著者
李 強
出版者
大阪物療大学
雑誌
大阪物療大学紀要 (ISSN:21876517)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.53-61, 2014

本稿では、江戸時代の『重訂解体新書』により造語された、解剖学骨名である「尺骨」の由来を巡って、「尺」という漢字を遡源的に調べると共に、中国歴代の1尺当りの尺度を比較することを試みた。なお、古今東西的に「身体尺」から「度量法」、ないし「度量衡制」までを広範に検討し、中医学の経典である『霊枢』・「腸胃篇第三十一」に記載された消化管に関する解剖データは中国の殷周時代のものと断定できる史料をまとめて、私見を述べた。
著者
串崎 正輝 李 強
出版者
大阪物療大学
雑誌
大阪物療大学紀要 (ISSN:21876517)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.45-51, 2014

本研究は、示指環指比(Digit Ratio(2D:4D))が生理人類学における性差調査の際に表した簡便さに注目し、身体体表指標(Biomarker)として多用されているBMI(Body Mass Index,体格指数)との関連性を検証することを目的とした。被検者は、心身(指に外傷歴や障害歴がない)ともに健康な医療系専門学校学生95名(男子75名、21.87±3.32yrs;女子20名、21.50±5.22yrs)とした。測定方法は、被検者全員の右手の示指と環指の長さに対して、ファイバーノギスを用い、それぞれの中手指節間関節の横紋から指端までの距離を計測した。また、被検者の身長と体重からBMIを求め、Digit Ratio=2D/4Dという計算式から2D:4Dを算出した。得た結果に対して統計処理を行い、2D:4DとBMIとの相関関係を解析した。2D:4Dについて、男性群には有意差がみられた(p<0.01)が、女性群には認められなかった。男性群も女性群も2D:4Dの平均値とBMI平均値との相関関係は見られなかったものの、BMIの値が20以下のグループには2D:4DとBMIとの間にやや強い負相関がみられ、両者間に顕著な有意差が認められた(r=-0.5076,p=0.0005406(Two-tailed))。示指環指比とBMIとの関連性に関する研究を行う際に、BMI値の多寡を軸に被検者を細分すべきことが示唆された。
著者
李 強 田中 良晴 朝田 良子 三羽 信比古
出版者
大阪物療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

水素水(HW)を用い、損傷を与えたヒト培養細胞の移動能などを検証し、主に次の成果が得られた。1)スクラッチした皮膚線維芽細胞にHWと白金ナノコロイド(Pt-nc)を投与すると、HW群は48時間後糸状仮足を示し始め、また、HW+Pt-ncはBax/Bcl-2比を調節する可能性が示唆された。2)低濃度の固形シリカ吸蔵水素(H2-silica)がスクラッチした正常食道上皮細胞(HEEpiC)には微絨毛形成や移動能の活性化がみられ、アポトーシスの誘導効果も確認された。3)H2-silicaが食道扁平上皮癌細胞の移動を阻害し、高濃度のH2-silicaがHEEpiCに毒性効果をもたらすことが確認された。
著者
神本 秀爾
出版者
大阪物療大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

スキン・ブリーチングは肌のメラニン色素の量を減らすことで肌を明るくするために、化学薬品を用いる行為である。カリブ海地域、アフリカ大陸、北米大陸等の旧植民地や奴隷制度のあった各地に多くの実践者がいる。本研究では、ジャマイカの現代の黒人性という観点からスキン・ブリーチングを理解することを試みた。本研究では、旧来のスキン・ブリーチングがヨーロッパ中心主義的思考にもとづいた、「標準化」を志向するものである一方、現在広がりつつあるスキン・ブリーチングは、グローバリゼーションの進展にともなう、個人主義や消費主義に方向付けられた、「個性化」を志向するものであることを明らかにした。