- 著者
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高橋 千歳
大西 誉光
渡辺 晋一
- 出版者
- 公益社団法人 日本皮膚科学会
- 雑誌
- 日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
- 巻号頁・発行日
- vol.109, no.4, 1999
症例1:54歳男.約10年前より右足関節外異の皮疹が徐々に増大し,30×25×5mmの広基性の表面平滑で一部糜爛を伴う腫瘤となった.症例2:46歳男.約5年前よりの左下腿の結節が最近数ヵ月で急速に増大し,38×48×8mmの広基有茎性の表面細顆粒状,易出血性の赤褐色腫瘤となった.症例3:76歳女.3年前に左腓骨骨折,2ヵ月後のギプス除去時,同部の結節に気付くも放置.42×29×6mm大の広基有茎性で,糜爛を伴う易出血性紅色腫瘤となった.症例4:63歳男.約8年前よりの右下腿の結節が2年前より急速に増大し,35×38×7mmの広基有茎性で,潰瘍を伴う易出血性紅色腫瘤となった.4症例とも全身検索にて転移は認められなかった.組織はいずれも腫瘍は表皮と連続して真皮内に島嶼状または索状に増殖し,一部に管腔構造を認めた.腫瘍細胞は小型で好酸性の胞体を持つporoma様細胞で,異型性を認めた.症例1,2ではその他に胞体の豊富な澄明細胞の増殖を認めた.以上4例の腫瘍細胞の分化の方向を探る目的で各種抗ケラチン抗体にて免疫組織化学染色を行ったところ,RCK102とMNF116抗体染色が陽性を示すなどeccrine poromaと同様な染色態度を示し,腫瘍細胞の多くは真皮内汗管の基底細胞へ分化しているものと考えられた.