータベース管理システムを用いて実現することもできる。不完全データベースにもとづいて広域データベース検索を実現するため、ワールド・ワイド・データベース(WWDB)システムを提案した。WWDBではスキーマ情報が完全には分らなくても問合せを行うことを可能とするために柔軟なスキーマ構成とその処理が必要となる。WWBDのシステム構成と問合せ処理方法を研究した。
著者
宮崎 収兄
出版者
千葉工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

インターネット上で各組織のデータベースを公開し、散在するデータベースに対する統一的な問合せ処理が可能になれば、ネットワーク利用の可能性は飛躍的に高まると考えられる。このような広域データベース検索システムの実現のためには情報の形式や内容のミスマッチの克服や問い合わせたい内容によって問合せ先サイトをどのように選ぶかが重要である。インターネット環境では不特定多数のデータベースへの統合的アクセスが課題である。構文の違い、名前の違いなどはある程度変換によって吸収可能である。しかし、あるサイトには存在するが、別のサイトには存在しない属性などを扱うためには何らかの形で不完全情報を扱う機構が必要である。本研究では広域に散在するデータベースの集まりを仮想的な1つのデータベースと考え、各データベースはその一部の不完全な情報を保持すると考える。このようなデータベースを扱うため不完全データベースの概念を導入し、変換できない不一致があっても処理することを可能とする方法を提案した。不完全データベースは従来のデータベースを拡張したもので、既存のデータベース管理システムを用いて実現することもできる。不完全データベースにもとづいて広域データベース検索を実現するため、ワールド・ワイド・データベース(WWDB)システムを提案した。WWDBではスキーマ情報が完全には分らなくても問合せを行うことを可能とするために柔軟なスキーマ構成とその処理が必要となる。広域問合せ処理の基礎となる不完全データベースの意味論を従来のナル値を持つデータベースと比較しその位置づけを明らかにした。この結果、広域検索方式がナル値を持つ既存データベースシステムを用いて実現可能であることが分った。また、WWDBのシステム構成と問合せ処理方法を検討し、実験システムを構築し広域問合せ処理方式の有効性を示すとともにWWDB実現のための課題を検討した。
著者
内海 秀幸
出版者
千葉工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

水銀圧入試験を対象とした研究においては,圧入により水銀が空隙に浸入する場を表現する一般的な熱力学的つりあい式と,場固有の微細構造特性を定める数理モデルを連成させることにより,水銀の圧入過程の基本的傾向を表現することが可能な基礎式の定式化を行った.平成19年度は主に,この基礎式に対する,汎用性を実験的に確認するための研究を実施した.その結果,若材齢時におけるセメント系材料の組織構造形成過程を含む各種のセメント系材料の微細構造特性を表現する上で妥当であることが判明した.また,ガス吸着試験に着目した研究では,上記の水銀圧入試験を対象に構築された基礎式に基づいて定められる空隙径分布関数を反映した新たな理論吸着等温関係式の構築を行った.この理論吸着等温関係式の特徴は,従来のBET理論のように飽和蒸気圧において発散する形式ではなく,湿度の全範囲で閉じた形式となっている.この研究についても,本年度は各種材料へのる汎用性を実験的に確認するための研究を実施した.その結果,各種の乾燥の履歴を受けた硬化セメントペーストに対しててもその形式が妥当であることが判明した.これらの研究により,水銀圧入試験とガス吸着試験に対して,空隙径の分布特性に基づく相互換算を可能とした理論の枠組みが整備できた.また,熱重量分析については,温度上昇にともなうエネルギー変化と水分脱水過程との関係を明確にすることにより水分の熱的作用における脱水過程が微細構造特性を反映した結果であることを確認した.さらに,各水分離脱過程の活性化エネルギーを速度論的見地から評価することにより材料内水分の吸着性情を定量的に明らかにした.
著者
武藤 巧 丸山 敏毅 巽 敏隆
出版者
千葉工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

複数のK^-中間子が原子核内に束縛された状態(Multi-Antikaonic Nuclei,MKN)の性質を,相対論的平均場理論にカイラル対称性を具現するK中間子ダイナミクスを取り入れた理論的枠組に基づいて検討した。特に,前年度の結果を発展させ,媒質中のK中間子の性質に重要な寄与を与えると考えられる,A(1405)(A^*)の効果,及び陽子(p),中性子(n)小さな斥力をもたらすrange term (Second-Order Effect,SOE)をK^-N散乱実験と矛盾しないように取り入れ,A^*がMKNの構造に与える効果を明らかにした。結果は,A^*-poleの存在によってK^-p間の引力が大きくなり,SOEによってMKNの中心付近に局在するK^-中間子に陽子がより強く引きつけられる。一方,中性子はrange termからの斥力効果のために,陽子よりも外側に分布が広がる。このため,束縛されるK^-中間子の個数が十分に大きい場合,核子及びK^-中間子の密度が最大で3,5ρ0(ρ0は対称核物質の飽和密度)に達する高密度物質が得られ,また,外側の領域では中性子スキン構造が現れることによって陽子数と中性子数が異なる非対称核物質の性質に関する情報が得られることを示した。結果は国内外の学会を通じて口頭発表を行った。また,学術雑誌に発表,または執筆中である。課題として,MKNの存在と上記の性質を実験的に検証するための具体的な方法を確立すること,MKNのエネルギー,崩壊幅に影響を及ぼすと考えられるK^^-+N→π+A,π+Σ等の非弾性過程との結合効果,ハイペロンがMKN中に混在することによって,K^-中間子,核子,ハイペロンから構成される,更に深い束縛状態が得られる可能性を,相対論的平均場理論を拡張することによって検討することが挙げられる。