- 著者
-
城之内 忠正
- 出版者
- 四日市大学
- 雑誌
- 四日市大学環境情報論集 (ISSN:13444883)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.2, pp.49-64, 2006
ソフトウェアの開発手法であるオブジェクト指向プログラミングは,手続き型のプログラミングに慣れている人にとっても敷居の高い手法であると言われている。しかしながら,ミッションクリティカルな基幹業務システムや大規模システムの開発には,オブジェクト指向開発がますます使用される傾向にある。その理由は,堅牢でバグの無いしっかりしたプログラムが作れ,長期のメンテナンスが容易であるということである。そのような用途に向いた手法なので,オブジェクト指向の学習教材は,企業情報システムを例題として使うことが多い。しかしながら教育の立場からすると,オブジェクト指向という考え方を,よく知らないシステムを例題にして解説することになり,少しもわかりやすい具体例になっていない。そこで,プログラミングの教材(対象)を,手続き型で書ける簡単なゲームとすることで,オブジェクト指向の学習に集中できるようになる。この論文では,オブジェクト指向モデルを動的言語でプロトタイプ開発しながら設計する手法を,じゃんけんゲームを例にして紹介する。モデリングはUMLを使ってトップダウン的に設計するので,やや抽象的になってしまい初心者にはとっつきにくい。その部分は,初心者にわかりやすい具体的なオブジェクト図から抽象化して,クラス図を導くことにした。