- 著者
-
川本 佳代
- 出版者
- 広島市立大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2003
本研究の目的である「一地域(研究代表者が属する広島市とその近郊)の大学や研究機関に所属する各領域の専門家,文化施設の学芸員,中・高等学校の教員が学習支援者として連携して,中・高校生の知的好奇心に基づく継続的な探究を可能にする学習コミュニティを構築する」ために,本年度は以下を行なった。(1)教員等によるコミュニティの維持・継続的なシステム利用NetCommonsの改良版(新機能の一部は昨年度本研究により実現)を導入し、広島県物理教育研究推進会などの大学教員・中・高等学校教員等がコミュニティを維持した。また、新たに大学の教員による中・高校生を対象とした講義のために、大学教員と高校教員とのコミュニティを構築した。(2)学習コミュニティの構築理科・科学を継続的に探究するための学習コミュニティ用サイトを充実させた(ルーム構成:各科目のルームの他、[みんなの広場][科学なんでもルーム][イベント情報][質問の部屋][職員室]他)。また、広島地域の大学の教員、中・高等学校の教員、文化施設の学芸員らに呼びかけ、平成18年度からこのサイトを利用した地域の中・高校生と大学教員等から成るコミュニティを構築し、大学教員による中・高校生を対象とした講義と連携させることになった。これにより、生徒は講義の内容や講義時間に限定されず、あらゆる科学事象について継続的な探究を行うことができる。(3)地域密着型科学コミュニティサイトの活性化要因に関する研究地域密着型科学コミュニティサイトを活性化する要因を明らかにするために既存のサイトの分析を行った。「科学サイト」「コミュニティサイト」「子ども向けサイト」各100サイトとそれらに含まれる地域密着型サイトを対象として、データマイニング手法と統計手法を用いて活性化した(=アクセス数の多い)サイトの特性や、各領域の専門家の作成するサイトの特性を明らかにした。その結果、(1)地域に密着したイベント情報の提供、(2)画像や動画・音声を交えた科学に関する情報の提供、(3)子どもの興味をひきつける手法として「キャラクターの登場」や「FLASHの使用」など、(4)コミュニケーションの促進の手法として,掲示板の設置と管理者の積極的な介入など、(5)利用者の興味を持続させる手法として「メールマガジンの配信」「月1回以上の更新」「無料会員登録制」などが有効であることがわかった。