著者
藤田 明史
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:03877744)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.67-76, 2004

研究ノート2004年8月に行なわれたアテネ五輪は、2001年9月11日に発生した「米国同時多発テロ」事件後の最初のオリンピックであった。21世紀初頭の暴力が蔓延する世界にあって、平和の祭典といわれるオリンピックのあり方が改めて問われている。オリンピックは本当に平和的であろうか。本稿はオリンピックと戦争の関連性について、「競争」、「停戦」、「政治の美学化」という3つの視点から歴史的に考察する。The 2004 Olympic Games in Athens were the first Olympiad after 9.11 in the year 2001. People have begun asking how the Olympic Games, a festival of peace, will confront the world where violence prevails at the beginning of the 21st century. Are Olympic Games really peaceful? In this paper, we are going to make historical considerations about the relation between Olympics and war, taking into account the three factors of competition, truce and aestheticization of politics.
著者
稲田 依久
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:03877744)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.17-28, 1998

自由論文アイルランドの片田舎に住む大伯母のもとで一夏を過ごした都会っ子の四人の子供達が、前近代的な生活を営む大伯母との価値観の相克のなかから自立を学び、一方の大伯母が子供達によって家庭における年少者への優しさを自らの裡に見いだす過程を論じる。This paper presents the process of the children learning self-reliance and teaching their great-aunt love of family members during their stay with her in the country-side in Ireland.
著者
肴倉 宏
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:03877744)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.53-62, 1997

自由論文自然とそれを覆う闇は、The Last of the Mohicans を構成する重要な要素であるだけでなく、作品のテーマを支える重要な意味も与えられている。自然と闇は、それぞれ、善と憲を象徴的に示している。全知・全能の存在を象徴的に示す Chingachgook は、Uncas の死を通して悪から人間を解放する目的を実現する。Uncas の死は、二つの正義のどちらかを選ばなければならない Tamenund の悲劇性を明らかにすると同時に悪に苦しむ Cora に救いをもたらしている。Uncas の死は、彼の父 Chingachgook を深く悲しませる。苦悩を知る Chingachgook は、Cora の死を悲しむ Munro に共感を示すのである。The contrast between nature and the darkness covering it constitutes both structural and thematic frames for The Last of the Mohicans. Nature symbolizes good while the darkness symbolizes evil. Chingachgook who symbolizes the omniscient and omnipotent One accomplishes his purpose to liberate people from evil through the death of Uncas. Uncas' death reveals the tragic nature of Tamenund who chooses between two types of justice and at the same time brings salvation to Cora who suffers from evil. Uncas' death also causes a great deal of sorrow to his father Chingachgook. Suffering Chingachgook shows compassion to Munro who mourns for Cora.
著者
森口 明美
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
大阪女学院大学紀要 (ISSN:18800084)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-13, 2006

アラブ文学においては一般に韻文が最高の文学的表現と考えられてきた。中でもジャーヒリーヤ時代(イスラム勃興以前の無明時代)のムアッラカート(muallaqat)と呼ばれる7つあるいは10の長詩はすべてのアラブ詩の中で最高傑作とされている。ジャーヒリーヤ時代の韻文はアラブ人の生活や精神を反映するだけでなく、コーランのアラビア語とともに古典アラビア語の成立に多大な影響を与えたとして言語学的にも重要である。その一方で、伝承過程における様々な問題点も指摘されている。本論文では、ジャーヒリーヤ時代の代表的詩人、イムルウルカイス(lmrual-Qays, d.c.550)のムアッラカ(muallaqa,ムアッラカートの単数形)のテキストの比較分析を行った。その結果、対象とした5つのテキストはすべて異なっていたが、その違いは限定的かつ規則的であった。
著者
菅野 ゆりか
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
大阪女学院大学紀要 (ISSN:18800084)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.59-71, 2004

研究ノート「自律学習」とは、学習行為を自分で管理することだという。しかしこの学習における「自律性」は、学習者が放任された状況で育成されるものではない。普遍的な教育目標である「民主社会に積極的に参画しつつ、よりよき自己実現のために生涯学び続けることのできる人格の育成」は、前述の「自律性」育成を課題として含むといえる。ドイツの学校教育においては、この普遍的な教育目標に対し「言語コミュニケーション能力の育成」を重要課題として、体系的、具体的、段階的な実践方法を提示している。本稿ではドイツの学校教育における言語教育理念、およびそれらの実践例を概観しつつ、語学教育における「自律性」育成の可能性を考察する。In recent years, the concept of autonomous learning has frequently been dealt with in the educational field. Autonomous learning means that learners control their own learning activity. But on the laissez-fair principle, this learner autonomy can hardly be acquired. The universal purpose of education, forming a character that can participate actively in a democratic society and building a personality that can learn lifelong for self-realization, includes the aim of developing autonomy. In schooling in Germany, education of language-communicative competence is grounded on systematic theory, and is practiced concretely and step by step as the most important subject of the above-mentioned universal purpose of education. But first the concept of language education must be clarified. This paper aims to study how we effectively develop autonomy in language education by looking at the whole picture of these practical examples in German schooling.
著者
瀧川 禅
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
大阪女学院大学紀要 (ISSN:18800084)
巻号頁・発行日
no.3, pp.15-24, 2006

本稿では異文化間コミュニケーションにおいて、国際結婚カップルの日本語会話データを用い、日本人の妻がアメリカ人の夫に話をする時、話の重要な点をどう伝えそれを夫は理解できるのか分析する。文化の違いにより話の伝え方も全く異なる。たとえば、アメリカ人は話の重要点をはっきり表現するが、日本人は聞き手自身が文脈から理解する手法をとる。従ってそのスタイルに慣れていない外国人は、話し手である日本人が伝えたいことを理解できないことがある。本研究でも、妻と夫の話の伝え方の違いが誤解を生む結果となることが分かった。
著者
マッカーティ スティーブ
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:03877744)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-21, 2006

この論文は「コースキャスティング」(学期の授業のレクチャーの部分をデジタルに録音し、インターネット上のポッドキャスティング・ブログにアップし、学生・その他の関係者に、復習などのためにコンピュータやiPodで聞くように提供するような情報技術)を研究し、実際のバイリンガル教育という専門展開群の科目をコースキャスティングにする試みとその学生よりのフィードバックを報告する。教育的ポッドキャスティング全般の役立つところについての著述を調べる。iTunesUという新世代のLMSも調べる。分析した証拠に基づき、コースキャスティングがいろいろなふうに役立つという仮説を考察し、積極的に結論する。