著者
今本 健児 加藤 博一 川本 佳代 橘 啓八郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.594, pp.31-36, 2002-01-17
被引用文献数
3

本報告ではHMD装着型の拡張現実感システムにおける共同作業について, ユーザ間のコミュニケーションの観点から検討を行った.一般的には, HMD装着ユーザの表情が視認できない, HMD非装着者が状況を認識できない, 仮想物体と実物体の隠蔽関係の逆転現象が生じるなどの問題が発生する.これらの点に関して, 我々が今回試作した複数人用の仮想物体操作システムを用いて共同作業がなされる.際に, どのような問題がコミュニケーションに影響を与えるのかについて議論した.また, 簡単な評価実験からは, 隠蔽関係の逆転現象, および非立体視での映像提示方式が, ユーザの指差し行為を大きく阻害するということがわかった.
著者
川本 佳代
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

これからの社会において論理的思考力は重要であり,その育成には数理的説明文を書く経験の蓄積が有効である.その際,数理的説明文を評価する必要があるが,適切に評価する方法が存在しない.本研究では,蓄積された数理的説明文の分析を元に,数学の専門家が高くあるいは低く評価する数理的説明文がどのような特徴を持つのかを明らかにした.これに基づいて作成した評価基準を導入し,学習支援者が学習者の数理的説明文を評価する上で役立つ,論理的思考力評価支援システムを開発した.
著者
新井 紀子 川本 佳代
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.155-163, 2004 (Released:2004-06-01)
参考文献数
7
被引用文献数
4 3

「e-教室」プロジェクトは,新井らが開発を行った「Net-Commons」という情報共有ポータルシステムを活用して,研究者・教員らが協力しながら,中高校生とともにインターネット上に通常のカリキュラムを超える,高度な学びのコミュニティを創出する試みである。「Net-Commons」は,テキストと画像を組み合わせて投稿することができる掲示板を中心に据えながら,インターネット上で提供されているデジタルコンテンツを柔軟に活用するオンライン協調学習環境を提供している。「Net-Commons」が提供する柔軟なページレイアウト機能により,コミュニティの状態に最適なページレイアウトをWeb上から簡単に実現することができる。学習支援者は,学習状況を観察しながら,さまざまなe-ラーニングツールの組み合わせ(Blended Learning)を自由に試みることができる。「e-教室」に参加している学習者は,学習支援者とともにコミュニティを形成しながら,インターネット上の学びの空間を体験する。「e-教室」の学習ログを解析した結果,「e-教室」での活動を通じて,学習者の (1) 論理的思考力 (2)(書き言葉による)コミュニケーション能力 (3) プレゼンテーション能力が向上したことが観察された。
著者
川本 佳代 新井 紀子 内田 智之
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.73-78, 2005-11-05 (Released:2017-11-17)
参考文献数
10

オンライン上でカリキュラムを越えた学びを実現してきた「e-教室」をSSH指定校に導入することにより、高度な学びを目的とするオンラインと対面式の授業とのブレンディッドラーニングを実践した。本稿はその方法と効果を明らかにしている。投稿内容、レポート、アンケートを分析した結果、主な効果として、(1)クラス全体及び個人の解答に至る過程を中心とする記述力が向上したことから高度な学びが実現し、(2)相当数の生徒の数学に対する興味が深まり、数学に対する考えがより肯定的になり、(3)通常の授業よりも「深く考えられる」「面白い」と感じたという点があげられ、「e-教室」導入の意義があったといえよう。
著者
川本 佳代 古谷 美夏 宮脇 綾子 内田 智之 平嶋 宗 林 雄介
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1L301, 2018 (Released:2018-07-30)

現代社会において,論理的思考力は最も重要な能力の1つである.高等学校学習指導要領解説においても,論理的な思考力の育成は重視されており,特に高校の数学教育において数学証明を扱うことが論理的思考力の育成に役立つと述べられている.本稿では,数学の証明論法の中でも背理法と対偶法に絞り,数学的な表現力および構成力の習得を通して,表現力を含む論理的思考力の育成を目指した論理的思考力育成システムを提案する。さらに,Android Tablet上に実装したシステムを用いた評価実験により提案システムの有用性を示す.
著者
岩井 俊祐 川本 佳代 橘 啓八郎
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.13-25, 2001-03-30

ハイパーメディア学習は、構成主義的学習観を実現する学習の1つとして期待されている。さらに、コンピュータネットワークの発達に伴い、共同学習への応用が可能となった。ハイパーメディアを用いた共同学習では、学習者が、自身の自主性、興味・関心、発想などに応じた学習を行い、異なる思考や経験を交流し、たがいに気付かなかったことを発見しながら創造的学習を行うことが期待できる。本研究では、その創造的学習への可能性を示し、さらに、学習者特性として社交性を考慮した分析を行った。その結果、社交性の高い学習者には「特恵モデル」、低い学習者には「補償モデル」として創造的学習を促進することが分かった。このことから、ハイパーメディアを用いた共同学習は、創造的学習を促進する動機付けとなり、学習者が主体的に考え、自分を表現し、自立的で積極的な姿勢を身に付けるのに効果的な学習であると考えられる。
著者
川本 佳代
出版者
広島市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的である「一地域(研究代表者が属する広島市とその近郊)の大学や研究機関に所属する各領域の専門家,文化施設の学芸員,中・高等学校の教員が学習支援者として連携して,中・高校生の知的好奇心に基づく継続的な探究を可能にする学習コミュニティを構築する」ために,本年度は以下を行なった。(1)教員等によるコミュニティの維持・継続的なシステム利用NetCommonsの改良版(新機能の一部は昨年度本研究により実現)を導入し、広島県物理教育研究推進会などの大学教員・中・高等学校教員等がコミュニティを維持した。また、新たに大学の教員による中・高校生を対象とした講義のために、大学教員と高校教員とのコミュニティを構築した。(2)学習コミュニティの構築理科・科学を継続的に探究するための学習コミュニティ用サイトを充実させた(ルーム構成:各科目のルームの他、[みんなの広場][科学なんでもルーム][イベント情報][質問の部屋][職員室]他)。また、広島地域の大学の教員、中・高等学校の教員、文化施設の学芸員らに呼びかけ、平成18年度からこのサイトを利用した地域の中・高校生と大学教員等から成るコミュニティを構築し、大学教員による中・高校生を対象とした講義と連携させることになった。これにより、生徒は講義の内容や講義時間に限定されず、あらゆる科学事象について継続的な探究を行うことができる。(3)地域密着型科学コミュニティサイトの活性化要因に関する研究地域密着型科学コミュニティサイトを活性化する要因を明らかにするために既存のサイトの分析を行った。「科学サイト」「コミュニティサイト」「子ども向けサイト」各100サイトとそれらに含まれる地域密着型サイトを対象として、データマイニング手法と統計手法を用いて活性化した(=アクセス数の多い)サイトの特性や、各領域の専門家の作成するサイトの特性を明らかにした。その結果、(1)地域に密着したイベント情報の提供、(2)画像や動画・音声を交えた科学に関する情報の提供、(3)子どもの興味をひきつける手法として「キャラクターの登場」や「FLASHの使用」など、(4)コミュニケーションの促進の手法として,掲示板の設置と管理者の積極的な介入など、(5)利用者の興味を持続させる手法として「メールマガジンの配信」「月1回以上の更新」「無料会員登録制」などが有効であることがわかった。