- 著者
-
神本 秀爾
- 出版者
- 「宗教と社会」学会
- 雑誌
- 宗教と社会 (ISSN:13424726)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.33-47, 2015
<p>本研究の目的は、文化人類学的見地から、日本人ラスタのラスタファーライへの参入経緯と、彼らの解釈および実践の傾向を明らかにし、日本におけるラスタファーライの受容のされ方について考察することである。第2節では、日本におけるラスタファーライの概略を記述する。第3節では、日本におけるラスタファーライの展開を3期に分け、それぞれの時期における日本人ラスタたちの参入と探求の過程を論じる。第4節では、日本における解釈の特徴を、「『自然』の重視」「セラシエ崇敬の弱さ」「外見の重視」の3つの視点から分析する。以上を通じて、本稿では、日本人ラスタの多くは、それぞれの時代に流行しているレゲエを介してジャマイカのラスタファーライに接近しながらも、その受容に際しては、ラスタファーライそのものや、ラスタファーライの拠って立つ、聖書に根ざした救済観を相対化し、地球への愛着とも呼ぶべき思想につくりかえていると結論づけた。</p>