著者
土井 直孝 古川 福実
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.945-948, 2015-10-01

<症例のポイント>長期にわたり1指にのみ限局しているHallopeau稽留性肢端皮膚炎。改善と悪化を繰り返している。過去の報告例をまとめると、外用療法以外ではエトレチナートを使用しているものが多いが、自験例では若い女性であり催奇形性の問題があるため投与を見合わせている。現在シクロスポリンの内服とカルシポトリオール水和物とベタメタゾンジプロピオン酸エステルの配合剤の外用で比較的良好にコントロールされている。
著者
田中 麗子 和田 康夫
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.482-487, 2019-05-01

伝染性膿痂疹は小児に好発する表在性細菌感染症である.夏季に多く虫刺されや外傷をきっかけに紅斑,水疱,びらんを生じる.水疱が飛び火するため,別名「とびひ」と呼ばれる.原因菌に黄色ブドウ球菌とA群β溶血性レンサ球菌があるが,近年メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)によるものが増加している.臨床像から水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹に分類され,痂皮性膿痂疹は全身症状(発熱,所属リンパ節腫脹,咽頭発赤,咽頭痛など)を伴うことがある.従来,水疱性膿痂疹の場合は黄色ブドウ球菌,痂皮性膿痂疹の場合はA群β溶血性レンサ球菌がそれぞれ原因菌とされてきた.しかし,痂皮性膿痂疹では黄色ブドウ球菌とA群β溶血性レンサ球菌の両方が分離されることがあり,臨床像と原因菌は必ずしも一致しないとの報告もある1).また,原因菌がA群β溶血性レンサ球菌の場合は後日,糸球体腎炎を併発することがあるため尿検査が必要である.原因菌を特定することは治療や合併症を考えるうえで重要である. 伝染性膿痂疹はMRSAが原因となることがあり,治療に難渋することがある.起因菌がMRSAの際の抗菌薬選択には感受性試験結果が重要となるが,治療対象は小児である.小児には使用しづらい薬剤も多い.本稿では伝染性膿痂疹の治療として統計学的結果をもとに検討した.(「はじめに」より)
著者
太田 多美 馬渕 智生
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.743-746, 2017-07-01

<症例のポイント>キュウリはウリ科の植物で、即時型アレルギーの報告例が散見される。健常人5人にキュウリの葉のパッチテストを施行したところ、2名が陽性だった。自験例、健常人2名は、葉そのものには陽性であったがすりつぶした葉には陰性であった。キュウリの葉に生えている棘毛による刺激性の接触皮膚炎と考えた。
著者
江川 清文
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.656, 2021-07-01

“みずいぼ”にみられる「軟属腫小体」「軟属腫反応」と比較的新しい概念(用語)である「BOTEサイン」について述べる.いずれも“みずいぼ”の病態に深く関わるもので,よりよい“みずいぼ”診療を目指すにあたり必要な知識である. “みずいぼ”は伝染性軟属腫の俗称で,ポックスウイルス科に属する伝染性軟属腫ウイルスの感染により生じる.中心臍窩を有する表面平滑な小丘疹を臨床的特徴とし,小児の体幹や四肢に多発することが多い.ピンセットで内容を圧出する“みずいぼとり”が治療の主なものであるが,本法が疼痛や出血を伴うことや,“みずいぼ”が基本的に自然治癒する疾患であることから,随伴症状に対する以外特段の治療なしで経過をみることもある.“みずいぼとり”では粥状物が圧出されるが,この中に含まれる多量のウイルスの直接・関接接触や自家接種が他者への感染伝搬や悪化(多発)の原因になる.
著者
椎山 理恵 持丸 奈央子 舩越 建 大山 宗徳 菅井 基行 天谷 雅行
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.193-196, 2018-02-01

<症例のポイント>toxic shock syndrome(TSS)は黄色ブドウ球菌の産生するtoxic shock syndrome toxin-1(TSST-1)やエンテロトキシンが原因となって、高熱、全身性の皮膚の紅斑、ショック症状をおこし、多臓器不全をおこすブドウ球菌感染症の一種である。タンポンを使用していたこと、また口腔粘膜の充血と体幹・四肢にびまん性の境界不明瞭な紅潮を呈した特徴的な皮疹から、早期にTSSを疑い治療開始したことで救命しえた。患者の腟・タンポンの培養から検出されたStaphylococcus aureusはMSSAであり、TSST-1/SECの毒素産生株であったことが確認できた。
著者
田中 麗子 和田 康夫
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.44-47, 2020-01-01

・ヘッドホン「え~パンダ」による接触皮膚炎を経験した.・イヤーパッドによるアレルギー性接触皮膚炎が疑われた.・ヘッドホンの1時間着用にて,紅斑が生じるようになった.(「症例のポイント」より)
著者
川崎 ゆりか 林 耕太郎 石川 武子 大西 誉光 多田 弥生 渡辺 晋一
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.471-474, 2017-05-01

<症例のポイント>肺炎球菌ワクチン接種後に生じた蜂窩織炎様反応と考えられる1例を報告した。局所の肉眼的炎症所見は軽度で、蜂窩織炎単独では高度な炎症反応や筋酵素の逸脱を説明しづらく、臨床所見、経過やCTから壊死性筋膜炎も否定的であった。蜂窩織炎様反応は、同種の防腐剤を含む他のワクチンでの報告はほとんどなく、肺炎球菌ワクチンの主成分に特異的な反応と考えられる。また、同様の報告がBehcet病患者数例にみられることから、Behcet病患者に比較的特異的な反応であることが示唆された。
著者
勝沼 俊雄
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.560-563, 2020-07-01

1911年にNoonらが枯草熱に対する治療法として,世界で初めて皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy:SCIT)の効果を報告した1).筆者がレジデントの時代,SCITは「減感作療法」と呼ばれ,小児においても喘息やアレルギー性鼻炎の長期管理において,非常にポピュラーな治療法として実践されていた.しかしながら国内に治療用としての抗原製剤は存在せず,各医療機関においてハウスダストやスギ花粉の診断用抗原エキスを転用して治療を行っていた.そのためか筆者は,同治療の有効性を当時は十分に実感できなかった.このため,筆者はSCITから遠ざかったし,国内外のコンセンサスとしても喘息長期管理における位置づけは低位といえた. ところが1999年にスギの標準化エキス(トリイ)がわが国で使用可能となり,SCITが改めて評価されるに至った.世界的にもダニを含めた抗原の精製度が増して標準化されたことにより,小児の喘息やアレルギー性鼻炎に対する有効性を論述した論文が次々に報告され始めた.(『I.吸入性抗原と舌下免疫療法』の「1.皮下免疫療法の効果と問題点」より)