著者
神本 秀爾
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.33-47, 2015-06-13 (Released:2018-05-31)
参考文献数
20

本研究の目的は、文化人類学的見地から、日本人ラスタのラスタファーライへの参入経緯と、彼らの解釈および実践の傾向を明らかにし、日本におけるラスタファーライの受容のされ方について考察することである。第2節では、日本におけるラスタファーライの概略を記述する。第3節では、日本におけるラスタファーライの展開を3期に分け、それぞれの時期における日本人ラスタたちの参入と探求の過程を論じる。第4節では、日本における解釈の特徴を、「『自然』の重視」「セラシエ崇敬の弱さ」「外見の重視」の3つの視点から分析する。以上を通じて、本稿では、日本人ラスタの多くは、それぞれの時代に流行しているレゲエを介してジャマイカのラスタファーライに接近しながらも、その受容に際しては、ラスタファーライそのものや、ラスタファーライの拠って立つ、聖書に根ざした救済観を相対化し、地球への愛着とも呼ぶべき思想につくりかえていると結論づけた。
著者
神本 秀爾
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.33-47, 2015

<p>本研究の目的は、文化人類学的見地から、日本人ラスタのラスタファーライへの参入経緯と、彼らの解釈および実践の傾向を明らかにし、日本におけるラスタファーライの受容のされ方について考察することである。第2節では、日本におけるラスタファーライの概略を記述する。第3節では、日本におけるラスタファーライの展開を3期に分け、それぞれの時期における日本人ラスタたちの参入と探求の過程を論じる。第4節では、日本における解釈の特徴を、「『自然』の重視」「セラシエ崇敬の弱さ」「外見の重視」の3つの視点から分析する。以上を通じて、本稿では、日本人ラスタの多くは、それぞれの時代に流行しているレゲエを介してジャマイカのラスタファーライに接近しながらも、その受容に際しては、ラスタファーライそのものや、ラスタファーライの拠って立つ、聖書に根ざした救済観を相対化し、地球への愛着とも呼ぶべき思想につくりかえていると結論づけた。</p>
著者
神本 秀爾
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第44回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.24, 2010 (Released:2010-12-20)

ジャマイカのラスタファリ運動は、エチオピア皇帝ハイレ・セラシエを救世主とする「真のキリスト教」を自称する。運動は同時にアフリカ性の積極的肯定とともにアフリカ大陸への帰還を要求してもいる。本発表は、エチオピア・アフリカ黒人国際会議派ラスタファリアンを対象として、宗派内部において救済とアフリカ性の積極的肯定が「アフリカ回帰主義」「聖書主義」によって正当化される過程を明らかにする。
著者
神本 秀爾
出版者
大阪物療大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

スキン・ブリーチングは肌のメラニン色素の量を減らすことで肌を明るくするために、化学薬品を用いる行為である。カリブ海地域、アフリカ大陸、北米大陸等の旧植民地や奴隷制度のあった各地に多くの実践者がいる。本研究では、ジャマイカの現代の黒人性という観点からスキン・ブリーチングを理解することを試みた。本研究では、旧来のスキン・ブリーチングがヨーロッパ中心主義的思考にもとづいた、「標準化」を志向するものである一方、現在広がりつつあるスキン・ブリーチングは、グローバリゼーションの進展にともなう、個人主義や消費主義に方向付けられた、「個性化」を志向するものであることを明らかにした。